こんにちは! ネイネイ(@NEYNEYx2)です。
散りばめられた伏線がみごとに回収される作品、二転三転する展開にワクワクさせられるものや、読んだ後の後味の悪さが特徴のイヤミスにと、種類が豊富にあるミステリー小説。
今回はそんな、国内外のミステリー作品の中から『2023年版ミステリー小説おすすめランキング』をジャンル別にてご紹介します。
まだ、読まれていない本があれば、これを機に読んでみてはいかがでしょうか。
【2023年版】ミステリー小説おすすめ【ジャンル別】
【いま話題のミステリー】面白いおすすめ小説
このミステリーがすごい!2023年版のあらすじ紹介【国内編&海外編】
いま話題のおすすめ小説
『方舟』夕木春央
あらすじ
大学時代のサークルの仲間たちと従兄ともに山奥の地下建築をおとずれた柊一。きのこ狩りで迷っていた3人家族も合流することになり、地下建築の中で一夜を過ごすことになる。
そんな中、夜明けに発生した地震によって、扉が岩でふさがれてしまう。さらには、地盤に異変があり、水が流入しはじめて、およそ1週間で水没する。そんなとき、殺人事件がおこってしまい…。
おすすめポイント
地震によって地下建築に閉じ込めらた10人は、水没によるタイムリミット前に脱出方法を探っていくクローズドサークルもの。そんな密閉された空間で殺人事件がおき、お互いを疑いながら犯人探しと謎解きを迫られる。
疑心暗鬼になった者たちの息苦しさと、タイムリミットが迫ってくる緊迫感が伝わってくる。推理を重ねていき少しずつ真実に近づいていく展開と、その先に待ち受けている真相に驚きを隠せない作品。
『栞と嘘の季節』米澤穂信
あらすじ
ある日の放課後、高校の図書委員をする堀川と松倉のふたりは、図書室の返却本の中に押し花の栞がはさまっているのを見つける。その花は、猛毒のトリカブトだった。
2人は校舎裏で栽培されているトリカブトを発見する。やがて、男性教師が中毒の症状により搬送されてしまう。いったい誰が、教師を狙っているのか。そして、次のターゲットは誰なのか…。
おすすめポイント
謎めいた頼まれごとをされやすい堀川と、大人びているが皮肉屋の松倉。高校の図書委員を務めている2人の前に、トリカブトの押し花の栞がはさまった本が見つかり、女子生徒・瀬野とともにこの謎に挑むことに。
ある理由によって、それぞれが嘘をついている3人。そんな彼らが紡ぎだす、友情と青春のほろ苦さを感じさせるミステリー。
『マスカレード・ゲーム』東野圭吾
あらすじ
都内でおきた3つの不可解な殺人事件。捜査をするなかで、被害者はみな過去に人を死なせたことのある者だった。やがて、その被害者たちを憎んでいる過去の事件の遺族たちが、ホテル・コルテシア東京に宿泊するということが判明する。
警部となった新田浩介は、またしてもホテルへの潜入捜査をおこなうことになるのだが…。
おすすめポイント
またもや、あの一流ホテルに潜入捜査することになった刑事の新田。警部に昇進して、ひと回り成長した彼の姿が描かれながらも、上司や新たに登場した女性の梓警部に捜査をかき乱され、頭を悩ませていく。
先の展開が読めないミステリーとしての面白さだけでなく、過去の事件における遺族や加害者たちの「罪」と向き合う姿に、心を揺り動かされるものがある物語。
『#真相をお話しします』結城真一郎
あらすじ
家庭教師の仲介営業をおこなっている大学生が、とある家族の異変に気づいてしまい…。(「惨者面談」)不妊に悩む夫婦がやっと授かった我が子だったが、予想だにしない展開が待っていて。(「パンドラ」)子供4人だけの島で、僕たちはiPhoneを手に入れて「ゆーちゅーばー」を目指すことに。しかし、ある事件によって島の人びとがよそよそしくなっていき…。(「#拡散希望」)
