こんにちは! ネイネイ(@NEYNEYx2)です。
通学や通勤、待ち時間などの短いスキマ時間にもってこいの短編小説。
今回はそんな、手軽に読める作品の中から『おすすめ短編小説』をご紹介します。
まだ、読まれていない本があれば、これを機に読んでみてはいかがでしょうか。
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面白いおすすめ短編小説
『本と鍵の季節』米澤穂信
あらすじ
利用者のあまりいない放課後の図書室で、図書委員の雑務をこなしながら、たわいもない話をしている堀川次郎と松倉詩門。そんな二人のもとに、彼らを頼って相談が持ち込まれ、さまざまな謎解きに巻き込まれていくのだが…。
男子高校生のふたりが日常の謎に挑む、爽快さの中にも、ちょっぴりビターな味わいのある6つの短編集。
おすすめポイント
堀川次郎と松倉詩門が、互いに足りない部分を補いながら謎解きをクリアに導いていく、ダブル探偵スタイルで描かれる。依頼をこなしていくうちに、松倉のちょっと複雑な家庭環境が見えてくるところも、一つの見どころになっている。
図書委員のふたりの高校生が挑む日常の謎に、爽やかさを感じつつも、ほろ苦さも体感させられる作品集。
『儚い羊たちの祝宴』米澤穂信
あらすじ
教養と品格を備えた、お嬢様たちが集まる読書サークル「バベルの会」。そんなバベル会の会員である、丹山吹子の屋敷で凄惨な事件がおこった。その翌年も、さらには翌々年にも吹子の近親者に悲劇がおきていく…。「バベルの会」をめぐる邪悪な雰囲気ただよう、5つの事件が描かれた短編集。
おすすめポイント
それぞれは独立したストーリーながらも、読書サークル「バベルの会」と繋がりのある人びとという共通項がある。全編をとおして、人間の心に潜んでいる狂気や残酷さが語られており、背筋がゾクっとさせられる恐怖感を味わうことに。目を背けようとするが、甘美なまでの語り口についつい惹きつけられてしまう。
優雅でありながら狂った世界に、酔いしれることのできる暗黒ミステリーの作品集。
『AX アックス』伊坂幸太郎
あらすじ
超一流の殺し屋である「兜」だが、家では妻に頭が上がらない。こんな危うい仕事をしていることは、もちろん家族には内緒だ。克巳が生まれた頃から、この仕事を辞めたいと兜は考えていたが、容易ではなかった。引退に必要な金を稼ぐため、仕事を仕方なく続けていたある日、標的を早々に始末した兜であったが、意外な人物から襲撃を受ける…。
おすすめポイント
殺し屋という設定ながら、妻に気を遣うやりとりには、ほっこりさせられるとともに家族愛が伝わってくる。孤独だった男が手にしたかけがえのない家族。それを必死に守るとする父の背中には自然と涙がこみ上げてくる。
『ヒポクラテスの誓い』中山七里
あらすじ
浦和医大の法医学教室に、単位が足りずに入ることになった研修医の栂野真琴。彼女を出迎えたのは、法医学の権威である光崎藤次郎教授と、死体好きな外国人准教授キャシーであった。性格に難のあるが、光崎の信念を目の当たりにし、徐々に真琴は法医学にのめり込んでいく。
事件性のないように思える凍死や事故死など、強引に解剖をしていく光崎。はたして、そこから導きだされる真相とは…。
おすすめポイント
さまざまな遺体に隠された真相を解剖によって暴いていく法医学ミステリーの本作。口は悪いが腕は確かな光崎教授に、死体と事件が大好きなキャシー先生にと個性豊かな面々に、飽きさせないストーリーになっている。また、真琴の研修医として成長していく姿も一つの見どころでもある。
