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【2023年版】面白い小説おすすめランキング【ジャンル別】

こんにちは! ネイネイ(@NEYNEYx2)です。

今回は数ある小説で、ミステリー、どんでん返し、ホラー、ファンタジー、青春、恋愛、家族、感動、医療、社会派、純文学、歴史・時代、映像化作品の中から2023年版『面白い小説おすすめランキング』をジャンル別にてご紹介します。

まだ、読まれていない本があれば、これを機に読んでみてはいかがでしょうか。

 

目次(タップできます)

【2023年版】小説おすすめランキング【ジャンル別】

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【いま話題】面白いおすすめ小説

【2023年版】おすすめ小説ランキング!

『汝、星のごとく』凪良ゆう

あらすじ

瀬戸内の島で生まれ育った高校生の暁海(あきみ)と、男なしでは生きていけない母にふりまわされ島に転校してきた櫂(かい)。お互いに孤独と欠落を抱えていた2人は、惹かれ合い、すれ違い、そして少しずつ成長していくが…。

生きることの自由さと幸せのあり方について描き出し、ひとつではない愛の物語を紡がれる。

おすすめポイント

17歳から15年にも及ぶ、暁海と櫂のふたりの恋愛とともに、思うようにいかない苦難に満ちた人生が描かれる。互いに惹かれあっていたはずの2人が、歳月を重ねるにつれ少しずつすれ違い、それぞれの人生を選択していく。

ふたりの恋愛をとおして、自分が生きたいと思う人生を歩むことの難しさと、選択の大切さを考えさせられる物語。

『ラブカは静かに弓を持つ』安壇美緒

あらすじ

幼いとき、チェロ教室の帰り道である事件にあってから、深海の悪夢に囚われながら生きてきた橘。そんなある日、上司の命令により音楽教室への潜入調査という業務をすることになった。

生徒に扮して、著作権法の演奏権を侵害している証拠をつかむことが目的だ。身分を偽って、チェロ講師・浅葉のレッスンに通いはじめた。音楽を奏でる歓びを知り、彼の心の傷を癒していくのだが、法廷に立つ日が迫ってきて…。

おすすめポイント

音楽著作権を管理する団体の職員である橘は、ミカサ音楽教室への潜入調査を上司から命じられる。それは、レッスンを受けながら、著作権法の演奏権を侵害していないかを調べるためだった。

スパイとして潜り込んだ音楽教室で、熱心な指導をする先生や教室の仲間たちと出会い、音楽を奏でる歓びに目覚めていく。音楽に魅了されながらも、潜入という裏切りに葛藤する橘の姿に、心を揺り動かされ余韻に浸ってしまう物語。

『光のとこにいてね』一穂ミチ

あらすじ

小学2年のとき、古びた団地の片隅で彼女と出会った。わたしと彼女は、すべてが違った。着るもの、食べもの、住んでる世界も。それでも不思議と、彼女が笑うと、わたしも笑顔になれた。

ずっと一緒にはいられなくても、この一瞬がずっと続くことを祈っている。運命に導かれて、そして引き裂かれ、ひとつの愛に惑うふたりの四半世紀の物語。

おすすめポイント

とある団地で出会った結珠と果遠のふたりの少女。なにもかも違うはずなのに、お互いに惹かれ合いながらも、運命に翻弄されて出会いと別れを繰り返していく。

7歳、15歳、29歳と出会いを繰り返す、ふたりの女性の愛か友情かもわかからない感情と絆。「光のとこにいてね」に込められた想いに、心を揺り動かされる作品。

『方舟』夕木春央

あらすじ

大学時代のサークルの仲間たちと従兄ともに山奥の地下建築をおとずれた柊一。きのこ狩りで迷っていた3人家族も合流することになり、地下建築の中で一夜を過ごすことになる。

そんな中、夜明けに発生した地震によって、扉が岩でふさがれてしまう。さらには、地盤に異変があり、水が流入しはじめて、およそ1週間で水没する。そんなとき、殺人事件がおこってしまい…。

おすすめポイント

地震によって地下建築に閉じ込めらた10人は、水没によるタイムリミット前に脱出方法を探っていくクローズドサークルもの。そんな密閉された空間で殺人事件がおき、お互いを疑いながら犯人探しと謎解きを迫られる。

疑心暗鬼になった者たちの息苦しさと、タイムリミットが迫ってくる緊迫感が伝わってくる。推理を重ねていき少しずつ真実に近づいていく展開と、その先に待ち受けている真相に驚きを隠せない作品。

『おいしいごはんが食べられますように』高瀬隼子

あらすじ

職場でそれなりにうまく立ち回っている二谷。仕事ができてがんばり屋の押尾。料理が上手いが、体が弱く「つらい」仕事はできずに、周りから守ってもらえる存在の芦川。

そんな、職場でのままならない微妙な人間模様を描いた、仕事+食べもの+恋愛小説。

おすすめポイント

病弱であるが、可愛らしく守ってあげたくなる存在の芦川。なにかと頑張ってしまう押尾。そつなく業務をこなす二谷。そんな3人の職場でのちょっと歪んだ人間関係が描かれる。

閉鎖された空間である職場。その中で繰り広げられる人間の暗い感情に共感させられ、考えを巡らせてしまう。身近にありそうな人間関係にモヤモヤが募っていくが、なぜか惹かれてしまう物語。

『マスカレード・ゲーム』東野圭吾

あらすじ

都内でおきた3つの不可解な殺人事件。捜査をするなかで、被害者はみな過去に人を死なせたことのある者だった。やがて、その被害者たちを憎んでいる過去の事件の遺族たちが、ホテル・コルテシア東京に宿泊するということが判明する。

警部となった新田浩介は、またしてもホテルへの潜入捜査をおこなうことになるのだが…。

おすすめポイント

またもや、あの一流ホテルに潜入捜査することになった刑事の新田。警部に昇進して、ひと回り成長した彼の姿が描かれながらも、上司や新たに登場した女性の梓警部に捜査をかき乱され、頭を悩ませていく。

先の展開が読めないミステリーとしての面白さだけでなく、過去の事件における遺族や加害者たちの「罪」と向き合う姿に、心を揺り動かされるものがある物語。

 

【ミステリー】おすすめ小説

ミステリー小説

面白いおすすめミステリー小説【ジャンル別】

7位『謎解きはディナーのあとで』東川篤哉

あらすじ

国立署の新人刑事である宝生麗子。その正体は、世界的にも有名な「宝生グループ」のお嬢様だが、職場では秘密にしている。職場では、パンツスーツに黒縁メガネという地味な着こなしながら、大豪邸に戻ればドレスに着替えて優雅にディナーを楽しむ麗子。難事件により捜査が進まなくなると、執事の影山にいつも相談しては、「失礼ながら、お嬢様の目は節穴でございますか?」と毒を吐かれながらも、事件の謎を解き明かしていく。

おすすめポイント

お嬢様の麗子と毒舌の影山ふたりの、痛快でいてユーモアたっぷりの掛け合いが、本作の最大の魅力になっている。またそこに、おぼっちゃんの風祭警部がスパイスを加えて、ライトミステリーを堪能することができる。

お嬢様刑事と暴言を吐く執事の軽快な会話をたのしみながらも、謎解きの爽快感を味わえる作品集。

6位『告白』湊かなえ

あらすじ

「愛美は死にました。しかし事故ではありません。このクラスの生徒に殺されたのです」中学校の1年B組。終業式の日に担任である森口悠子は、教師を辞めることを生徒たちに告げた。その原因とされる、娘がプールに転落して亡くなったことについて語りだす。犯人である「A」と「B」をあげながら、すでに彼らには復讐を仕掛けた、と宣告して去っていく…。

おすすめポイント

大切なものを失った哀しみと憤りは、きれいごとだけでは語れない。それは、教師という立場にあっても同じである。さらけだされた、人の心の奥底を覗き見すれば、嫌悪感を抱くかもしれないが、それが人なのだと感じさせ、物語に引き寄せられてしまう。事件の関係者たちの独白に、人間としての本性が透けて見え、それが読者に深い余韻を残していく作品。

5位『ホワイトラビット』伊坂幸太郎

あらすじ

指定された人間を誘拐してくる仕事をしている兎田考則。そんな男の新妻である綿子が誘拐グループにさらわれてしまう。無事に返してほしければ、誘拐グループのコンサルトをしているオリオオリオを連れてこい、と条件を突きつけられる。兎田は懸命に探し回り、やがて一件の家に辿り着く。その家には訳ありの人たちが集まり、いつの間にか籠城事件へと発展していくのだが…。

おすすめポイント

登場人物がそれぞれに問題を抱えており、選択に悩みながらも現状を打開していこうとする姿には、ハラハラとドキドキが止まらない。著者の巧みな時間軸の構成に、混乱と戸惑いをいだきながらも、物語に魅入られてしまう。

4位『満願』米澤穂信

あらすじ

人を殺めた女は、控訴を取り下げて刑が確定した。静かに刑期を終えるが…。(「満願」)失踪した恋人のもとを訪れ、信頼を取り戻そうと奔走するのだが…。(「死人宿」)ビジネスマンが直面する最悪の交渉条件に緊迫する。(「万灯」)切実に生きる人びとが遭遇する奇妙な6つの事件。表題作を含む短編集。

おすすめポイント

それぞれにティストの違う独立した6つの話に、人間の内に秘めた狂気や執念を描いている。それらは、じわじわと忍び寄る不気味さをあたえつつも、深い余韻と心のざわつきを読者に残していく。

人生を狂わされた者たちの事件に潜んでいる動機に、ダークさと後味の悪さがクセになる作品集。

3位『すべてがFになる』森博嗣

あらすじ

孤島の研究所で、幼少期から隔離された暮らしをおくる天才プログラマーの女性である真賀田四季。彼女の部屋からウエディングドレスを着飾った、両手両足を切断された死体が発見された。

たまたま、島をおとずれていたN大助教授の犀川創平と女子学生の西之園萌絵が、この謎に満ちた密室殺人に挑んでいく。

おすすめポイント

孤島のハイテク研究所でおこった密室殺人。手の込んだトリックもさることながら、天才である真賀田四季の存在感が大きく、天才ならではの思考や価値観に魅力を感じてしまう。また、刊行が20年前だというのに、VR技術を的確に捉えている部分も興味をそそられる。

理系の知識と思考を試される、トリックを存分に堪能することのできる理系ミステリー作品。

2位『容疑者Xの献身』東野圭吾

あらすじ

高校教師である石神は、天才数学者でありながら不遇な生活をおくっていた。娘の美里と2人で暮らす隣人の花岡靖子に秘かな想いを寄せていた。あるとき、前夫である富樫が居場所を特定して訪ねてくるのであった。金を無心し、暴力をふるう富樫に耐えかねて、靖子と美里は殺してしまう。2人の状況を察した石神は、救うために完全犯罪を企てる。しかし、石神と大学時代の親友でもある、天才物理学者の湯川学が、捜査に加わり真相に近づいていくのだが…。

おすすめポイント

天才vs天才の攻防に目が離せないだけでなく、湯浅の親友を思いやり苦悩する姿も見どころである。湯浅が天才と認めた男が企てた完全犯罪、そこに隠された切なくも驚くべき真実に、あふれでる感情を抑えきれない。

1位『屍人荘の殺人』今村昌弘

あらすじ

神紅大学ミステリ愛好会の一員である葉村譲と会長の明智恭介は、同じ大学の「探偵少女」である剣崎比留子に誘われて、いわくつきの映画研究部の夏合宿に参加することに。

合宿初日の夜に、きもだめしをしようと映研のメンバーたちで出かけるのだが、予想だにしない事態に巻き込まれ「紫湛荘」に立てこもらざるを得ない状況になった。翌朝になり、密室で変わりはてた姿でメンバーの1人が見つかり…。