現代の日本を映し出しながら、緻密な構成と予想もつかない「どんでん返し」がまっている珠玉の5篇。
おすすめポイント
5話からなる短編小説で、マッチングアプリやリモート飲み会、YouTuberにと、ネット時代の今の世を描きながら謎解きにワクワクさせられる。
散りばめられた伏線に考えを巡らせつつも、緻密に練られた構成に騙されてしまう物語。
『爆弾』呉勝浩
あらすじ
ある夜、たわいない傷害事件で、スズキタゴサクという冴えない中年男が捕まった。ただの酔っ払いが暴れただけと見くびっていた警察だが、スズキは取調べのさなかに「十時に秋葉原で爆発がある」と予言した。
当初、警察も相手にしていなかったが、スズキの予言どおりに爆発が発生する。状況が一変するなかで、スズキは「ここから三度、次は一時間後に爆発します」と予言を続ける。はたして、警察は爆発を止めることができるのか…。
おすすめポイント
冴えない見た目のスズキタゴサクという男が捕まり、取り調べ中に都内で発生する「爆弾」を予告。やがて、スズキと警察による頭脳戦へと発展していく。
スズキの狙いが何なのかが気になりつつも、迫りくる爆発のタイムリミットから目が離せなくなってしまう。今の日本でも起こってしまいそうな事件に惹きつけられ、読み手の心の奥底をえぐりながら考えさせられる物語である。
『名探偵のいけにえ』白井智之
あらすじ
数々の奇跡をおこすジム・ジョーデンを教祖とする、新興宗教の信者たちが暮らす南米の集落。調査に行ったまま戻らない助手の有森りり子を心配して、探偵の大塒宗は教団の本拠地へと向かった。
だが、向かった先で調査員たちが一人また一人と不審な死を遂げていく。人の仕業には思えない状況での殺人であるが、病気も怪我も存在せず、失われた四肢さえ蘇ると「奇蹟」を信じている人たちがいる中で、はたして事件の真相を追求することができるのか…。
おすすめポイント
新興宗教の調査に赴いて戻らない助手を心配して、怪しい噂が絶えないジョーデンタウンへと向かった私立探偵の大塒。そこで彼が遭遇するのは、奇妙すぎる殺人事件の数々だった。
奇蹟を信じる信者たちがいる集落で、次々と巻き起こる不審死。奇蹟を信じる人たちに、私立探偵の大塒はロジカルな推理を繰り広げていく。実際の事件をモチーフにし、多重解決ものを利用した構成や、細部に散りばめられた推理に必要な手がかりには目を見張るものがある作品。
『捜査線上の夕映え』有栖川有栖
あらすじ
一見すると、ありふれた殺人事件のはずだった。大阪のマンションで、鈍器で殴り殺された男性が発見された。凶器は現場で見つかっている。死体は、クローゼットに置かれたスーツケースに詰め込まれていた。
異性関係のトラブルや金銭の貸し借りなど、複数の容疑者が浮上する。だが、アリバイが証明され、なかなか犯人を特定できずにいたのだが…。
おすすめポイント
どこにでもある事件だったはずが、防犯カメラやアリバイなどから捜査は行き詰まりかけていた。そこで、捜査本部は火村にアドバイスをもらおうとするのだが…。
容疑者が浮かび上がっても、なかなか真相にたどり着けずにいたが、後半になり雰囲気が一変する展開はさすがである。謎解きもさることながら、火村とアリスの掛け合いや、旅の情景が目に浮かんでくるエモーショナルな作品。
【短編ミステリー】おすすめ小説
短編ミステリー小説のおすすめ
1位『謎解きはディナーのあとで』東川篤哉
