こんにちは! すべてが試行錯誤なネイネイ(@NEYNEYx2)です。
今回は、第57回メフィスト賞を受賞した、黒澤いづみ(@9630123x)さんの『人間に向いてない』を読みましたので、あらすじや感想・レビューをご紹介します。
家族のありかた、親子とはなにかを深く深く考えさせられる、親・子の本来あるべき姿、家族の絆を問う物語です。
『人間に向いてない』黒澤いづみ【あらすじ&概要】
あらすじ
ある日突然発症し、一夜のうちに人間を異形の姿へと変貌させる病「異形性変異症候群」。
政府はこの病に罹患した者を法的に死亡したものとして扱い、人権の一切を適用外とすることを決めた。
不可解な病が蔓延する日本で、異形の「虫」に変わり果てた引きこもりの息子を持つ一人の母親がいた。
あなたの子どもが虫になったら。それでも子どもを愛せますか?(「BOOKデータベース」より)
おすすめポイント
表紙もそうだが、ちょっとダークな部分が多い印象は拭えない。ただ、それらを見て感じてこれまでのおこないを見直すきっかけになるし、考え方も変化する。
そして思うのは、どういう人生を歩むのかは、その人自身の行動や選択で、良いようにも悪いようにも、いくらでも変化するんだよって思える。
異形性変異症候群
異形性変異症候群(ミュータント・シンドローム)は、人が突然にグロテスクな異形の姿へ変化してしまう難病。不治の病で治療法は確立されていない。
これになる人には特徴があり、若い人でなおかつ引きこもり・ニートだという。これに感染した患者は、生死にかかわらず死亡とされてしまう。
この本で考えさせられる一つのポイントでもある、社会的弱者が病気にかかりやすいというところにある。社会的弱者つまりは、生産性がない人が苦しんでいても世間の対応は、ひややかだとも聞こえる。
必要な手助け
美晴とその母親の会話で、下記の内容があります。
「そうさ。思い詰めなくたって、子どもは勝手に育つもんだよ。親なんか、その手伝いをしててやるだけでいいんだ。子どもの様子を見て、その時々に合わせて必要な手助けさえしてやれば、あとは自分で大きくなるもんなんだからね」
(P269より)
子供の将来のためと思い、あれやこれやと口をだし自身が正しいと思うレールを歩ませるのが、子育てだと思っていた美晴。でもそれは、相手にとっては苦痛でしかなく、傷つき卑屈にさせていただけ。
なんでも意見するのではなく、そっと子供が歩きやすいように手助けするだけでいいだと教えてくれます。
常識
育児の常識、健康の常識、勉強の常識、今この瞬間にそれが正しいとされていることも、数年後にはその情報は古くなる。
情報に惑わされるのではなく、その情報を良し悪しを自己判断するしかない。っと本書では結論づけている。
正しいか、正しくないかに一喜一憂するのではなく、自分が良いと思ったものを実行すればそれでいい。正しくなくても死ぬわけじゃないのだからと。
感想・レビュー
人の嫌なところをまざまざと描かれていて、胸が痛くなってしまう。でもどこか他人事ではないような気もして、自分自身が、自分の周りでそれがあったようにも思えてくる。
「人の振り見て我が振り直せ」ではないがこの物語をとおして、親が子にたいする言動、子が親にたいする言動、それらを改めるきっかけになるそんな作品。
まとめ
あなたにとって親とはなに、子とはなに、それらに気づけるそんな作品でした。
この本で、いまいちど親子のあり方を考え直してみてはどうでしょうか。
それでは、まったです。 (‘◇’)ゞ
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