おすすめポイント

本作は、紫湛荘にあることで閉じ込められるクローズド・サークルものなのだが、その設定があまりに斬新で読者を惹きつける。また、紫湛荘のなかで繰り広げられる連続殺人には、緊迫さがこちらまで伝わり目が離せない。

大胆な密室ものの設定と緻密なトリックが融合し、謎解きの楽しさを存分に味わえる物語。

 

【どんでん返しミステリー】おすすめ小説

どんでん返しミステリー小説

どんでん返しおすすめミステリー小説【衝撃のラストが!】

7位『カラスの親指』道尾秀介

あらすじ

人生のどん底へと落ち、詐欺を生業としている中年男の武沢とテツ。ある日、ひとりの少女を助けたことで一緒に住むことに。さらには、同居人が増えていき、5人と1匹の奇妙な共同生活がはじまった。

やがて、彼らは悲しい過去と訣別するため、また失くしたものを取り戻すために、大計画を企てていくのだが…。

おすすめポイント

辛い過去を背負いし者たち5人が、一世一代の大勝負に打ってでる。息もつかせぬ展開にハラハラさせられつつ、壮大な騙し合いに目が離せなくなっていく。

過去に囚われながらも、必死にあがき前に進んでいこうとする姿に、清々しい読後感を味わえる物語。

6位『アヒルと鴨のコインロッカー』伊坂幸太郎

あらすじ

大学入学のため引っ越ししてきた椎名は、隣人である河崎に「一緒に本屋を襲わないか」と突拍子もないことを持ちかけられる。無論そんな話に乗る気はなかったのだが、なぜか椎名はモデルガン片手に書店の裏口に立ってしまう。その後ペットショップ店長の麗子から2年前のできごとが語られる…。

おすすめポイント

2年前の事件と現在のできごとが重なりあったとき、本屋襲撃の裏にある真相が浮かびあがり読者に衝撃を与えてくる。読後にタイトルの意味になるほどと納得。ほろ苦さと哀愁が心に響きわたる青春ミステリー。

5位『ハサミ男』殊能将之

あらすじ

2003年の東京。ちまたでは、女子高生の喉にハサミを突き立てられる連続猟奇殺人事件が発生していた。マスコミは犯人を「ハサミ男」と呼び、世間の注目を集めていた。

一方で、ハサミ男は3人目のターゲットを決め、入念な調査をおこなっていた。だが、自分の手口を真似た死体を発見した。ハサミ男は、誰がこんな殺害をおこなったのか調査を開始しはじめるのだが…。

おすすめポイント

遺体の首にハサミを突き立てる残忍で猟奇的な殺人事件。しかし、模倣犯があらわれ、殺人鬼であるハサミ男が真犯人を探すという特殊な設定ながら、緻密に計算された仕掛けに読者はしてやられる。

隠された仕掛けに、騙される快感を愉しむことのできる、上質なミステリー。

4位『葉桜の季節に君を想うということ』歌野晶午

あらすじ

元私立探偵である成瀬将虎は、いつも利用しているフィットネスクラブに通う久高愛子から、身内が巻き込まれた悪質な保険金詐欺について証拠を掴んでほしいと依頼された。

同じころ、将虎は地下鉄に飛び込もうとしていた麻宮さくらを助け、それをきっかけにデートを何度かする仲になっていく。やがて、保険金詐欺と将虎の恋の2つのできごとが交わり…。

おすすめポイント

「何でもやってやろう屋」を称している成瀬将虎が、依頼を受けた保険金詐欺の調査に奔走していく。軽快に進んでいくストーリーに気を取られていると、みごとに足元をすくわれ、ハッとさせられてしまう。

予想だにしない展開に、爽やかに騙されながらも、タイトルに込められた想いに馳せてしまう作品。

3位『殺戮にいたる病』我孫子武丸

あらすじ

東京の繁華街でつぎつぎと猟奇的な殺人を繰り返していた蒲生稔が逮捕された。通報したのは、独自の調査を進めていた元警察官の樋口。その逮捕現場には、息子が犯人なのではと疑っていた、母親の雅子の姿もあった。

そして物語は、これまで蒲生稔がおこなってきた残忍な犯行があかされていくのだが…。

おすすめポイント

街でくり返される猟奇的殺人事件。冒頭の犯人逮捕のシーンからはじまり、犯人、元刑事、犯人の家族、という3つの視点から事件をさかのぼって語られていく。グロテスクな描写も多いが、ぐいぐい読者を引き込んでいき、驚きの展開にしばし言葉を失う。

シリアルキラーの男がこれまで歩んできた軌跡に、恐ろしさとともに衝撃を受ける物語。

2位『十角館の殺人』綾辻行人

あらすじ

無人島である孤島の角島。その島に建つ十角形をした奇妙な館の「十角館」に、大学のミステリー研究会のメンバー男女7人がおとずれた。この島では、半年前に四重殺人事件がおきており、館を建てた建築家の中村青司を含む4人が亡くなった曰くつきの場所でもある。

そんな島での1週間を満喫するはずの彼らは、やがて連続殺人事件に巻き込まれていく…。

おすすめポイント

春休みを満喫するためおとずれた孤島でおこる連続殺人。動機やトリック、構成にとミステリーの魅力がすべて詰まった、日本ミステリー界でもっとも有名な一冊。

時代が変わっても読み継がれる、この壮大な仕掛けに誰もが衝撃を味わうことのできる作品。

1位『medium 霊媒探偵城塚翡翠』相沢沙呼

あらすじ

香月史郎は、推理作家でありながら難事件を解決してきた。そんな彼が、ひょんなことから霊媒師の女性である城塚翡翠に出会い、ともに事件を解決することに。彼女は、霊媒によって死者の言葉を伝えることができる。だが、そこに証拠能力はないため、香月が霊視をもとに論理の力で事件を解決に導かねばいけない。

そのころ世の中では、連続殺人鬼が人びとを脅かしていた。姿を見せず証拠を残さない犯人を追い詰めるには、翡翠の霊媒が不可欠。しかし、殺人鬼の影がひそかに彼女のすぐそばまで迫っていた…。

おすすめポイント

霊媒師と推理作家という異色のコンビが事件解決に乗り出していく。それと並行するように語られていく、姿なき連続殺人鬼の存在が少しずつ大きくなり、緊迫感を高めていくとともに、やがて訪れる著者の仕掛けに読者は唸らされる。

どこに違和感をいだくのか、推理すべきは何なのか。頭をフル回転しなければ、謎すら見えてこない。「すべてが、伏線。」という、著者からの挑戦状がここに。

 

【ホラー】おすすめ小説

ホラー小説

おすすめホラー小説【怖いもの見たさでつい】

7位『リング』鈴木光司

あらすじ

苦悶の表情とともに4人の少年少女たちが、同日の同時刻に亡くなった。姪の死を不審に感じた雑誌記者の浅川は、怪死の真相を調査しはじめた。そして手にしたひとつのビデオテープ。

彼らは、このビデオテープを見た1週間後に死亡している。恐怖と期待が入り交じるなか浅川は、デッキに震える手でビデオテープを差し込んだ。画面に光があらわれ、静かに再生がはじまり…。

おすすめポイント

そのビデオを見たものは1週間後に死ぬという呪いのビデオ。呪いを解くため探っていくミステリー要素に加えて、にじり寄るようなスリルと恐怖に、興味をそそられ目が離せなくなってしまう。

忌まわしいビデオをめぐる謎解きと、迫りくるタイムリミットに、恐怖心を煽られるホラーを堪能できる作品。

6位『リカ』五十嵐貴久

あらすじ

印刷会社に勤める本間隆雄は、家族を愛する42歳の平凡なサラリーマン。軽いノリではじめた「出会い系サイト」で、ひとりの女性と知り合った。「リカ」と名乗る彼女とやり取りをしていたが、次第に常軌を逸した行動が目立ちだしたため、本間は携帯の番号を変えて連絡を断つことに。

しかし、リカの執拗なまでのストーキングに追い詰められていく。周囲の者にまで被害がおよび、本間はリカとの対決を決意するのだが…。

おすすめポイント

異常なまでの手段で追ってくる女性リカ。何をしでかすか分からない彼女が、じわじわ迫りくる不気味さにハラハラさせられる。そんな、現実でもおこりそうなストーカーの恐ろしさが、恐怖感を増幅させていく。

狂気に満ちた1人の女性が、徐々に忍び寄ってくる恐怖に戦慄を覚える作品。

5位『夜市』恒川光太郎

あらすじ

不思議な市場「夜市」では、妖怪たちがさまざまな品物を売っている。そこでは望むものは、なんでも手に入れることができる。幼いころ迷い込んだ夜市にて祐司は、弟と引き換えにして「野球の才能」を手に入れていた。エースとして野球部で活躍するまでに成長した裕司だが、たえず罪悪感に苛まれていた。

再びこの夜市をおとずれた今夜、弟を買い戻すため裕司は、強い意志のもと足を踏み入れていく…。

おすすめポイント

対価と引き換えに、ありとあらゆる物が手に入る「夜市」。日常からふと迷い込んだ別世界は、妖しくも興味をそそられるもので溢れている。それは、誰しもが子どもの頃におとずれた夏祭りのような懐かしさを抱かせ、読み手もいつの間にかその世界観に引き込まれていく。

幻想的でいて美しくも切なくもある雰囲気に、心惹かれ異界にいざなわれてしまう物語。

4位『火のないところに煙は』芦沢央

あらすじ

「神楽坂を舞台に怪談を書きませんか」。そんな依頼に作家である「私」は、8年前の凄惨な体験を思い出す。

結婚を考えていた恋人の男性とともに、当たると評判の「神楽坂の母」という占い師をたずねた角田尚子。だが、結婚は不幸になると告げられ、ふたりの関係はギクシャクしていき、ある悲劇が。ある日、仕事でたずさわった交通広告のポスターに奇妙なシミが見つかり…。(「染み」)

おすすめポイント

フィクションをドキュメンタリーのように描かれた本作。あたかも実話かな、と思わせるようなリアルな話に恐怖を覚えつつも、読み進めた先におとずれる仕掛けに背筋が凍りつく。

リアリティのある一つ一つの話に慄きながら、じわじわ迫りくる恐怖にゾッとさせられる。

3位『首無の如き祟るもの』三津田信三

あらすじ

奥多摩にある媛首村。そこは、かつて首を斬られて亡くなった女の怨霊である淡首様の伝承が残る地でもある。そんな村の秘守家には、13歳になると「十三夜参り」という儀式があった。

その儀式のさなか惨劇ははじまり、さらには10年後にも悲劇がおきていき…。

おすすめポイント

媛首村でおきた2つの未解決事件。巧妙に練りあげられた構成、密室の謎にトリックや叙述にと、仕掛けがふんだんにあり、読者はそれに振り回されながらも存分に楽しめる。また、怪異なその雰囲気もまた本作を盛り上げている。

怪異とミステリーの融合された世界観を堪能しながらも、謎解きを存分に味わうことのできる「刀城言耶」シリーズ第3作目の傑作。

2位『黒い家』貴志祐介

あらすじ

生命保険会社の京都支社で、保険金の支払い査定をおこなっている若槻慎二。あるとき、顧客の家に呼ばれ訪問した先で、子どもが首を吊った状態で亡くなっているのを発見してしまう。

ほどなくして、死亡死亡保険金が請求されたのだが、顧客の態度に不信感をつのらせた若槻は、独自の調査に乗り出していく。しかし、それが悪夢のはじまりになろうとは思ってもいなかった…。

おすすめポイント

保険金をめぐり描かれる人間の怖さ。欲望のためなら手段は選ばずに、躊躇なく実行する人間の恐ろしさがヒシヒシと伝わってくる。また、ひょっとしたら自分の身にこんなトラブルがおきるのでは、と思わせる恐怖感もある。