あらすじ
国立署の新人刑事である宝生麗子。その正体は、世界的にも有名な「宝生グループ」のお嬢様だが、職場では秘密にしている。職場では、パンツスーツに黒縁メガネという地味な着こなしながら、大豪邸に戻ればドレスに着替えて優雅にディナーを楽しむ麗子。難事件により捜査が進まなくなると、執事の影山にいつも相談しては、「失礼ながら、お嬢様の目は節穴でございますか?」と毒を吐かれながらも、事件の謎を解き明かしていく。
おすすめポイント
お嬢様の麗子と毒舌の影山ふたりの、痛快でいてユーモアたっぷりの掛け合いが、本作の最大の魅力になっている。またそこに、おぼっちゃんの風祭警部がスパイスを加えて、ライトミステリーを堪能することができる。
お嬢様刑事と暴言を吐く執事の軽快な会話をたのしみながらも、謎解きの爽快感を味わえる作品集。
2位『儚い羊たちの祝宴』米澤穂信
あらすじ
教養と品格を備えた、お嬢様たちが集まる読書サークル「バベルの会」。そんなバベル会の会員である、丹山吹子の屋敷で凄惨な事件がおこった。その翌年も、さらには翌々年にも吹子の近親者に悲劇がおきていく…。「バベルの会」をめぐる邪悪な雰囲気ただよう、5つの事件が描かれた短編集。
おすすめポイント
それぞれは独立したストーリーながらも、読書サークル「バベルの会」と繋がりのある人びとという共通項がある。全編をとおして、人間の心に潜んでいる狂気や残酷さが語られており、背筋がゾクっとさせられる恐怖感を味わうことに。目を背けようとするが、甘美なまでの語り口についつい惹きつけられてしまう。
優雅でありながら狂った世界に、酔いしれることのできる暗黒ミステリーの作品集。
3位『むかしむかしあるところに、死体がありました。』青柳碧人
あらすじ
誰もが知っている、昔ばなしを大胆にミステリーにアレンジ。
「一寸法師」「花咲か爺さん」「鶴の恩返し」「浦島太郎」「桃太郎」の昔ばなしが、まったく違った物語に生まれ変わる作品集。
おすすめポイント
お馴染みの昔ばなしではあるが、どこか不穏な空気がただよう。アリバイ、密室、ダイイングメッセージにと、今までとは違う視点で語られる昔ばなしxミステリーにゾクッとさせられる。
めでたしめでたしにはほど遠い、インパクト抜群の暗黒昔ばなしを愉しめる5つの物語。
4位『いけない』道尾秀介
あらすじ
自殺名所の近くにあるトンネルでおきた交通事故が、殺人の連鎖を。 (「弓投げの崖を見てはいけない」 )友達の少ない少年が遭遇した殺人現場は本物なのか、 偽物か。 (「その話を聞かせてはいけない」 )宗教団体の幹部女性が死体みつかった。先輩の刑事は、後輩をみちびきながら捜査を進めるが。(「絵の謎に気づいてはいけない」)
各章の最後のページにある1枚の写真が新たな真相を導きだすトリックが隠されている、新感覚の体験型ミステリー。
おすすめポイント
全4章からなる連作短編に、散りばめられたトリック。その謎を見破ろうと読者は自然と物語に引き込まれていく。そして、隠された真相に気づけたときの快感が、脳裏に焼きつけられクセになっていく。
一度読んだだけでは、すべての真相には辿りつけず再読必須。今までにない謎解きを体験できる作品集。
5位『AX アックス』伊坂幸太郎
あらすじ
超一流の殺し屋である「兜」だが、家では妻に頭が上がらない。こんな危うい仕事をしていることは、もちろん家族には内緒だ。克巳が生まれた頃から、この仕事を辞めたいと兜は考えていたが、容易ではなかった。引退に必要な金を稼ぐため、仕事を仕方なく続けていたある日、標的を早々に始末した兜であったが、意外な人物から襲撃を受ける…。