死んだ者の声に耳を傾け、隠された意外な真相を導きだしていく過程に、胸のすく爽快さを堪能できる作品。
『犯人のいない殺人の夜』東野圭吾
あらすじ
屋上から親友が落ちて死んだ。目撃証言から自殺とされようとしているが、俺はそうとは思えない…。(「小さな故意の物語」)アーチェリーの選手であった望月直美が死んだ。死ぬ直前に直美はビデオメッセージを残していた。その理由とは…。(「さよならコーチ」)岸田家の中で女性が殺害された。しかし、その家には死体がなければ犯人もいない…。(「犯人のいない殺人の夜」)
おすすめポイント
ちょっと捻りの効いた、余韻を味わうことのできる7つの短編集。ほんのりと苦味のある後味がクセになる、ライトなイヤミス集。
『いけない』道尾秀介
あらすじ
自殺名所の近くにあるトンネルでおきた交通事故が、殺人の連鎖をまねいて…。 (「弓投げの崖を見てはいけない」 )友達のいない少年が遭遇した殺人現場は本物なのか、 それとも偽物か。 (「その話を聞かせてはいけない」 )宗教団体の幹部女性が死体でみつかった。先輩の刑事は、後輩をみちびきながら捜査を進めるのだが…。(「絵の謎に気づいてはいけない」)
各章の最後のページにある1枚の写真に、新たな真相を導きだすトリックが隠されている。ラストページを見ることで、それまでの物語が違ってみえる新感覚の体験型ミステリー。
おすすめポイント
全4章からなる連作短編に、散りばめられたトリック。その謎を見破ろうと自然と物語に夢中になっていく。やがて、隠された真相に気づけたときの驚きと快感が、脳裏に焼きつけられクセになってしまう。
一度読んだだけでは、すべての真相には辿りつけず再読必須。今までにない謎解きを体験できる作品集。
『人間じゃない』綾辻行人
あらすじ
持ち主が凄惨な死をとげ、いまでは廃屋と化した別荘の「星月荘」。そんな場所を訪れた若者たち4人を襲った凄まじい殺人事件とは…。(「人間じゃない―B〇四号室の患者―」)
表題作ほか、『人形館の殺人』の後日譚「赤いマント」、『どんどん橋、落ちた』の番外編「洗礼」など、自作品とさまざまにリンクする5つの短編集。
おすすめポイント
ミステリーや幻想もの、ホラーにいたるまで、著者のこれまでの作品の後日談やシリーズ番外編を集めた短編集である本作。不穏な空気感をただよわせ、じわりじわり忍び寄ってくる恐怖にぞくりとさせられる。
綾辻作品のスピンオフを詰め込んだ5つの物語に、おぞましさと危うさを感じながら、著者の世界観に浸れる作品集。
『ロシア紅茶の謎』有栖川有栖
あらすじ
古びたアパートの管理人が殺害された。彼が記した日記によると、夜に屋根裏を徘徊して他人の生活を覗き見していたというが…。(「屋根裏の散歩者」)パーティーのさなか作詞家の男が中毒死した。彼の紅茶からは青酸カリが検出されたが、どうやって毒を?(「ロシア紅茶の謎」)
犯罪臨床学者・火村英生とミステリ作家・有栖川有栖のコンビが、6つの謎に挑む「国名シリーズ」第1弾。
おすすめポイント
火村英生と有栖川有栖のコンビによる掛け合いをながめながら、暗号、密室、読者への挑戦状にと、趣向を凝らした謎解きを堪能することができ、本格ミステリーの醍醐味を味わえる。
残された不思議な暗号、消えた殺人犯に、トリックにと、謎解きを心ゆくまで愉しめる作品集。
『ポイズンドーター・ホーリーマザー』湊かなえ
あらすじ
女優の藤吉弓香は、故郷での同窓会の誘いを断った。その理由は、母親に会いたくないからだ。昔から、自分を思いどおりにコントロールしようとする母親には悩まされてきた。そんなとき、思いがけない訃報がもたらされる…。(「ポイズンドーター」)正しさと善意の少しの掛け違いが、目の前の情景を鮮やかに反転していく。