元保険会社に勤務していた著者ならではの、迫りくる人間の恐さを強烈なまでに心に刻み込まれる作品。

1位『ぼぎわんが、来る』澤村伊智

あらすじ

幸せな新婚生活をおくっていた田原秀樹。あるとき彼の会社に、とある来訪者があった。それをきっかけに、秀樹の周りで超常現象というほかない怪異なできごとが頻発していた。

怪異から愛する家族を守るため、伝手をたどり比嘉真琴という女性霊媒師をたよることになった秀樹。はたして、迫り来るとてつもなく凶暴な存在から逃れられるのだろうか…。

おすすめポイント

イクメンである田原秀樹の「訪問者」、秀樹の妻である香奈の「所有者」、オカルト・ライターである野崎の「部外者」の3つの章で構成される本作。得体の知れないものが近づいてくる恐怖と緊迫感に、不安を掻きたてられ目が離せなくなっていく。また、視点が変わることで浮かび上がる人間の闇も見どころの一つとなっている。

日常が脅かされる怪異に、恐ろしさと不気味さを堪能しつくすことのできる物語。

 

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7位『モモ』ミヒャエル・エンデ

あらすじ

町はずれにある廃墟の円形劇場に住み着いた少女モモ。彼女に話を聞いてもらうと、幸せな気持ちになれるという不思議な力を持っていた。周りの人びとは、なにかあるとモモに相談することで、心穏やかな日々を過ごしていた。

しかし、そこへ「時間どろぼう」の男たちの魔の手が忍び寄ってきて、人びとの生活は少しずつおかしくなってしまい…。

おすすめポイント

時間どろぼうの灰色の男にそそのかされ、盗まれた時間を取り返そうと奔走する少女モモ。ムダな時間をなくすことで、慌ただしく働くことで経済的には裕福になるが、心に余裕がなくなっていく。つねに効率が求められる現代社会において、時間をどのように扱うのかを深く考えさせられる。

灰色の男たちとモモの攻防を通して、現代人が忘れがちな時間の大切さをあらためさせ、心に深く響くるものがある物語。

6位『指輪物語 旅の仲間』J・R・R・トールキン

あらすじ

はるか昔、冥王サウロンがつくりし闇の力を秘めた恐ろしい指輪。思いがけず指輪を手にしたホビット族のフロドは、魔法使いのガンダルフより指輪の正体を告げられた。このままでは、故郷が危険に晒されるとの思いから、彼は仲間とともにホビット庄をあとにした。

そして、はてしない冒険が幕をあげる。幾多の出会いと別れ、友情に裏切りを繰り返していく。一体、その先になにが待ちうけているのか…。

おすすめポイント

映画「ロード・オブ・ザ・リング」の原作である『指輪物語』。ホビットにエルフ、ドワーフ、魔法使い、エルフなど多彩な種族に魅せられながら、世界を滅ぼす魔力を秘めた「ひとつの指輪」をめぐり繰り広げられる仲間たちとの壮大な旅に引き込まれていく。

闇の力を秘める黄金の指輪をめぐり、集まりし仲間たちとの大冒険に、心を奪われてしまう作品。

5位『火狩りの王 春ノ火』日向理恵子

あらすじ

人類最終戦争後の世界。大地は黒い森に覆いつくされ、結界に守られた土地にて細々と暮らしていた。人びとは、そばで自然の火が燃えると、自分も内側から発火してしまう、「人体発火病原体」に悩まされていた。

この世界で人が安全に使用できる火は、森に棲む炎魔から採れるものだけだ。そんな火を手に入れることを生業とする火狩りたちに、ある噂が密かにささやかれていた…。

おすすめポイント

火を使うことに重い制約がついてしまった世界。災いにより過酷な運命をしいられながらも、それらを乗り越えようと奔走する少年少女たちに、困難に抗う力を与えてくれる。

謎多きその世界観に惹きつけられ、非力な子どもたちが駆け巡る姿に目が離せなくなり、物語にどっぷり引き込まれていく。

4位『熱帯』森見登美彦

あらすじ

汝にかかわりなきことを語るなかれ――。という警句からはじまる謎めいた1冊の本『熱帯』。若かりしころ、手にして読了を前に忽然と消えてしまった不思議な本を探し求める作家の森見登美彦氏。

ある日、「沈黙読書会」なる催しで本のことを知る女性と出会った。彼女は、「この本を最後まで読んだ人間はいないんです」と告げるが、その真意はわからない。幻の本をめぐる旅は、東京の片隅から京都を駆け抜け、やがて冒険は大海原へと続いていく…。

おすすめポイント

最後まで読んだ者はいない奇妙な本をめぐる冒険譚。物語のなかに物語が広がる入れ子構造に、一度そこに迷い込んだら物語に囚われて抜け出せない。そんな現実と幻想の世界をさまようような不思議な体験をさせられ、本を読む愉しさを存分に味わえる。

誰もラストを知らない謎めいた奇書をめぐる冒険に、今までにない読書体験を味わうことのできる物語。

3位『烏に単は似合わない』阿部智里

あらすじ

人間の姿に変身することのできる八咫烏やたがらすの一族が支配する「山内」。今まさに、世継ぎである若宮の后選びがはじまろうとしていた。朝廷で激しい権力争いをする四家の貴族から遣わされた4人の姫君。

春夏秋冬を司るかのようにそれぞれに魅力を誇る姫君たち4人が、思惑を胸に秘めて后の座を競うなか、さまざまな事件がおこっていき…。

おすすめポイント

若宮の后選びをめぐり立場も性格もまったく違う、4人の姫君たちが競い合う。それぞれの思惑が絡み合うなか、嫉妬と憎悪にみちた愛憎劇が繰り広げられる。しかし、予想だにしない展開を迎え、いい意味で期待を裏切られる。

世継ぎの后選びをめぐり火花を散らす姫君たちに、迫りくる謎の数々に魅入られていく物語。

2位『精霊の守り人』上橋菜穂子

あらすじ

短槍使いである30歳の女用心棒バルサ。彼女は、新ヨゴ皇国の第2王子であるチャグムを母の二ノ妃から託された。チャグムには水の魔物が憑いており、それを疎ましく思った父帝に命を狙われているという。

王宮から追ってくる刺客や、王子に宿る卵を狙おうとする異界の魔物らと死闘を繰り広げ、バルサはチャグムを守りながら、逃亡をしていくのだが…。

おすすめポイント

精霊の卵を宿した皇子チャグムの護衛を任された女用心棒バルサ。幼いころバルサ自身も命を狙われた経験があり、父の親友で短槍使いのジグロに救われた過去があった。それらをチャグムの歩んでいる人生に自らを重ねていく姿は、いとおしさと切なさがある。

精霊の卵をめぐる理不尽な闘いに巻き込まれながらも、道を切り開いていくバルサたちに、胸の高鳴りを感じずにはいられない物語。

1位『月の影 影の海 十二国記』小野不由美

あらすじ

それまで普通の女子高生であった陽子。ある日、彼女の前に「ケイキ」と名乗る異様な出で立ちをした男があらわれ、見知らぬ異界へと送られた。

ケイキたちとはぐれ陽子は、異形の獣には襲われたり、出会うものに裏切られながらも、さまよい続けていく。なぜ異邦へ迎えられたのか、そして戦わなければいけないのか…。

おすすめポイント

突如として異世界へと導かれた女子高生の陽子。彼女がおとずれる土地で、孤独や苦難に苛まれながらも成長していき、力強く生き抜いていく姿に、前に進む勇気をわけてもらえる。

見知らぬ異世界に飛ばされ、つらい現実と向き合いつつも生き抜こうと歩みをやめない陽子に、心を奪われてしまう作品。

 

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7位『カラフル』森絵都

あらすじ

生前のあやまちにより、輪廻のサイクルから外れたぼくの魂。しかし、天使業界の抽選にあたり、もう一度チャンスをもらった。そして、ぼくは「小林真」という中学3年生の体にホームステイし、前世での悪事を思い出さなければいけなくなった。

ところが、ガイド役の天使からは、父親は自己中なヤツで母親は不倫中だと告げられる。気乗りしないホームステイであったが、よくよく周りを見渡してみれば、世の中そんなに単純じゃないことに気づいていき…。

おすすめポイント

再挑戦のチャンスを手にし、前世の罪を思い出さなければいけなくなった「ぼく」。生きていれば誰しも、あやまちを犯すことはある。とくに悩んで追い詰められたり、自分の世界にこもってしまうと、周りが見えなくなってしまう。

しかし本作では、人それぞれに個性があり決して1色ではなく、この世はもっと鮮やかに彩られていると、大切なことを教えてくれる。

いい加減な天使により与えられたチャンスに、今まで見えていなかったことに気づかされ、生きづらさを感じていた景色がまったく違ったことに心を救われる作品。

6位『風が強く吹いている』三浦しをん

あらすじ

逃げるように夜道を駆け抜けていく蔵原くらはらかける。そんな彼の前に、見知らぬ男が声をかけてきた。「走るのは好きか」と…。男は清瀬きよせ灰二はいじと名乗り、竹青荘という古びた学生寮に導かれた。

竹青荘には、特異な才能をもつ住人たちが暮らしていた。そして、まさか蔵原を含めた10名で、「箱根」に挑むことになろうとは夢にも思ってもいなかった…。

おすすめポイント

学生寮の竹青荘ことアオタケの住人たち10人で目指すことになった箱根駅伝。ヘビースモーカーの「ニコチャン」、司法試験に合格した秀才の「ユキ」、クイズ番組好きの「キング」、田舎育ちの「神童」、にと個性あふれるメンバーを、灰二が手を変え品を変えてみんなを導いていく。自分の弱さを認め、仲間を信じて、「速さ」ではなく「強さ」を追い求めていく彼らに、胸を熱くさせられる。

10人の才能豊かなものたちが、壁にぶつかり限界に挑みながら成長していく姿は、眩しくも羨ましくもあり読み手の心を掴んではなさない。

5位『小説の神様』相沢沙呼

あらすじ

学生で作家デビューしたが、作品は酷評されて売り上げも振るわずにいる高校生の千谷ちたに一也いちや。そんなとき、編集者の提案により人気作家との小説の共作をすることに。

その人気作家とは、同じ学校に転校してきた小余綾こゆるぎ詩凪しいなであった。まったく正反対のふたりが反発しあいながらも物語を紡いでいくうちに、一也は詩凪が抱える大きな秘密を知ることになるが…。

おすすめポイント

作品が売れずに自分を見失いつつある千谷一也。一方で、人気作家として注目され、クラスでも人気者の小余綾詩凪。そんな一也と詩凪のふたりが、壁にぶつかり思い悩みながらも、物語を綴ることに情熱を傾けていく姿に魅せられてしまう。

作家の厳しい現状を生々しく語りながら、「どうして小説を書くのか」という問いに真摯に向き合いつつ、前に進んでいこうとする2人に、胸を熱くさせる物語。

4位『砂漠』伊坂幸太郎

あらすじ

入学した大学で知りあった5人の男女。何事にもさめた北村、軽薄で女好きの鳥井、不思議な力が使える南、大学一の美人の東堂、まっすぐで熱い西嶋。麻雀に合コンに明け暮れ、犯罪者だって追いかける。己の未熟さに苦悩し、それでも、なにかを求めて手探りで前へ進もうとする青春物語。

おすすめポイント

魅力にあふれた登場人物が、二度と振り返ることのできない時間を、全力で爽快に駆け抜けていく。「社会」という名の砂漠に打ち勝つ、大切なモノを贈ってくれる群像劇。

3位『線は、僕を描く』砥上裕將

あらすじ

2年前に両親を交通事故で亡くし、自分のカラに閉じこもってしまった大学生の青山霜介。絵画展示の搬入作業のバイト先で、日本を代表する芸術家の篠田湖山と出会い、どういうわけか気に入られ内弟子にされてしまう。湖山の孫の千瑛は、それに反発し、翌年の「湖山賞」をかけて霜介と勝負するという。