おすすめポイント
殺し屋という設定ながら、妻に気を遣うやりとりには、ほっこりさせられるとともに家族愛が伝わってくる。孤独だった男が手にしたかけがえのない家族。それを必死に守るとする父の背中には自然と涙がこみ上げてくる。
【本格ミステリー】おすすめ小説
本格ミステリー小説のおすすめ
1位『屍人荘の殺人』今村昌弘
あらすじ
神紅大学ミステリ愛好会の一員である葉村譲と会長の明智恭介は、同じ大学の「探偵少女」である剣崎比留子に誘われて、いわくつきの映画研究部の夏合宿に参加することに。
合宿初日の夜に、きもだめしをしようと映研のメンバーたちで出かけるのだが、予想だにしない事態に巻き込まれ「紫湛荘」に立てこもらざるを得ない状況になった。翌朝になり、密室で変わりはてた姿でメンバーの1人が見つかり…。
おすすめポイント
本作は、紫湛荘にあることで閉じ込められるクローズド・サークルものなのだが、その設定があまりに斬新で読者を惹きつける。また、紫湛荘のなかで繰り広げられる連続殺人には、緊迫さがこちらまで伝わり目が離せない。
大胆な密室ものの設定と緻密なトリックが融合し、謎解きの楽しさを存分に味わえる物語。
2位『すべてがFになる』森博嗣
あらすじ
孤島の研究所で、幼少期から隔離された暮らしをおくる天才プログラマーの女性である真賀田四季。彼女の部屋からウエディングドレスを着飾った、両手両足を切断された死体が発見された。
たまたま、島をおとずれていたN大助教授の犀川創平と女子学生の西之園萌絵が、この謎に満ちた密室殺人に挑んでいく。
おすすめポイント
孤島のハイテク研究所でおこった密室殺人。手の込んだトリックもさることながら、天才である真賀田四季の存在感が大きく、天才ならではの思考や価値観に魅力を感じてしまう。また、刊行が20年前だというのに、VR技術を的確に捉えている部分も興味をそそられる。
理系の知識と思考を試される、トリックを存分に堪能することのできる理系ミステリー作品。
3位『46番目の密室』有栖川有栖
あらすじ
クリスマスイブに、アリスと犯罪学者の火村英生のふたりは、推理小説の巨匠である真壁聖一の北軽井沢にある別荘でおこなわれるパーティに招待された。
「日本のディクスン・カー」と呼ばれる真壁は、46番目の次の作品で密室ものを最後にすると宣言した。だが、地下の書庫で暖炉に上半身を突っ込んだ状態で、真壁が殺されているのが発見された。しかも、部屋には内側からカギがかかっていて…。
おすすめポイント
推理作家アリスと臨床犯罪学者の火村英生のコンビが、密室でおきた不可解な事件に挑んでいく本作。複雑に絡み合った糸を、得られた情報から一つ一つ論理的に解いていく。読者も彼らとともに手がかりをもとに、推理に夢中になりながら読み進めることになる。また、アリスと火村のユーモアと皮肉が効いた2人の掛け合いも一つの見どころになっている。
斎藤工と窪田正孝でテレビドラマ化された「火村シリーズ」第1作目、王道の本格ミステリーを心ゆくまで愉しむことのできる物語。
4位『ジェリーフィッシュは凍らない』市川憂人
あらすじ
高度な技術により開発された、画期的な乗り物である小型飛行船「ジェリーフィッシュ」。発明者であるファイファー教授を筆頭にした技術開発メンバーたち6人は、ジェリーフィッシュの長距離航行性能の最終確認試験にのぞんでいた。
そんな最中、閉鎖された艇内でメンバーの1人が亡くなっているのが見つかった。さらには、自動航行システムが暴走してしまい、試験機ごと雪山に閉じ込められる。しかも、犠牲者がつぎつぎに…。