おすすめポイント
その人の本当の素顔は、表面からではなかなか判断できない。見る角度を変えれば善人にも悪人にもなりえる。見ていた景色が急に反転した世界には、ハっとさせられ正しいことは何なのかと考えを巡らせてしまう。一つのできごとを視点ずらすことで、異なる光景をまざまざと見せつけられ、それが胸に突き刺さってくる作品。
『火のないところに煙は』芦沢央
あらすじ
「神楽坂を舞台に怪談を書きませんか」。そんな依頼に作家である「私」は、8年前の凄惨な体験を思い出す。
結婚を考えていた恋人の男性とともに、当たると評判の「神楽坂の母」という占い師をたずねた角田尚子。だが、結婚は不幸になると告げられ、ふたりの関係はギクシャクしていき、ある悲劇が。ある日、仕事でたずさわった交通広告のポスターに奇妙なシミが見つかり…。(「染み」)
おすすめポイント
フィクションをドキュメンタリーのように描かれた本作。あたかも実話かな、と思わせるようなリアルな話に恐怖を覚えつつも、読み進めた先におとずれる仕掛けに背筋が凍りつく。
リアリティのある一つ一つの話に慄きながら、じわじわ迫りくる恐怖にゾッとさせられる。
『玩具修理者』小林泰三
あらすじ
子どもだけが知っている、なんでも直してくれる玩具修理者。壊れたものを全部バラバラにして、奇妙な声とともに瞬く間に完成させてしまう。どんなに複雑であろうと、たとえ死んでいようとも。
ある日、幼ないころの私はあやまって弟を死なせてしまう。親に怒られると思った彼女は、どうにかしようと玩具修理者のところへ弟を持っていくのだが…。
おすすめポイント
どんなものでも直してしまう玩具修理者に、あやまって死なせた弟を連れてきた。現実から非日常にいざなわれ、いつの間にか不思議な世界に足を踏み入れとらわれてしまう。
ホラーに、SFものにとテイストの違う2編に、見慣れた日常が揺らいでいく感覚を味わうことになる作品集。
『秋の牢獄』恒川光太郎
11月7日の水曜日である1日を何度も繰り返している女子大生の藍。なにをしても、朝になればすべてリセットされ日々。そんな悪夢のようななかで、彼女と同じ「リプレイヤー」の隆一に出会って…。
美しく彩られた世界に魅せられる、3つの短編集。
時間や不思議な家といった、ある空間に閉じ込められる人びとを描いた3つの物語。日常のすぐそばにある異世界にいざなわれ、理不尽さと不安に掻き立てられるが、どこか居心地のよさを感じさせるから不思議だ。
それぞれが何かに囚われる者たちを描き、読み手の想像意欲をたっぷりと刺激させる、儚くも美しい怪奇幻想譚。
『ぼっけえ、きょうてえ』岩井志麻子
あらすじ
岡山の遊郭で醜い女郎が寝つけぬ客に、身の上話をぽつりぽつりとはじめた。血と汚辱にまみれた地獄道であった彼女の人生には、ある秘密が隠されていた…。
岡山地方の方言で「とても、怖い」という意味の表題作を含む、4つの短編集。
おすすめポイント
閉鎖された田舎で暮らす人びとの貧困や差別がもたらす、心の闇がおぞましい4つの短編。閉さ゛された社会での息苦しさと、人の業の深さを感じさせ、不気味な情景に魅せられていく。
岡山の方言で語られる人の悪意と愛憎に、怖さと哀しみが迫りくる作品集。
『おそろし 三島屋変調百物語事始』宮部みゆき
あらすじ
旅籠の娘で17歳のおちかは、ある事情により心を閉ざしていた。そんな彼女は、江戸で袋物屋「三島屋」を営んでいる叔父夫婦のもとで、行儀見習いとして慌ただしく働くことで過去のできごとを意識しないようにしていた。ある日、叔父の伊兵衛は所用のため、このあと訪ねてくる客の応対を任せると、おちかに告げて外出してしまう。客はおちかに、自分にまつわる怪ばなしを語りだした。やがて、江戸中から不思議な話が集まり、聞き役を務めるおちかの心を徐々に溶かしていく…。