霜介は、はじめての水墨画に戸惑いつつも、線を描くことで、人と自然との繋がり、生きることの意味を見いだしていく…。

おすすめポイント

喪失のなか将来に希望を見いだせず淡々とした日々を過ごしていた青山霜介。哀しみと孤独の中でもがいている主人公が、「水墨画」をとおして人びとに触れ、線を描くことに魅せられていく。閉ざしていた自身の内側の世界から、外の世界に飛び立とうとする姿には大きく心を揺さぶられる。

孤独にあった青年が、水墨画の線を描くことに魅せられ、自らの人生を再生していく姿は、美しくも心を癒される物語。

2位『蜜蜂と遠雷』恩田陸

あらすじ

若いピアニストたちの登竜門として世界的にも注目される芳ヶ江国際ピアノコンクール。

養蜂を生業とする父と移動生活をし、自宅にピアノを持たない16歳の少年・風間塵。かつて天才少女といわれたが母の死を境に、ピアノから離れていた20歳の栄伝亜夜。楽器店に勤務するサラリーマンで妻子持ちである、28歳の高島明石。完璧なまでの演奏技術と音楽性を兼ね備えて、優勝候補とされる19歳のマサル。

若き才能たちによる、熱き闘いの幕が上がる…。

おすすめポイント

ピアノコンクールに懸ける、それぞれが抱えている想いや葛藤に引き寄せられ感情移入させられる。また、本作の魅力の一つとなっている演奏シーン。文字として描かれているのに、ピアノが奏でる音をまるで読者もホールで聴いているかのごとく興奮させられる。

国際ピアノコンクールに挑んでいく、若き才能のピアニスト4人たちの姿に、音楽の世界にいざなわれ心を揺さぶられる物語。

1位『君の膵臓をたべたい』住野よる

あらすじ

高校生の僕は、病院でたまたま拾った「共病文庫」なる文庫本。それは、クラスメイトである山内桜良が綴っていた秘密の日記帳であった。なかには、彼女が肝臓の病気であり、余命いくばくもないことが記されていて…。

「名前のない僕」と「日常のない彼女」のふたりが紡ぐ、青春小説。

おすすめポイント

日記を拾ったことで、接点のなかった2人が関わりだし主人公の僕は、桜良に振り回されてしまう。病気であるはずなのに、無邪気に駆けまわる日々を過ごす桜良についつい余命が残り少ないことを忘れる。

しかし、着実に迫ってくるそのときが、切なくもあり、現実の非情さが深く心に刻まれるとともに、生きることの大切さを伝えているようでもある。

性格のまったく正反対の2人が出会い、迫りくるそのときまで今を謳歌して生きていく姿に、胸をふるわせる物語。

 

 

【恋愛】おすすめ小説

恋愛小説

おすすめ恋愛小説【胸がキュンとなる】

7位『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』七月隆文

あらすじ

京都の美大に通っている南山高寿は、通学電車のなかで出会った福寿愛美に一目惚れした。高嶺の花と思える彼女に、勇気を振りしぼり声をかけるのだが、なぜか突然、涙を見せるのだった。困惑する高寿だが、彼女の涙の意味を知るよしもなかった。

やがて、ふたりは距離を縮めていき、交際がスタートする。しかし、愛美は想像もしていない重大な秘密を抱えていたのだった…。

おすすめポイント

愛美に一目惚れした高寿は、少しずつ愛を育んでいくのだが、彼女の言葉に見え隠れしてくる違和感。そんな、彼女が隠している秘密には胸を締め付けられ、思わず涙腺が緩んでしまう。

大切な人との日常に思いを馳せつつも、ふたりの切なすぎる運命に、心を震わせる物語。

6位『いま、会いにゆきます』市川拓司

あらすじ

妻の澪に先立たれて1年、6歳になるひとり息子とひっそり暮らしている巧。梅雨の季節のとある雨の日、いつもどおりの散歩をしに出かけた森で、亡くなったはずの妻に出会う。

しかし、彼女は過去の記憶をおぼえていなかった。そんな彼女をやさしく迎え入れた巧たちは、3人でのちょっと不思議な共同生活をはじめるのだが…。

おすすめポイント

「雨の季節に戻ってくる」という言葉を残してなくなった妻。ある雨の日に、夫と息子の前にあらわれた彼女そっくりな人物に出会ったのだが。

ささやかな日常にある幸せが愛おしく描かれる。不器用でありながらも、ひたむきな愛に心を奪われてしまう。切なくもあるが、胸に沁みるものがある物語。

5位『傲慢と善良』辻村深月

あらすじ

それぞれ30代の西澤架と坂庭真実は、婚活アプリで知り合い、一緒に住んでおり結婚も決まっていた。互いに充実した日々を過ごしていると思っていた。しかしある夜、真実は突如として失踪するのだった。彼女の居場所を探すため架は、彼女が秘密にしていた過去とある真実を知ることになる…。

おすすめポイント

架と真実の2人は、謙虚で自己評価が高いわけではない。しかし、自己愛が強いがゆえに知らず知らずのうちに多くを相手に求めていた。それらの現実をつきつけられ、傲慢と善良について、読者の心を大きくえぐっていく。

恋愛や結婚への息苦しさを前に、もがきながらも自身の心と向き合っていく姿は、胸に刺さるものがある。

4位『マチネの終わりに』平野啓一郎

あらすじ

若くして世界的なクラシックギタリストの蒔野聡史。ある日、演奏会のあと国際ジャーナリストである小峰洋子と出会った。互いに惹かれあう蒔野と洋子であったが、洋子には婚約者がいた。

それぞれ人生を尊重するが故にままならない互いの関係。現実に向き合うなか、蒔野と洋子の想いは徐々にすれ違いが生じていく。そんな、ふたりに待ち受けている愛の結末とは…。

おすすめポイント

初めて出会ったときから強く惹かれ合うふたりだが、洋子には婚約者がいる。互いに想いを寄せながらも、ちょっとしたすれ違いにより交わることのないふたり。相手を尊重しながら揺れ動く心情には、もどかしくも深すぎる愛情を感じさせる。

40代に迫ったふたりが見せる、切なくも美しい大人の恋の行方が、心に染みわたる作品。

3位『夜は短し歩けよ乙女』森見登美彦

あらすじ

大学の後輩である「黒髪の乙女」にひそかに片想いしている「先輩」。彼女を追い求めて、夜の先斗町や、下鴨神社の古本市、大学の学園祭にと、歩きまわる日々だが、彼女になかなか気づいてもらえない。

そんな2人を待ち受ける、奇妙な人びとがおこす珍事件へと巻き込まれてしまう。京都の夜を自由に渡り歩いていく黒髪の乙女に、先輩の恋は一体どこに向かっていくのか…。

おすすめポイント

「黒髪の乙女」こと大学の後輩に、恋心を抱いている「先輩」。偶然の出会いを装いつつ近づこうとする先輩だが、京都の町で繰り広げられる面白おかしな事件の数々に巻き込まれていく。ちょっと風変わりな面々と、コメディタッチの独特な世界観に魅了されてしまう。

自由奔放な女性である後輩に、振り回される先輩が愛おしくあり、その奇想天外なストーリーに惹かれてしまう作品。

2位『桜のような僕の恋人』宇山佳佑

あらすじ

夏も終わりかけのある日の午後、美容室をおとずれたカメラマン見習いの晴人。そこで出会った美容師の美咲に一目惚れしてしまう。彼女目当てで、その店に通い詰めやがてふたりは恋人同士となる。

だが、幸せな時間は長くは続かず、美咲は普通のひとの何十倍もの早さで老いていく難病をわずらってしまう。自分が老いていく姿を晴人にだけは見せたくないと悩んだ美咲は、別れを告げるのだが…。

おすすめポイント

カメラマン見習いの晴人が美容師の美咲と出会い、やがて恋人同士となったふたり。ゆっくりと幸せを育んでいくふたりだったが、美咲が急速に老いていく難病を発症してしまう。突如として告げられた余命に混乱しながら決断を迫られる彼女には、辛いものがあるが同時に、今という時間を過ごすことの大切さに気づかされる。

恋人が不治の病になりながらも互いを思いやる気持ちには、切なくも心を揺さぶられる物語。

1位『阪急電車』有川浩

あらすじ

宝塚から西宮北口間をわずか15分で走り抜けるローカル線である阪急今津線。その電車に、それぞれの愛や想いを密かに抱えながら、たまたま乗り合わせた人びとがいた。

乗客それぞれの人生がそっと交錯し、それがやがて小さな奇跡を紡いでいく。前に一歩踏み出せば、そこにはいつもと違う景色が待っている。

おすすめポイント

片道15分という短い8つの駅の阪急今津線に、居合わせた人びとを各駅ごとに描いた本作。たまたま、その電車に乗り合わせた人びとが影響しあいながら、それぞれの人生に変化をもたらせる。電車という限られた空間で、交わされる会話から普段とは違う景色を見せられ、読者の心をほっこりさせてくれる。

えんじ色の電車に乗り合わせた乗客たちが、ふとした偶然が重なり紡がれていく愛の数々に、ほのぼのさせられる物語。

 

【家族】おすすめ小説

家族小説

おすすめ家族小説【絆をためされる】

7位『東京バンドワゴン』小路幸也

あらすじ

東京下町にある古本屋「東京バンドワゴン」。そんな老舗を経営するのは、4世代の風変わりな大家族。60歳なのに金髪で伝説のロッカー我南人、未婚の母であり画家の藍子、美形でしょっちゅう違う女が家にくる青。

クセのある愉快な人びとが一つ屋根の下で、ときに笑い、ときに泣いて一晩中騒いでいる。そんな堀田家には、ご近所のちょっと困った事件が舞い込んでくるのだった…。

おすすめポイント

4世代が一つ屋根の下で暮らしている大家族の堀田家。個性豊かな面々が織りなす日常とちょっとした事件の数々に、笑ったり悩んだりしながらも、ほのぼのとした日々を送っている。賑やかな大家族のドタバタ劇に、心地よさを感じずにはいられない。

懐かしい昭和のホームドラマのような雰囲気をただよわせた物語に、ほっこりさせられ作品。

6位『キネマの神様』原田マハ

あらすじ

突然として大企業を辞めてしまった39歳の娘。その頃、ギャンブルに依存する父が倒れて、多額の借金があることが判明。

ある日、父は情報誌の「映友」に娘の文章を投稿したことで、編集長の目にとまり彼女を採用し、なぜか父の映画ブログをはじめることになった。映画の神様が壊れかけた家族に、救いの手を差しだした。

おすすめポイント

家庭崩壊の危機を迎えてしまった父と娘。無職の娘にギャンブル依存の父、そんなふたりに共通するのが映画をスクリーンで観ること。映画をとおして繋がっていく家族や人びとの想いに魅せられ、映画館に足を運びたくなってしまう。

映画が好きという想いに突き動かされて、紡がれる数々のできごとに、じんわりと心の奥を温めさせられる物語。

5位『家日和』奥田英朗

あらすじ

ネットオークションの高評価にハマり、次々と出品しはじめた主婦。(「サニーデイ」)会社が倒産して、気がつけば専業主夫となったサラリーマン。(「ここが青山」)ロハスに凝る妻とその周りの人びとに困惑を隠せない作家。(「妻と玄米御飯」)

日常の暮らしので、ちょっとした瞬間におとずれる心の機微を軽妙に描いた、やさしく温かい6つの短編集。

おすすめポイント

どこかの家庭に存在しているかのような小さな事件を描いた本作。独特のユーモアを織り交ぜながら、それぞれの家族のあり方を覗かせつつも、どこか温かさを感じさせ心を癒させる。

現代における家庭のできごとを皮肉を効かせながら描きだす、ほのぼのした日常の数々に、幸せを分けてもらえる作品集。

4位『朝が来る』辻村深月

あらすじ

栗原清和と佐都子の夫婦は、長らく不妊治療をしてきたが子どもに恵まれず、特別養子縁組という手段を選んだ。男の子に「朝斗」と名づけ、我が子と平穏な毎日をおくっていた。そんななか、夫妻のもとに「子どもを返して欲しい」という電話がかかってきた。その後「片倉ひかり」なる女性が訪ねてくるのだが…。