おすすめポイント
飛行船内のできごとと、事件後の刑事による捜査の様子が交互に語られていく。遺体の状況から他殺であるのだが、犯人はどうやって逃げ場のない雪山から脱出できたのか、そして誰なのか。練りあげたトリックに動機にと、読み手をぐいぐい物語に引き込んでいく。
21世紀の『そして誰もいなくなった』と称される本格ミステリーに心を奪われる作品。
5位『隻眼の少女』麻耶雄嵩
あらすじ
大学生の種田静馬は、おとずれた寒村の温泉宿で、少女の首切り事件に巻き込まれてしまう。犯人の罠にかかり殺人犯として疑われてしまった。そんな静馬を見事な推理で救ったのは、隻眼の少女探偵である御陵みかげ。
静馬とみかげの2人は、連続殺人事件を解決するのだが、18年後にふたたび同じ場所にて悲劇が…。
おすすめポイント
因習がのこる村でおこる連続殺人事件。1985年と、18年後の2003年の2部構成で語られ、驚愕のトリック、張り巡らされた伏線、そしてまさかの展開に驚きが止まらない。
繰り返される猟奇的殺人事件に奔走する少女探偵みかげと助手の静馬、精緻な構成により仰天の結末が待ち受ける。
【どんでん返しミステリー】おすすめ小説
どんでん返しミステリー小説のおすすめ
1位『medium 霊媒探偵城塚翡翠』相沢沙呼
あらすじ
香月史郎は、推理作家でありながら難事件を解決してきた。そんな彼が、ひょんなことから霊媒師の女性である城塚翡翠に出会い、ともに事件を解決することに。彼女は、霊媒によって死者の言葉を伝えることができる。だが、そこに証拠能力はないため、香月が霊視をもとに論理の力で事件を解決に導かねばいけない。
そのころ世の中では、連続殺人鬼が人びとを脅かしていた。姿を見せず証拠を残さない犯人を追い詰めるには、翡翠の霊媒が不可欠。しかし、殺人鬼の影がひそかに彼女のすぐそばまで迫っていた…。
おすすめポイント
霊媒師と推理作家という異色のコンビが事件解決に乗り出していく。それと並行するように語られていく、姿なき連続殺人鬼の存在が少しずつ大きくなり、緊迫感を高めていくとともに、やがて訪れる著者の仕掛けに読者は唸らされる。
どこに違和感をいだくのか、推理すべきは何なのか。頭をフル回転しなければ、謎すら見えてこない。「すべてが、伏線。」という、著者からの挑戦状がここに。
2位『十角館の殺人』綾辻行人
あらすじ
無人島である孤島の角島。その島に建つ十角形をした奇妙な館の「十角館」に、大学のミステリー研究会のメンバー男女7人がおとずれた。この島では、半年前に四重殺人事件がおきており、館を建てた建築家の中村青司を含む4人が亡くなった曰くつきの場所でもある。
そんな島での1週間を満喫するはずの彼らは、やがて連続殺人事件に巻き込まれていく…。
おすすめポイント
春休みを満喫するためおとずれた孤島でおこる連続殺人。動機やトリック、構成にとミステリーの魅力がすべて詰まった、日本ミステリー界でもっとも有名な一冊。
時代が変わっても読み継がれる、この壮大な仕掛けに誰もが衝撃を味わうことのできる作品。
3位『殺戮にいたる病』我孫子武丸
あらすじ
東京の繁華街でつぎつぎと猟奇的な殺人を繰り返していた蒲生稔が逮捕された。通報したのは、独自の調査を進めていた元警察官の樋口。その逮捕現場には、息子が犯人なのではと疑っていた、母親の雅子の姿もあった。
そして物語は、これまで蒲生稔がおこなってきた残忍な犯行があかされていくのだが…。
おすすめポイント