おすすめポイント
忘れることのできない悩みや苦しみを抱え、途方に暮れている彼らがそっと胸の内を語りだす。それは、人間の欲や弱さ、運命のいたずらが絡み合いながら紡ぎだされる世界であり、そこに妖しさを感じながらも魅せられてしまう。「百物語」として語られる、不思議でいて切なくもある話が、心に染みわたる作品。
『光の帝国 常野物語』恩田陸
穏やかで知的でいて、権力に目もくれずに生きている常野の一族。大量の書物を暗記するちからに、遠くのできごとを知るちからに、すぐそこの未来を見通すちからにと、彼らにはそれぞれに不思議な能力があった。
普通の人びとに紛れてひっそり暮らす彼らは、なんのために存在し、どこへ向かおうとしているのか…。
それぞれが不思議な力をもつ常野一族。その能力がゆえに、周囲にうまく馴染めなかったり、能力を隠さなくてはいけなかった。時代に翻弄され悩みながらも、与えられた力を世のために使い、穏やかに生きていく姿に心を揺り動かされる。
常野からやってきた特殊能力を備えた者たちの優しくも哀しい話の数々に、ほっこりさせられ心を癒される作品集。
『時をかける少女』筒井康隆
あらすじ
ある日の放課後、誰もいない理科実験室でガチャンとなにかが割れる音がした。振り向いた芳山和子は、壊れた試験管からただよう甘い香りを嗅いで意識を失い、その場に倒れ込んでしまう。
そして、目覚めた彼女の周りでは、時間と記憶をめぐる奇妙な事件がいくつも起こりはじめた。思春期の少女が体験する、時をこえた不思議な世界に胸をときめかせる。
おすすめポイント
ひょんなことから、時間を自由に行き来できる力を手にした和子。そんな彼女が、さまざまな事件に巻き込まれていく。ミステリー性にわくわくさせられ、淡い恋に胸をときめかせ、なんとも言えぬ余韻を残していく。
時間と記憶をめぐる不思議な体験をしながら、思春期ならではの甘酸っぱさと、切なさがギュッと詰まったタイムループものを味わえる不朽の名作。
『青い春を数えて』武田綾乃
あらすじ
親友ではあるけど、負けたくないのも事実。(「白線と一歩」)なんで姉ばかり注目されるの。もっと私も見て、と叫ばずにはいられない器用貧乏な妹。(「側転と三夏」)レールをはずれるのは怖いけど、息がつまりそうな毎日。(「漠然と五体」)
理想と現実のあいだで揺れ動く女子高生たちの心の葛藤を描いた短編集。
おすすめポイント
5人の女子高生たちの視点で語られる連作短編の本作。周りと比較して劣等感を感じたり、ルールに縛られた日常が嫌になり抜け出したい、そんな学生のころの悩みや辛さから、出口の見えない不安に押し潰されそうになる。誰しもが味わうリアルな感情に共感を覚えずにはいられない。
高校生活を送るながで、誰しもが密かに心に隠している思いに、共感でき心に刺さるものがある作品集。
『阪急電車』有川浩
あらすじ
宝塚から西宮北口間をわずか15分で走り抜けるローカル線である阪急今津線。その電車に、それぞれの愛や想いを密かに抱えながら、たまたま乗り合わせた人びとがいた。
乗客それぞれの人生がそっと交錯し、それがやがて小さな奇跡を紡いでいく。前に一歩踏み出せば、そこにはいつもと違う景色が待っている。
おすすめポイント
片道15分という短い8つの駅の阪急今津線に、居合わせた人びとを各駅ごとに描いた本作。たまたま、その電車に乗り合わせた人びとが影響しあいながら、それぞれの人生に変化をもたらせる。電車という限られた空間で、交わされる会話から普段とは違う景色を見せられ、読者の心をほっこりさせてくれる。