おすすめポイント

栗原夫婦の長きにわたる不妊治療の辛さ、養子として迎えた朝斗との平穏な日々。一方でひかりは、ごく普通の中学生活からちょっとしたボタンの掛け違いから人生が歪んでいく。リアルな心情にやるせなさが募っていき、目が離せなくなってしまう。交わるはずのなかった産みの親と育ての親の人生、それらが交差した先に待ち受けている未来に胸が熱くなる。

3位『そして、バトンは渡された』瀬尾まいこ

あらすじ

幼くして実母を事故で亡くし、継父継母が幾度となく変わり、そのたび名字が変わった高校生の森宮優子。そして今は、20歳しか年の離れていない父と過ごしている。

血が繋がらない親を渡り歩きながらも、すべての家族に愛情をたっぷり注がれ育てられた彼女。そんな彼女が、人生のパートナーを見つけたときに…。

おすすめポイント

幾人かの父と母をへて名字も3回変わり、今は森宮さんとふたりで暮らしている森宮優子。複雑な家庭にあっても優子は、辛さや不幸に思ったことはない。それは、実父や血の繋がらない親たちから、深い愛情を受けてまっすぐに成長してきたからだ。そんな彼女の穏やかでいて温かい日常にほっこりさせられる。

大人の都合で血の繋がらない親たちをリレーするも、すべての親から愛を注がれる主人公に、心穏やかな気持ちに浸ることのできる作品。

2位『とんび』重松清

あらすじ

昭和37年の夏に、瀬戸内の運送会社で働いているヤスさんに息子アキラが誕生する。待望の第一子が生まれたことで、愛妻の美佐子さんとともに喜びと幸せを噛みしめながら過ごす日々。

しかし、そんな幸せな日常は突然の悲劇により失われてしまう。不器用な父親であるヤスさんの愛情と、周囲の人びとの支えにより成長していく我が子を、高度経済成長にわいた時代を背景に描かれる物語。

おすすめポイント

不器用でいて照れ屋であるヤスさんが、我が子に溢れんばかりの愛情を注いでいく。ひねくれたところのある彼だが、人情味あふれる深い情を感じさせ、感情移入させたれた読み手は自然と涙があふれてしまう。

いい加減でいて不器用な父親のヤスさんが、我が子をまっすぐに育てようとする姿は、深く心にしみるものがある物語。

1位『52ヘルツのクジラたち』町田そのこ

あらすじ

自分の人生を家族によって搾取され続けてきた女性の貴瑚。祖母の遺した古家がある、海辺の田舎に引っ越してきた彼女。そんなある日、口がきけない不思議な少年に出会った。どうやら彼が、母に虐待され「ムシ」と呼ばれていることを貴瑚は知ってしまう。

家族の愛を受けずに孤独に苛まれて生きてきた2人が出会い、少年の誰にも届かないはずの悲痛な叫びを救うための物語がはじまりを告げるのだが…。

おすすめポイント

辛い過去を抱えた貴瑚が、たどり着いた小さな海辺の町。そこで出会ったのが、彼女と同じように心に深い傷をおった少年だった。孤独に苦しみながら誰にも気づいてもらえない彼を、自分がかつて救ってもらったように貴瑚が奔走するさまは、弱者の叫びに耳を傾けることの難しさとともに、現代社会の抱える闇を考えさせられる。

悲痛な叫びを聴きとることの大切さに気づかされ、孤独でいる者にそっと寄り添う人びとの温かさが、心に刺さるものがある物語。

 

【感動】おすすめ小説

感動小説

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7位『余命10年』小坂流加

あらすじ

数万人に1人という不治の病にかかった20歳の茉莉は、余命が10年であることを知った。現実を突きつけられ将来にたいし諦めが先行し、毎日をなんとなく過ごしていく。

そして、友人に誘われたこともあり、趣味に情熱を傾けていくようになる。しかし、恋愛だけは決してしないと心に誓う茉莉だったが……。

おすすめポイント

20歳で余命があと10年であると宣告された女性。長いようにも短い期間にも感じる10年。そのなかで、病気との向き合い方に悩みながらも、今できる楽しみや喜び、恋愛にと人生を謳歌していく。綺麗事ではない素直な心情がリアリティをおび、読み手にストレートに訴えかけられ、心に響くものがある。

ひとりの女性の生きざまが、物語と著者の病気とリンクしているように感じられ、その姿が心に深く刻まれる作品。

6位『その日のまえに』重松清

あらすじ

余命宣告をつげられた妻と、新婚時代のアパートをおとずれる僕たち。(「その日のまえに」)妻の最期ときを、ふたりの息子とともに見届ける。(「その日」)ある日、妻の亡くなった病院の看護師さんから、お目にかかりたい、という連絡がきて…。(「その日のあとで」)

死と向き合っていく人びとの日常を切なくもけなげに描きながら、幸せの意味をみつめる連作短篇集。

おすすめポイント

最期のときが近づく妻をそっと見守る家族。哀しみと己の運命を嘆きながらも、誰にでも必ずおとずれる「その日」と向き合って生きていく彼女。そして、「その日のあと」を受け入れ生きていく家族。なにげなく過ごしている日常が、どれだけ幸せなことかを感じさせる。

身近な人の生と死をとおして、日常のなかにある幸せを考えさせられ、生きている今を大切にしようと思える作品集。

5位『ナミヤ雑貨店の奇蹟』東野圭吾

あらすじ

3人の男たちは悪事を働いて古い家に逃げ込んでいく。かつてその雑貨店は、どんな悩み相談にも答える店主・浪矢雄治がいる店であった。そんな廃業している店内に、シャッターの郵便口から突然に、悩み相談の手紙が落ちてくるのだった。それは、時空を超えて過去から投函されたと思われる手紙であった。3人は戸惑いながらも返事を書くのだが…。

おすすめポイント

人びとの悩み相談をしていくことで、3人の心にも変化が生まれてくる。その様子を目の当たりにした読者の心にも響くものがある。切実な悩みに誠実に向き合っていく、その姿に心があたたかくなる。もっとも泣けると評される感動ミステリー。

4位『西の魔女が死んだ』梨木香歩

あらすじ

中学生に入学してまもなく、学校に通うことができなくなってしまった少女まい。田舎で暮らす祖母のもとで療養することに。そこで、彼女は「魔女修行」として、何でも自分で決める、ということを学んでいく。

自然を感じながら規則正しい生活を送るなかで、徐々に心を癒されていく。そして、まいは大切なメッセージを祖母から受け取るのだが……。

おすすめポイント

生きづらさを抱えてしまった少女まい。そんな彼女を、優しく包み込むように受け止めてくれるのが祖母こと「西の魔女」だ。祖母と過ごす日々は、温かみがあり安らぎを与えてくれるもので、読み手の心もスッと軽くしてしまう。

夏のひと月を田舎の自然に囲まれて過ごすなかで、少女が成長していく姿とともに大切なことに気づかさせてくれ、静かに心に染みわたる物語。

3位『博士の愛した数式』小川洋子

あらすじ

家政婦である「私」が派遣されたのは、事故により80分しか記憶がもたなくなった元数学教授の「博士」の家であった。博士にとって、私はつねに初対面の家政婦である。数字にしか興味を示さない彼に、困惑する日々。そんなある日、私の息子の存在をきっかけにして、またたくまに温かさへと変化してゆくが……。

おすすめポイント

事故による影響で記憶が80分しか続かない博士。そんな彼が見せる数学への純粋なまでの情熱に、戸惑いのあった家政婦の私や息子までもが心を動かされていく。3人の繋がりをとおして、数学のおもしろさと人生における幸せに気づかせてくれる。

80分しか記憶のもたない博士、シングルマザーの家政婦と息子ルートの3人が織りなす交流に、悲しくも胸が熱くなっていく物語。

2位『旅猫リポート』有川浩

あらすじ

交通事故にあい瀕死だった野良猫のナナは、自分を助けてくれた心優しいサトルと暮らすことに。5年の月日が流れ、ある事情からサトルはナナを飼えなくなってしまう。

一匹の猫と青年は銀色のワゴンに乗って、新しい飼い主を探す旅にでる。懐かしい面々に会い、美しい風景を眺めながら、徐々に明かされていくサトルの秘密とは…。

おすすめポイント

猫であるナナの視点で描かれる本作。サトルとの出会いから、銀色ワゴンでの旅でめぐり会う風景や人びとに和ませられ癒されていく。また、少しずつ明かされていく真実には、誰しもが胸を締めつけられつつも、サトルとナナの関係に温かみを感じてしまう。

新しい飼い主を探す旅のなかで過ごしていく、サトルとナナの幸せな時間に、切なくも優しさ溢れるふたりに熱いものがこみ上げてくる作品。

1位『かがみの孤城』辻村深月

あらすじ

安西こころは中学に入学してすぐに、あることが原因で学校へいけなくなった。居場所がなく家に閉じこもっていたある日、突如として部屋の鏡が光りだした。輝く鏡をくぐり抜けて導かれた先には、見たこともない城があった。そこには、こころと似た境遇の7人がいた。狼面をつけた少女の指令で、どんな願いも叶うという部屋の鍵を探すことになるのだが…。

おすすめポイント

城に集められた7人は、それぞれに悩みを抱えている。心の奥底に闇を抱えた彼らの心情や、もがきながらも前に進もうと立ちあがろうとするさまは、感情移入させられ胸が熱くなってくる。また、鍵を探すなかタイムリミットが迫まる状況で、忍び寄よってくる怪しげな気配には、おのずとハラハラドキドキ感が高まってていく。

心に傷を抱えた者たちが、理不尽な現実を打ち砕こうと一歩を踏みだしていく。そんな姿に心を揺り動かせる物語。

 

【医療】おすすめ小説

医療小説

おすすめ医療小説【リアルな現場がそこに】

7位『最後の医者は桜を見上げて君を想う』二宮敦人

あらすじ

とある病院で働いている医者の桐子は、患者に余命が半年であることを告げた。死神と呼ばれ院内で問題児とされる彼は、死を受け入れて残りの過ごし方を大切にすることを説く。

一方で、副医院長の福原は、患者の命を救うことに情熱を注ぎ、最後まで奇跡を信じて諦めない。真逆のふたりが対立しながら、残された時間のながで挑む戦いの先にあるものは…。

おすすめポイント

病気と最後まで闘うことをやめない福原。だが桐子は、死を肯定し残された時間をどうするかを問う。両極端のふたりの信念はまったく違うが、どちらかが間違っているとも言えない。それが故に、最善の選択とはなにか、という正解のない問いが、読み手の心に響いてくる。

まったく正反対のふたりの対峙を通して、最後をどのように迎えるかという正解のない問いに、生と死について深く考えさせられる物語。

6位『泣くな研修医』中山祐次郎

あらすじ

医学部を卒業したばかりの研修医である25歳の雨野隆治。新人医師として働きはじめるが、なにもできず分からないことばかりで、先輩医師や上司にただ怒られる日々。でも、患者さんは待ってくれない。

はじめての救急当直に、手術にお看取り。自分の無力さに憤りつつも、目の前の命と向き合って、必死に医師として歩みんでいこうとするのだが…。

おすすめポイント

知識も経験もまだまだな研修医の雨野。なにもできず振り回されてばかりの日常。無力さを感じて、涙をたくさん流しながらも、そのなかで成長していく彼の姿についつい感情移入してしまう。

