こんにちは! 天才にも苦労は存在するとわかったネイネイ(@NEYNEYx2)です。
今回は、本作品で第9回野性時代フロンティア文学賞を受賞した、岩井圭也(@keiya_iwai)さんの『永遠についての証明』を読みましたので、あらすじや感想・レビューをご紹介します。
天才だからこその孤独、苦悩、葛藤、それらをあなたも、この本で堪能してみてはいかがでしょうか。
『永遠についての証明』岩井圭也【あらすじ&概要】
あらすじ
天才的な数学の才能を持っている三ツ矢瞭司。特別推薦によって協和大学の数学科に入学し、類まれな才能は周囲を驚かせていった。そんな彼は、同期で特別推薦生でもある熊沢勇一と斎藤佐那を惹きつけ、3人は共同で数学にひたすら挑む日々を過ごす。だが、瞭司の抜きんでた才能はやがて、周囲の人間関係を歪ませていき、徐々に彼は深い闇にのまれていく。
出会いから17年後、孤独に苛まれ亡くなった瞭司が遺した研究ノートを手にした熊沢は、そのなかに未解決問題「コラッツ予想」の証明と思われる記述があることに気づく。贖罪を胸に抱える熊沢は、このノートと向き合っていこうとするのだが…。
おすすめポイント
数学の感覚が人並みはずれた天才が見ているモノの描写が綺麗で、乾いたのどを潤す水のように心地よく体の中に浸透してくる。
もし、そんな風景を味わえるのなら行ってみたいと思わせる比喩に魅せられてしまう。
コラッツ予想
本書に登場する未解決の難問に「コラッツ予想」がある。
コラッツ予想は、数学を研究したことのある者なら誰もが知っている難問で、1930年にドイツの数学者コラッツが提示した問題だそうです。 コラッツ予想の内容は以下のようなものです。
予想の内容は、足し算、掛け算、割り算ができれば理解できる。
<任意の正の整数nを選ぶ。nが偶数の場合は2で割り、nが奇数の場合は3をかけて1を足す。この操作を繰り返すと、どのようなnからはじめても有限回の操作のうちに1に到達する>
(P20より)
ちなみに最初の数が18、11だと、下記のようになります。
18→9→28→14→7→21→64→32→16→8→4→2→1
11→34→17→52→26→13→40→20→10→5→16→8→4→2→1
自分がやりたいだけ
熊沢が奥さんに「やりたいからやってるだけなんでしょ」と論され、納得する場面がある。
内心、熊沢はうなずいた。数学者の道を選んだのは、数学に歓びを見出しているからだ。社会のためとか何とか言っても、結局、楽しいから数学をやっているだけだ。きっと、研究者と呼ばれる人種には多かれ少なかれそういう側面がある。
(P54より)
研究や開発にたずさわる者ならこの場面で、ウンウンと頷いているのではないだろうか。
なんだかんだいっても「自分がやりたいだけ」なのだと。 自身が興味あること、好きなことでなければ難題に立ち向かえないし、そもそも挑戦しようとも思わない。
研究者の心情が垣間みえ、家庭をおろそかにする者の考えがチョットだけ、わかった気がします。
監督よりプレイヤー
小沼が教授の職をおりて他の研究所に移って、数学に没頭できる環境を選択するシーンがあります。
「教授になった時点で、第一線に諦めたつもりだった。でもな、瞭司たちがムーンシャインの一般化を完成させた時、俺は喜ぶより先にお前を妬んで、後悔した。なんで俺はこんなに早く諦めてしまったんだって。だからもう一度、挑戦する。きっと生まれつき、監督よりプレイヤーが向いているんだろうな」
(P147より)
どの職業でもある程度の年齢になれば、管理職になるのか選択を迫られる日が訪れることでしょう。
一般的に会社内の立場は役職者のほうが上で、現場の者は下とされます。 もしこの2択を迫られたときに地位を選択するのか、現場で手を動かすことを選択するのか、自分自身ならどうするか考えを巡らすのも面白いですね。
感想・レビュー
純粋に数学が好きで才能にも恵まれて、数学を生きがいにして生活している。ただ、突出しているがゆえに周りに理解されず、時には嫉妬や偏見の目で見られる。
そんな状況でも数学と向き合い、まだ見ぬ景色を追い求める姿は、自分の居場所をそこに求めているようでもある。
天才がときに変人あつかいされてしまうのも、天才だけが見ている光景がそうさせているのかもしれませんね。
まとめ
数学の天才が抱えている苦悩や葛藤、そしてその先にある光景を描いた物語。
天才にしか見れない景色を、あなたも味わってみてはどうでしょうか。
それでは、まったです。 (‘◇’)ゞ
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コメント
コメント一覧 (1件)
≪…「コラッツ予想」…≫を、数の言葉ヒフミヨ(1234)が、1・2・3.4次元で閉じ(計算でき)ていることかなぁ~
部分の[1]と全体の[1]が、互いに整合性をモツというコトか?