えんじ色の電車に乗り合わせた乗客たちが、ふとした偶然が重なり紡がれていく愛の数々に、ほのぼのさせられる物語。
『アイネクライネナハトムジーク』伊坂幸太郎
あらすじ
夜の街頭でアンケートで足を止めてくれた女性、妻に愛想をつかされたサラリーマン、携帯電話で話をするだけの微妙な関係の2人。情けなくも愛おしい登場人物たちがおりなす、数々のサプライズ。恋愛の話を軸にしてまとめられた、連作短編集。
おすすめポイント
斉藤和義さんに作詞を頼まれたことで作られた本作。人の出会いや意外なつながりといった、日常に潜む小さな奇跡が顔をのぞかせる。派手さはないが、ほのぼのとした小さなエピソードが積み重なりに、幸せをわけてもらえる物語。
『さいはての彼女』原田マハ
あらすじ
25歳という若さで起業したやり手の女社長である鈴木涼香。すべてが順調かと思われたが結婚とは縁遠く、絶大なる信頼を寄せる秘書が会社を去るという。
傷心のなか一人旅にでることにしたバカンスは、まさかの手違いにより女満別に。しかし、そこでの予想だにしない出逢いに彼女の心は癒されていき…。
おすすめポイント
日常の生活に疲れ、ふと向かった旅先で出会う人びとに心をあらわれていく女性たち。人生に悩んで分岐点に立ったとき、それにどう向き合えばよいかを、旅をとおし教えられているようでもある。
緩やかに移りゆく景色に、新たな出会いをとおし自分を見つめ直していく姿に、心を癒され旅に出かけたくなる作品集。
『虹の岬の喫茶店』森沢明夫
あらすじ
小さな岬の先端にたたずむ喫茶店。そこでは美味しいコーヒーとともに、お客さんの人生に寄り添ってくれる音楽を選曲してくれるおばあさんがいる。ときどき窓から海を眺め、彼女はひとりで店をまわしていた。
心に傷を抱えた人びとが、店に引き寄せられるように集まってくる。店をおとずれたことで、彼らの人生が少しずつ変化していき…。
おすすめポイント
おばあさんが営んでいる岬にある喫茶店。そこに集まる人びとは、心に傷を抱えていた。妻を亡くしたばかりの夫、就活に悩んでいる大学生、ある事情により罪を犯そうとする男、にと人生の岐路に立たされているものが、コーヒーとともにおばあさんの言葉に癒されてる姿に、ほっこりさせられる。
岬にたたずむ喫茶店で、お客さんの心にそっと寄り添いながら、やさしく背中を押してくれるさまに、心をあたためられる作品集。
『イン・ザ・プール』奥田英朗
伊良部総合病院の地下にある神経科をおとずれる患者たちは、「いらっしゃーい」っと、甲高い声に迎えられる。色白でいて巨体を揺らす、精神科医の伊良部一郎。彼のもとには、プール依存症、ケータイ中毒、慢性勃起症状にと、一癖ある患者ばかりがやってくる。
だが、治療する医者はもっと変だった。彼の言動は無茶苦茶で、患者が困惑するほどだ。しかし、なぜか病は不思議と快方に向かっていき…。
強烈すぎる個性を放つ、精神科医の伊良部。彼の診察室には、深刻な悩みをもったクセの強い患者たちがやってくる。そんな患者たちに、常識はずれな治療をほどこすが、なぜかそれが良い方向に。ユーモアあふれるそのさまが、病みつきになってしまう。
変人医師のハチャメチャな言動に、笑わずにはいられないハートフルな作品集。
『逆ソクラテス』伊坂幸太郎
あらすじ
敵は、先入観。「僕はそうは思わない」「いじめられ子だったとしたら、何か変わるのか?」「親だって人間だ」「それはギャンブルじゃなくて、チャレンジだ」「最終的には、真面目で約束を守る人間が勝つんだよ」、読者に向けて投げかけられているような言葉の数々に、ハッとさせられる5つの短編集。