新米医師が日々おとずれる奮闘と葛藤のなかで、目の前の命に愚直なまでに向き合う姿勢に、心を揺さぶるものがある作品。

5位『サイレント・ブレス』南杏子

あらすじ

大学病院から、最後を迎える患者のための訪問診療クリニックに左遷された37歳の水戸倫子。死を待つだけの患者との対峙に、この仕事への意義を見いだせずにいた。

しかし、さまざまな患者と接していくなかで、人生の最後のときを穏やかに過ごすことを手助けすることのできる、終末期医療の大切さに気づいていく…。

おすすめポイント

在宅で最後を迎える患者たちの家をおとずれ、診療をすることになった水戸倫子。患者と向き合うなかで、戸惑いを滲ませながらも患者にとって最善の選択とはなにか、を模索しながら成長していく倫子には感慨深いものがある。

最後のときをどのように過ごすのか、終末期医療のあり方を考えさせられる作品。

4位『無痛』久坂部羊

あらすじ

神戸市内の住宅地でおきた凄惨な一家四人殺害事件。現場には多くの遺留品が残されていたが、犯人を特定するには至らなかった。だが8ヶ月後、精神障害児童施設に収容されている14歳の少女が、自分が犯人だと告白するのだが…。

外見を見ただけでその人の症状がわかる医師の為頼英介。また彼は、犯罪を犯そうとする者にあらわれる兆候である「犯因症」を察知することができる。そんな彼が、犯人を追っていく。

おすすめポイント

外見だけで症状を見極めることができる医師、痛みをまったく感じない男にと、読者を惹きつける設定が随所に散りばめられ読み応えがある。また、心神喪失や心神耗弱のある者の犯罪、刑法39条をどのように考えるのかという難しいテーマを扱いながら、読者にその是非を問いかけてもいる。

現代の医療や刑法39条の矛盾点を浮き上がらせ、強いメッセージ性を投げかけられる物語。

3位『祈りのカルテ』知念実希人

あらすじ

研修医である諏訪野良太は、初期臨床研修を受けるなかで、内科、外科、小児科など、様々な科をまわって医師としての基礎力を身につけようと精進していた。さまざまな科で患者たちと接していくなかで、自分がどの科を専門にするのかを決めかねていた。

おすすめポイント

洞察力に優れ、患者に寄り添うことができる良太だが、それが故に不向きな科もある。読み進めるごとに彼の人柄に触れることになり、その魅力に引き込まれていく。ひとりの研修医が患者と触れ合うなかで、自身の方向性を見出そうとしながら人として成長していく姿に、心揺さぶられる作品。

2位『神様のカルテ』夏川草介

あらすじ

信州にある「24時間、365日対応」の病院に勤めている、29歳の内科医である栗原一止(くりはら いちと)。ここは常に医師が不足しており、睡眠を3日取れないことも珍しくない。妻のハルに支えられながら、経験豊かな看護師と、変わり者たちの優秀な外科医に助けられ、なんとか日常の診療をおこなっている。

そんなある日、母校の信濃大学医局から誘いの声がかかる。大学に戻れば、最先端の医療に携われるし、休みも増える。だが、大病院では診てもらえない患者たちと、向き合う医者でありたいと悩むのだが…。

おすすめポイント

田舎にある過酷な現場で働いている内科医の栗原一止。日常の業務を繰り返しながら、直面するシビアな問題に医療の難しさを感じつつも、患者一人一人に向き合っていく主人公から目が離せなくなっていく。また、一止夫婦が暮らす「御嶽荘」にいる個性豊かな仲間たちとのコミカルな会話も一つの見どころになっている。

夏目漱石を敬愛する若き医師が、患者に真摯に寄り添いながら、自分の道を歩んでいこうとする姿に、そっと心を癒される物語。

1位『閉鎖病棟』帚木蓬生

あらすじ

長野県のとある精神科病院。死刑執行が失敗により生きながらえた秀丸。サラリーマンであったが幻聴に悩まされるチュウさん。不登校により通院している中学生の由紀。患者たちは、家族からも世間からも疎まれながらも、前を向いて生きようとしていた。

そんな平穏な日々を激変させる殺人事件が院内でおきた。彼らの日常に暗い影を落とすこの事件はなぜおこったのか。法廷でその真相が明かされていく…。

おすすめポイント

それぞれに暗い過去を抱えたものがいる精神科病院。いろいろな事情により集まりし人びとが、喜びや哀しみを分かち合いながら、ひたむきに日々を過ごしている。社会から疎まれ偏見を持たれる彼らだが、心に傷を負いながらも懸命に生き抜こうとするその姿は、現代社会の生きずらさに対する警鐘を感じずにはいられない。

社会から遠ざかった不器用な人びとが、互いに助け合いつつ日々の生活を送るさまは、心に刺さるものがある作品。

 

【社会派】おすすめ小説

社会派小説

おすすめ社会派小説【考えさせられる】

7位『Aではない君と』薬丸岳

あらすじ

ある日、14歳であるひとり息子の翼が同級生を殺害した容疑で逮捕されたと、父の吉永圭一に知らせが入った。だが、翼は弁護士に事件のことを語ろうとはしない。

そこで父親の吉永は、弁護士に代わり保護者自らが話を聞くことのできる「付添人制度」を使って、付添人となり真相を探ろうとするのだが…。

おすすめポイント

離婚をし息子とは2、3ヶ月に一回しかあっていなかった吉永。そんな状況でおきた息子の事件に、加害者の親としての戸惑いと苦悩が伝わってくる。子どもとどのように向き合うべきなのか、親としてなにをしてあげれるのかを考えさせられる。

子どもが犯した罪に、親としてどのように寄り添うべきなのか、その難しい答えには心をえぐられるものがある。

6位『希望が死んだ夜に』天祢涼

あらすじ

同級生の春日井のぞみを殺害した容疑で、女子中学生である冬野ネガが逮捕された。彼女は、犯行を認めてはいるが、動機については一切語ろうとはしなかった。

ネガは、母親とふたりでギリギリの貧困生活を送っていた。一方で、のぞみはクラスの人気もあり優等生であった。刑事の真壁は、生活安全課の仲田とタッグを組んで捜査をはじめ、意外な真実が浮かび上がってくる…。

おすすめポイント

子どもの貧困という重いテーマが事件の背後にある本作。無知な周りの人たちの反応、ネグレイトや児童労働にと14歳の子どもには過酷すぎる環境と現実。子どもの貧困という闇の根深さが伝わるとともに、自分の物差しでしか物事を見れていないことに気づかされる。また、動機が不明でいて、最後までどうなるかわからないミステリー要素も、読者を惹きつけている。

どうすれば貧困の連鎖を断ち切れるのか、その情景を想像しながら答えを考えさせられ、心に響くものがある作品。

5位『64(ロクヨン)』横山秀夫

あらすじ

わずか7日間しかなかった昭和64年におこった少女誘拐殺人事件。未解決のまま時効が迫っていたある日、警察庁長官視察が決まった。

しかし、被害者遺族からは拒否され、当時捜査に加わっていた三上義信は違和感を覚える。やがて、見えてくる警察組織の闇に立ち向かっていくのだが…。

おすすめポイント

ロクヨンと呼ばれた未解決事件。警察組織のなかでの権力争いに苛まれながらも、仕事に真摯に向き合っていく主人公の三上義信。人びとの思いがぶつかり合い、駆け引きがおこなわれる臨場感がヒシヒシと感じられ、物語に引き込まれていく。

警察内部の確執やマスコミとの攻防にと人間模様を堪能しながらも、人としての生きざまに感嘆させられる作品。

4位『手紙』東野圭吾

あらすじ

武島剛志は弟を大学に入れるため、金欲しさに空き巣に入り殺人を犯してしまう。刑務所に入った剛志は、月に1度、弟の直貴のもとに、手紙を送る。人生のあらゆる場面で、「強盗殺人犯の弟」という足かせが付き纏っていく。それでも、理解を示してくれる女性と出会い家庭を持った直貴は、ある決意をするのであった…。

おすすめポイント

犯罪加害者の家族をテーマに、その過酷さと苦悩が痛いほど伝わってくる。罪というものの重みを深く考えさせられる。犯罪者の家族というレッテルを抱えながらも、必死に生きようとする姿に胸を締めつけられる作品。

3位『コンビニ人間』村田沙耶香

あらすじ

36歳の未婚女性である古倉恵子。大学を卒業するも就職はせず、コンビニでバイトを続け18年で、彼氏がいたこともない。毎日コンビニのものを食べ、夢のなかでもレジを打ち、同じ日々を過ごしている。

そんなある日、婚活目的でやってきた新人バイトの白羽という男がきた。そして彼は恵子に、コンニビ的な生き方は恥ずかしいと告げるのだが…。

おすすめポイント

主人公である恵子は、ちょっと変わり者であり独自の感性を持っている。それが故に、周りから変な目で見られ、社会の異物として扱われてしまう。彼女が好んで選んだ道なのに、社会の輪から少しでも外れた者を認めようとしない社会は、非常に窮屈に感じられる。多様性を尊重すべき現代では、むしろ彼女の生き方を肯定できない社会の方が普通ではないように思えてくるから不思議である。

一体なにを「普通」というのか、と投げかけられ、人それぞれの生き方を深く考えさせられる物語。

2位『罪の声』塩田武士

あらすじ

京都で紳士服のテーラーを営む曽根俊也は、ある日父の遺品のなかからカセットテープと黒革のノートを見つけた。ノートには大量の英字のほかに「ギンガ」と「萬堂」の文字が書かれていた。また、テープを再生すると、幼いころの自分の声が聞こえてきた。それは、31年前に日本を震撼させた脅迫事件に使われた男の声とまったく一緒であった…。

同じころ、大日新聞の記者である阿久津英士も、この未解決事件を追っていくことに。

おすすめポイント

グリコ森永事件をモチーフにした本作。大企業を標的にした誘拐に身代金要求、毒物混入をばらまく凶悪さに加えて、マスコミや警察を挑発して巻き込んだ劇場型犯罪。その未解決事件の真相に迫っていく新聞記者と脅迫テープの声の男。まったく立場の違うふたりが交錯し、事件の闇に挑んで苦しみ葛藤しながら、自分なりの答えを見いだしていく姿に心を揺さぶられる。

昭和最大の未解決事件に関わってしまった人びとの深淵に胸が締め付けられながらも、心に染みいる物語。

1位『空飛ぶタイヤ』池井戸潤

あらすじ

赤松運送のトレーラーからタイヤが外れて、近くにいた母子を直撃した。「整備不良」が原因とされたが、赤松運送の社長である赤松徳郎は、整備には細心の注意を払っていたこともあり納得できずにいた。

やがて赤松は、車両自体に欠陥があるのではと疑いを向ける。大企業である「ホープ自動車」の厚い壁に阻まれ、周囲から孤立しながらも事故の真相に迫っていく…。

おすすめポイント

事故から経営的にも窮地に追い込まれていく赤松運送の赤松徳郎。取引先や警察、世間もからも疑いの目を向けられ、信頼は地に落ちた状況において、信頼してくれる仲間や家族のため立ち上がろうとする赤松の姿には、胸を熱くさせたれる。

ひとつの事故をきっかけに、どん底に突き落とされつつも奮闘していく中小企業の赤松運送に、大企業の組織内でいがみ合う人間模様にと、感情移入させられ心を揺さぶられる物語。

 

【純文学】おすすめ小説

純文学小説

面白いおすすめ純文学小説

7位『むらさきのスカートの女』今村夏子

あらすじ

近所で噂の「むらさきのスカートの女」が気になって仕方のない私。彼女と友だちになるために、街で見かければ観察を怠らない。やがて、自分と同じ職場で働くように密かに誘導するのだが…。

おすすめポイント

街で変わり者として有名な「むらさきのスカートの女」。彼女と友だちになりたい私は、見かければ観察を続けている日々。その様子はどこか奇妙であり、常軌を逸していて薄気味悪く感じるが、それでも続きが気になってページをめくってしまう。