おすすめポイント
すべての話の主人公が小学生ということで、どの世代の人が読んでも感情移入できる話が存在しており、自分の胸に手をあてて考えさせられる。伊坂流の授業を生徒になった気分で受けることのできる作品。
『ツナグ』辻村深月
あらすじ
一生にたった1度だけ、死んだ人との再会を叶えてくれる仲介人の「使者」。突然亡くなってしまったアイドル、母に癌と告げることのできなかった息子、喧嘩したまま会えなくなった親友、婚約者が失踪してしまった会社員、ツナグの仲介により再会した死者と生者。それぞれの想いが交差していく、5つの連作短編集。
おすすめポイント
それぞれが死者にたいして、想いや後悔を抱いている。死者に会うことで、そのわだかまりを解消して前に歩んでいこうとしていた。死を見つめ直し、これからの生を考えていくテーマは感慨深い。誰もが迎える死と向き合うことで、命の尊さが心の奥底に染み入ってくる作品。
『きみの友だち』重松清
あらすじ
事故に遭って足の不自由な恵美ちゃんと生まれつき病弱な由香ちゃんは、ある事件がきっかけでクラスの誰とも付き合わなくなった。学校の人気者であるブンちゃんは、なんでもできる転校生のモトくんの存在がなんとも面白くない。
優等生にひねくれた奴、弱虫に八方美人。それぞれの物語が紡ぎだす「友だち」のほんとうの意味をさがす。
おすすめポイント
事故により左脚が不自由になった恵美と病気がちの由香は、クラスで孤立し2人だけの関係を築いていく。登場人物は、それぞれに不安と悩みを抱えながらも、自分なりの答えを見いだし前に一歩踏みだす。その姿が、心に沁みてくる。
学校という狭い世界がすべてである生徒たちが、もがきながら成長していくさまに、友だちの本当のあり方に気づかせてくれる作品集。
『祈りのカルテ』知念実希人
あらすじ
研修医である諏訪野良太は、初期臨床研修を受けるなかで、内科、外科、小児科など、様々な科をまわって医師としての基礎力を身につけようと精進していた。さまざまな科で患者たちと接していくなかで、自分がどの科を専門にするのかを決めかねていた。
おすすめポイント
洞察力に優れ、患者に寄り添うことができる良太だが、それが故に不向きな科もある。読み進めるごとに彼の人柄に触れることになり、その魅力に引き込まれていく。
ひとりの研修医が患者と触れ合うなかで、自身の方向性を見出そうとしながら人として成長していく姿に、心揺さぶられる作品。
『昨夜のカレー、明日のパン』木皿泉
あらすじ
7年前、25歳という若さで亡くなった一樹。あとに遺された嫁のテツコは、一樹の父・ギフと一緒に暮らす日々を送っていた。
ふたりは周囲の人びとと交わりながら、ゆるゆると彼の死を受け入れていく。なにげない日常のなかで、発せられるコトバが優しく心に語りかけてくる。
おすすめポイント
大切な人を亡くし、遺された家族。穏やかな日々を過ごしながらも、心に抱えた喪失感。失ったものを想いながらも、ゆっくりと日常に身をまかせ生を感じつつ、徐々にではあるが前へと進んでいく。そのさまは、愛おしくも、ほっこりさせられる。
辛いはずの過去に囚われるのではなく、悲しみの中でも日々の暮らしに幸せを見いだしていく姿は、切なくも心にしみるものがある作品。
まとめ
どうですか、気になった書籍は見つかりましたか?
この記事を通して、少しでもあなたの読書生活が有意義なものになったら幸いです。
それでは、まったです。 (‘◇’)ゞ
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