近所で変人として有名な女の様子を見続ける「わたし」の異様さに、これまでにない不気味さとゾワゾワ感をあたえてくれる作品。

6位『火花』又吉直樹

あらすじ

天才肌でありながら人間味あふれる先輩芸人の神谷と出会った、売れない芸人の徳永。弟子入りを願った徳永に、「自身の伝記を書く」ことを条件に認められた。

互いに心を開き、笑いの真髄を追い求める2人であったが、やがて歩む道はことなっていき…。

おすすめポイント

かけだしの漫才師と師匠と仰ぐ先輩芸人の2人が、お笑いの道を極めるべく、もがき葛藤する日々。だが、追求すればするほど世間とのズレにもどかしさを覚える。己の道を貫くことの難しさと、夢を追ってお笑いに情熱を傾けていく姿に胸を熱くする。

若手芸人と奇想の天才である先輩芸人をとおし、お笑いの世界に青春をかける者たちの、不器用でいてまっすぐな生きざまを感じさせる物語。

5位『国宝』吉田修一

あらすじ

ときは1964年、長崎の任侠の一門に生まれるも、この世ならざる美貌をもつ立花喜久雄。15歳で長崎を追われ、大阪の人気歌舞伎役者の花井半二郎もとへ世話になることになった。

歌舞伎役者として新たな道を歩むことになった喜久雄。血族との深い絆と軋み、スキャンダルと栄光、度重なる信頼と裏切りを乗り越えながら、役者の頂点へと登りつめていく。

おすすめポイント

任侠のもとに生まれた少年が、縁あって歌舞伎の道へと踏み込んでいく。技をみがき、芸の道をきわめようと切磋琢磨する日々。血族に悩まされ浮き沈みながらも、国宝へと這い上がっていく姿から目が離せなくなる。

生まれのまったく違う2人が歩んでいく歌舞伎の世界が、美しくも役者の壮絶な生きざまに魅せられてしまう作品。

4位『何もかも憂鬱な夜に』中村文則

あらすじ

夫婦を刺殺した20歳の未決囚である山井を担当するのは、施設で育った刑務官の「僕」だ。一週間後に迫った控訴期限が切れれば死刑が確定するが、山井がまだ語っていない何かを秘めている。

どこか自分と似たような雰囲気のある山井と対するなか、「僕」が抱えている、自殺した友人との記憶、大切な恩師とのやりとり、自分の心の混沌が見え隠れして…。

おすすめポイント

親に捨てられ施設で育った、刑務官をしている主人公。まもなく死刑が確定する囚人の山井を担当するなかで、自身のなかにある薄暗い闇と向き合うことに。陰鬱な雰囲気がただよい重苦しくもあるが、死と生を見つめることで新たな情景が広がっていく姿に、希望を感じさせる。

生きることへの苦しさや葛藤に、人間の弱さと危うさを垣間見ながら、生きるための意味を考えさせられる物語。

3位『ノルウェイの森』村上春樹

あらすじ

雨が降りしきる暗くて重い空をくぐり抜け、ハンブルク空港に到着する。すると、飛行機の天井についたスピーカーから、ビートルズの『ノルウェイの森』が聴こえてきた。

1969年、僕はもうすぐ20歳になろうとする学生時代のことを思い出し、頭が激しく混乱して動揺を覚えていた。かぎりない喪失にもがきながらも、ゆっくりと再生へと歩みを進めていこうとするが…。

おすすめポイント

37歳のワタナベが飛行機のBGMで、学生時代の記憶を回想していく。亡くなった親友の恋人である直子に惹かれていくが、ある日突如としていなくなってしまう。恋人を失った深い喪失感に苛まれ、もがきながらも再生へと向かうさまに、若さゆえの不完全さが心に響きわたる。

暗く先が見通せない深い森に迷い込んでしまったかのごとく、不安にさせられつつも、青春のほろ苦さと美しさに浸ることのできる物語。

2位『キッチン』吉本ばなな

あらすじ

唯一の肉親である祖母を亡くし、現実を受け入れずにいる大学生のみかげ。ある日、祖母と親しいかった雄一とその母の家に居候することになった。

穏やかな暮らしのなかで、彼らの優しさにふれ彼女の孤独な心を癒していくのだが…。

おすすめポイント

身近な人が亡くなった辛さと哀しみで、孤独に苛まれるみかげ。だが、雄一とその母親との奇妙な生活のなかで、ささやかな優しさに包まれ自分の居場所を見つめ直すさまに、心を救われた気持ちにさせられる。

大切な人をうしなった喪失感にもがきながらも、ゆっくりと前を向いて生きていく姿に、心を温められる作品。

1位『推し、燃ゆ』宇佐見りん

あらすじ

女子高生のあかりは、アイドルユニット「まざま座」の上野真幸を推すことに心血を注いでいる。推しを解釈することが、あかりの生きる糧になっていた。

だが、ある事件をきっかけに推しが炎上した。ままならない人生を生きる彼女に、大きな波紋をもたらして…。

おすすめポイント

なにをするにも不器用でいる女子高生のあかり。推しているアイドルを追いかけているときが、彼女が生きている証であり、それを失えば身体を支えられなくなる背骨でもあった。彼女の純粋さと危うさに息苦しさを感じつつも、今の世をうつす彼女の姿が心に沁みわたる。

普通の生活もままならず、生きづらさを抱える女子高生の推しへの想いに、切実なまでのリアルさと胸に迫るものを感じさせる物語。

 

【歴史・時代】おすすめ小説

歴史・時代小説

おすすめ歴史・時代小説【時代の息吹を感じる】

7位『しゃばけ』畠中恵

あらすじ

江戸きっての薬種問屋の若だんなである一太郎は、生まれながら病弱で外出もままならない。そんな彼を、犬神や白沢といった妖たちが身を替え、つねに身の周りを守っている。

ある夜、出かけた先で人殺しを目撃してしまった一太郎。それから、猟奇的殺人事件がおきはじめ、妖の手を借りて解決に乗り出すものだが…。

おすすめポイント

江戸で頻発している殺人事件を追っていく、跡取り息子の若だんな。彼は、すぐ寝込んでしまうほど弱いが、心優しく勇敢な一面もある。そんな彼を支えるのはユーモアあふれる妖たちで、彼らのコミカルな掛け合いにほっこりさせられる。

江戸の町で巻き起こる事件の謎解きに、笑いあり、妖怪ありと、微笑ましくも温かみのある物語に癒される。

6位『おそろし 三島屋変調百物語事始』宮部みゆき

あらすじ

旅籠の娘で17歳のおちかは、ある事情により心を閉ざしていた。そんな彼女は、江戸で袋物屋「三島屋」を営んでいる叔父夫婦のもとで、行儀見習いとして慌ただしく働くことで過去のできごとを意識しないようにしていた。ある日、叔父の伊兵衛は所用のため、このあと訪ねてくる客の応対を任せると、おちかに告げて外出してしまう。客はおちかに、自分にまつわる怪ばなしを語りだした。やがて、江戸中から不思議な話が集まり、聞き役を務めるおちかの心を徐々に溶かしていく…。

おすすめポイント

忘れることのできない悩みや苦しみを抱え、途方に暮れている彼らがそっと胸の内を語りだす。それは、人間の欲や弱さ、運命のいたずらが絡み合いながら紡ぎだされる世界であり、そこに妖しさを感じながらも魅せられてしまう。「百物語」として語られる、不思議でいて切なくもある話が、心に染みわたる作品。

5位『陽炎ノ辻 居眠り磐音』佐伯泰英

あらすじ

直心影流の達人である坂崎磐音。ある哀しい事件がもとで自藩を離れ、浪人の身となる。江戸深川の長屋で暮らしはじめた磐音は、ふとした縁から両替屋の用心棒として働きだす。

しかし、幕府をも揺るがす大きな陰謀に巻き込まれて、大切なものを守ため彼は立ち向かっていくのだが…。

おすすめポイント

哀しい過去を背負いながらも、穏やかでいて誰にでも優しく、おまけに剣も立つ磐音。彼の人柄と剣を握った姿のギャップに引き寄せられ、いつの間にか魅せられてしまう。また、剣での緊迫する立ち会いも見どころの一つになっている。

悲運を胸に抱えながらも、前をしっかり見据え周りの人びとを剣術で助ける彼の優しき人柄に、心を掴まれてしまう作品。

4位『八朔の雪 みをつくし料理帖』高田郁

あらすじ

幼いころに両親を水害で亡くし天涯孤独の身となった澪。やがて故郷の大阪をあとにし、江戸で上方料理をだす蕎麦屋「つる家」の料理人として働くことに。大阪と江戸の味の違いに悩まされながらも、天性の味覚をもって試行錯誤をする日々を送っていた。

そんなある日、名の知れた料理屋「登龍楼」が彼女の腕を妬んで、妨害を仕掛けてくるのだが…。

おすすめポイント

孤独の身である澪が、生まれ持った感性と負けん気で料理と向き合い、人びとに笑顔を届けていく。そんな彼女を手助けする人情味あふれる人びとに、思わず涙腺を緩めてしまう。

周囲の人びとに支えられながら、度々おとずれる困難を乗り越えていく彼女の成長に、ほっこりさせられ心温められる物語。

3位『天地明察』冲方丁

あらすじ

徳川四代将軍家綱の治世。「日本独自の暦」を作るというプロジェクトが立ちあがった。そんな、改暦を遂行するべく選ばれたのは渋川春海。碁打ちに長けた春海は、己の行き方に飽きを感じ、算術や天文観測に生きがいを見いだしていく。天を相手にした、彼の長い長い勝負がはじまる。

おすすめポイント

苦節と挫折を乗り越え、新しい暦を作ることに生涯を捧げていく渋川春海。そんな彼を支える人びとの想いに応えるべく、情熱を傾けていく彼の人柄に、魅せられてしまう。

江戸時代に改暦をなすべく人生をかけた勝負に挑んだひとりの青年の成長物語に、胸を躍らせてくれる時代小説。

2位『燃えよ剣』司馬遼太郎

あらすじ

武州多摩のバラガキと呼ばれた、百姓の生まれの土方歳三。里で喧嘩に明け暮れていた彼は、近藤勇、沖田総司らとともに幕府の徴募にまじり京へ向かった。京都守護職御預の名のもと「新選組」を結成する。

副長である土方は、厳しい法度を定めて類まれな手腕を振るいながら、寄せ集めであった新選組を最強の集団へと導いていく。そして、その名を幕末の世に轟かせていくのだが…。

おすすめポイント

幕末の動乱において名を馳せた新選組の副長・土方歳三の生涯を描いた本作。武士に憧れを抱きながら京に上り、喧嘩師としての才に、組織作りや戦略の天性によって新選組を強化していくことに心血を注いでいく。激動の世に翻弄されつつも、己の意思を貫いていく姿に胸を熱くさせる。

田舎のならず者たちが、京の地で成り上がった苛烈なまでに時代を駆け抜けた彼らの生きざまに、誰しもが魅せられてしまう物語。

1位『村上海賊の娘』和田竜

あらすじ

戦国時代に、その名を轟かせた村上海賊なる者たちがいた。瀬戸内海の島々を拠点とし、勢力をほこっている村上水軍の当主である村上武吉。そんな彼の勇猛さと荒々しさを受け継ぐのは、娘の景である。

ある日、信長により追い込まれた本願寺の窮地を救うため、毛利家から物資の輸送をねがう依頼がとどいた。村上水軍が毛利方に加勢し、陸海の戦いのはじまりを告げていく…。

おすすめポイント

海賊働きを好み、男勝りな性格で腕も立つが、20歳で嫁のもらい手もおらず「醜女」と呼ばれる景。そんな娘が、信長との数年にわたる攻防を続けてきた大坂本願寺との戦いに身を投じていく。両軍入り乱れての合戦では、緊迫感にハラハラさせられながら、戦術の細かな描写も味わえる。

第一次木津川合戦の史実にもとづく、瀬戸内の海賊衆が駆け抜けていく姿に、胸を熱くさせられる歴史小説。

 

【映像化】おすすめ小説

映像化小説

映像化されたおすすめエンタメ小説

7位『孤狼の血』柚月裕子

あらすじ

昭和63年の広島呉原。ヤクザとの癒着を疑われる刑事の大上のもと、捜査二課に配属された新米の日岡は、暴力団系列の会社員が失踪した事件を捜査することに。違法捜査をいとわない強引すぎる大上の捜査に戸惑いながらも、日岡は仁義なき極道の男たちに立ち向かっていく。

やがて金融会社の社員失踪事件をきっかけに、暴力団同士の抗争がはじまった。衝突を止めるため、大上が突拍子もない秘策を打ちだしていくが…。

おすすめポイント

暴力団系列のヤミ金社員の失踪事件を追いかける、捜査二課の大上と新人の日岡。捜査のためには手段を選ばない大上だが、彼なりの信念にもとづき正義を貫こうとする。人間味に溢れたその姿から、目が離せなくなっていく。また、日岡の成長も一つの見どころになっている。

常識外れのマル暴刑事と極道のプライドを賭けた闘いに、胸を熱くさせるハードボイルド小説。

6位『イン・ザ・プール』奥田英朗

あらすじ

伊良部総合病院の地下にある神経科をおとずれる患者たちは、「いらっしゃーい」っと、甲高い声に迎えられる。色白でいて巨体を揺らす、精神科医の伊良部一郎。彼のもとには、プール依存症、ケータイ中毒、慢性勃起症状にと、一癖ある患者ばかりがやってくる。

だが、治療する医者はもっと変だった。彼の言動は無茶苦茶で、患者が困惑するほどだ。しかし、なぜか病は不思議と快方に向かっていき…。

おすすめポイント

強烈すぎる個性を放つ、精神科医の伊良部。彼の診察室には、深刻な悩みをもったクセの強い患者たちがやってくる。そんな患者たちに、常識はずれな治療をほどこすが、なぜかそれが良い方向に。ユーモアあふれるそのさまが、病みつきになってしまう。

変人医師のハチャメチャな言動に、笑わずにはいられないハートフルな作品集。

5位『億男』川村元気

あらすじ

失踪した弟の借金を肩代わりし、そのことで妻子と別居をする一男。借金返済のため、昼は図書館司書として、夜はパン工場で働く日々を送る。そんなある日、福引きで手にした宝くじで3億円が当たった。

しかし、大金を手にしたものの使い方に戸惑いを覚えた彼は、ITベンチャーで大富豪となった親友の九十九のもとを訪ねた。だが、九十九は3億のお金とともに失踪してしまう。一男は、九十九の行方を探すための旅にでるのだが…。

おすすめポイント

突如として億万長者となった一男が、お金と幸せとは何なのかを追求していく本作。生きていくためにお金は必要だが、お金があれば幸せは手に入るのか。そんな答えを、大金に振り回される九十九の元同僚たちをめぐり、自分なりの答えを模索しようとする一男。読み手もその答えを彼と一緒になって追い求めてしまう。

ひょんなことから大金を手にした人びとの人生を垣間見て、お金と幸せについて考えを巡らせる物語。

4位『ちょっと今から仕事やめてくる』北川恵海

あらすじ

ブラック企業に勤める青山隆は、精神的に追い詰められ心身ともに衰弱していた。あるとき、電車に飛び込もうした彼を、同級生の「ヤマモト」と名乗る男に助けられた。関西弁で親しみやすいヤマモトと打ち解けた青山であったが、本物の同級生とは別人であることを知る。

彼は一体だれなのか。なぜここまで自分を気遣ってくれるのか。そこには、ある事情が…。

おすすめポイント

新社会人として企業に勤め、はじめて味わう苦悩や葛藤が描かれる本作。会社で働いていれば、理不尽に怒られることもあるし、やりたくのない仕事もあるだろう。しかし、会社のために自分の人生を犠牲にする必要はあるのだろうか。冷静になれば答えられる問いでも、日々の忙しい業務に没頭していると見失いがちな大切なことを読者に突きつけてくる。

仕事により身も心もボロボロになった主人公が、謎の男に助けられ自分と向き合い人生を見つめ直す姿が、心に残るものがある作品。

3位『ビブリア古書堂の事件手帖 – 栞子さんと奇妙な客人たち』三上延

あらすじ

鎌倉でひっそりと営業をする古本屋「ビブリア古書堂」。そこで店主をしている栞子は、若くて美しい容姿なのだが、初対面の人とは口も聞けない極度の人見知りであった。

しかし、古書の知識には並外れたものがある。本に情熱を傾ける彼女のもとには、いわくつきの古書が持ち込まれることも。そんな古書に隠された謎と秘密を、彼女のするどい洞察力と推理力で解き明かしていくのだが…。

おすすめポイント

古書にまつわる謎の数々を、ビブリア古書堂の店主である栞子が解き明かしていく。実在する本に興味をそそられながら、一つの本をとおして紡がれた人びとの想いに引き込まれ、読書の愉しみが広がっていく。

人から人へと渡り歩いてきた古書の物語に、本好きをときめかせつつ、本の魅力にとりつかれてしまう作品集。

2位『舟を編む』三浦しをん

あらすじ

出版社の営業部に勤めている馬締光也は、コミュニュケーションの低さから厄介者とされていた。しかし、定年間近のベテラン編集者である荒木に言葉への鋭敏さを買われ、辞書編集部に引き抜かれた。

そこには、辞書編集に人生を捧げる老学者、辞書に愛着を見せ始めるチャラ男、など個性的な者たちがいた。そんな面々と彼は、新しい辞書「大渡海」の完成にむけて取り組んでいくのだが…。

おすすめポイント

長い年月を経て、じっくり丁寧に編みあげていく辞書作りの作業。主人公の馬締光也をはじめ、個性の強い面々が「大渡海」の辞書を完成させるべく、人生をかけ情熱を注いでいる。その過酷さと気の遠くなる時間に、辞書のありがたみと文字の奥深さを知るとともに、彼らの仕事への熱量が眩しくも羨ましくもある。

辞書編集に携わるちょっと変わり者たちの想いにふれ、言葉というものを愛おしく感じれる作品。

1位『ゴールデンスランバー』伊坂幸太郎

あらすじ

仙台でおこなわれていた金田首相の凱旋パレード中、突如爆発が起こり首相が死亡した。同時刻、元宅配業の青柳雅春は、旧友に「お前、オズワルドにされるぞ」と告げられ、今すぐ逃げろと促される。突如あらわれた警官は、ためらうことなく拳銃を発砲した。どうやら、首相暗殺犯の濡れ衣をきせられているようだ。巨大な陰謀からの孤独な逃走劇の幕があがる。

おすすめポイント

警察に追われ、マスコミの報道により一般市民の目も向けられ、逃げても追手がすぐそこに。そんな、スリリングな展開にドキドキとハラハラが止まらない。疾走感とともに、逃走を手助けする人びとの温かさに心地よい風が吹き抜けていく作品。

 

【ライトノベル】おすすめ小説

ライトノベル

5位『ソードアート・オンライン』川原礫

あらすじ

ときは2022年、人類はついに完全なる仮想空間を実現した。そんな世界初のVRMMORPG「ソードアート・オンライン」にログインし、仮想空間を満喫していたキリト。だが、彼はログインした他の1万人のプレイヤーとともにゲームマスターから恐るべき真実を聞かされる。

この世界から脱出する唯一の方法が、ゲームをクリアすることだけだった。そして、ゲーム内での死が、現実世界での死を意味すること。この終わりの見えないデスゲームから、キリトは無事に抜け出せるのか…。

おすすめポイント

仮想世界にて自分の意識を再現できる、次世代MMO「ソードアート・オンライン」。しかし、そのゲームは1度ログインすると、クリアするまで仮想空間から出られない。そんな苛酷な世界を生き抜けるのかとハラハラさせられながら、RPGゲームを体験しているような高揚感を味わえる。

ゲーム内での死が、現実での死につながる仮想世界で繰り広げられる冒険に、ワクワクさせられ魅了される物語。

4位『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』渡航

あらすじ

ひねくれた思考回路によって、友達も彼女のいない高校生の比企谷八幡。「ぼっち生活」を謳歌していた八幡だったが、生活指導の先生に連れられ「奉仕部」に入部することになった。

その部には、息を呑むほどの完璧美少女の雪ノ下雪乃がいた。冴えない僕がひょんなことから美少女と出会ったはずなのに、どうしてもラブコメにならない残念で、間違いだらけの青春が繰り広げられて…。

おすすめポイント

斜めに構えた性格のため、ぼっち生活を送っていた高校生の八幡。そんな彼が「奉仕部」へと入部させられ、冷徹で毒舌な雪ノ下とともに生徒の悩みを解決していく。コミカルでいてテンポのよい会話にクスッとさせられ、残念で間違いだらけの青春から目が離せなくなる。

奉仕部の仲間たちと依頼を受けながら、ひと付き合いが苦手な八幡のちょっとひねくれた青春に惹きつけられる作品。

3位『本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~』香月美夜

あらすじ

幼いころから本好きの女子大生が転生したのは、識字率が低くて書物がほとんどない世界だった。病気がちな5歳の女の子マインとして生まれ変わったが、本を読もうと思っても高価で手に入らない。

彼女は決意した。本がないなら、作ってしまえばいい。目指すのは、図書館司書。本に囲まれて生きるため、本を作るところからはじめていく…。

おすすめポイント

本好きの女子大生の麗乃は、図書館への就職が決まっていたのに、とある異世界の少女マインに転生してしまう。中世ヨーロッパ風の異世界で、衛生状態も悪いなか本を作ろうと奮闘していく。体は弱いが前世の知識を武器に、周囲の人びとを巻き込みながら、本を作ろうと突き進んでいく彼女に魅せられてしまう。

転生した世界で、ただただ本を追い求めていく少女に、惹き込まれてしまうビブリア・ファンタジー。

2位『転生したらスライムだった件』伏瀬/みっつばー

あらすじ

冴えないサラリーマンの三上悟は通り魔に刺されて死んだと思ったら、スライムの姿で異世界に転生していた。

さまざまな種族がうごめくこの世界で、リムルという名のスライム人生をえて、どの種族でも楽しく暮らせる国作りを目指すのだが…。

おすすめポイント

通り魔に刺され、異世界で最弱モンスターのスライムに転生した三上悟。新しい世界での理を知り、生前の知識を活かしながら、ふりかかる困難を乗り越えようとするさまは、スライムの弱さを感じさせない。

平凡なサラリーマンが転生して最弱スライムとなり、ユニークなスキルを駆使しての冒険譚に魅入られる。

1位『薬屋のひとりごと』日向夏

あらすじ

花街で薬師をしていた少女の猫猫(マオマオ)は、人さらいにあって後宮で働かされることになった。目立たぬように勤めをはたすつもりが、帝の御子たちが短命であるという噂を耳にしたことで、物語が動きはじめる。

好奇心と知識欲に駆り立てられ、興味のおもむくまま原因を調べはじめる彼女だが…。

おすすめポイント

中世の後宮で下働きをする猫猫。旺盛すぎる好奇心により、さまざまな事件を解決へと導く。薬学の知識が豊富であり、自身の体で試した毒への耐性や、持ち前の好奇心を武器にして謎に挑んでいく彼女にワクワクさせられる。

後宮を舞台に繰り広げられる不思議な事件を追いかけていく彼女に、心を躍らせてしまう物語。

小説おすすめランキングまとめ

どうですか、気になった書籍は見つかりましたか?

この記事を通して、少しでもあなたの読書生活が有意義なものになったら幸いです。

それでは、まったです。 (‘◇’)ゞ

 

 

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この記事を書いた人

30代の元開発エンジニア。本の書評多め(ミステリ、ファンタジー、気になった本を読む雑食系)。現在は、自由な働き方で生活していけるように、日々の『喜び・怒り・悲しみ・楽しみ』を書きつづっています。

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