街でくり返される猟奇的殺人事件。冒頭の犯人逮捕のシーンからはじまり、犯人、元刑事、犯人の家族、という3つの視点から事件をさかのぼって語られていく。グロテスクな描写も多いが、ぐいぐい読者を引き込んでいき、驚きの展開にしばし言葉を失う。
シリアルキラーの男がこれまで歩んできた軌跡に、恐ろしさとともに衝撃を受ける物語。
4位『葉桜の季節に君を想うということ』歌野晶午
あらすじ
元私立探偵である成瀬将虎は、いつも利用しているフィットネスクラブに通う久高愛子から、身内が巻き込まれた悪質な保険金詐欺について証拠を掴んでほしいと依頼された。
同じころ、将虎は地下鉄に飛び込もうとしていた麻宮さくらを助け、それをきっかけにデートを何度かする仲になっていく。やがて、保険金詐欺と将虎の恋の2つのできごとが交わり…。
おすすめポイント
「何でもやってやろう屋」を称している成瀬将虎が、依頼を受けた保険金詐欺の調査に奔走していく。軽快に進んでいくストーリーに気を取られていると、みごとに足元をすくわれ、ハッとさせられてしまう。
予想だにしない展開に、爽やかに騙されながらも、タイトルに込められた想いに馳せてしまう作品。
5位『ハサミ男』殊能将之
あらすじ
2003年の東京。ちまたでは、女子高生の喉にハサミを突き立てられる連続猟奇殺人事件が発生していた。マスコミは犯人を「ハサミ男」と呼び、世間の注目を集めていた。
一方で、ハサミ男は3人目のターゲットを決め、入念な調査をおこなっていた。だが、自分の手口を真似た死体を発見した。ハサミ男は、誰がこんな殺害をおこなったのか調査を開始しはじめるのだが…。
おすすめポイント
遺体の首にハサミを突き立てる残忍で猟奇的な殺人事件。しかし、模倣犯があらわれ、殺人鬼であるハサミ男が真犯人を探すという特殊な設定ながら、緻密に計算された仕掛けに読者はしてやられる。
隠された仕掛けに、騙される快感を愉しむことのできる、上質なミステリー。
【イヤミス】おすすめ小説
イヤミス小説のおすすめ
1位『告白』湊かなえ
あらすじ
「愛美は死にました。しかし事故ではありません。このクラスの生徒に殺されたのです」中学校の1年B組。終業式の日に担任である森口悠子は、教師を辞めることを生徒たちに告げた。その原因とされる、娘がプールに転落して亡くなったことについて語りだす。犯人である「A」と「B」をあげながら、すでに彼らには復讐を仕掛けた、と宣告して去っていく…。
おすすめポイント
大切なものを失った哀しみと憤りは、きれいごとだけでは語れない。それは、教師という立場にあっても同じである。さらけだされた、人の心の奥底を覗き見すれば、嫌悪感を抱くかもしれないが、それが人なのだと感じさせ、物語に引き寄せられてしまう。事件の関係者たちの独白に、人間としての本性が透けて見え、それが読者に深い余韻を残していく作品。
2位『殺人鬼フジコの衝動』真梨幸子
あらすじ
十数人を殺害した伝説の殺人鬼であるフジコ。彼女が11歳のとき一家惨殺事件にあいながら、ただひとり生き残った。その後、新しい人生を歩みはじめたはずの少女だが、いつしか道を大きく踏み外していき、伝説の殺人鬼フジコと呼ばれるように。彼女を知る人物がのこした記録小説として、フジコの壮絶な人生が明かされていく…。
おすすめポイント
両親からの虐待、学校でのいじめ、そんな環境で成長していった少女。そして、11歳の彼女が遭遇した事件により、転機を迎えるかに思えたが、さらに歪んだ人生を歩んでいく。読み進めれば気持ちが沈んでいくのがわかっているのに、先へ先へと進んでしまうから不思議だ。
1人の少女があゆんだ壮絶な人生を見せつけられ、つねに心がざわついてしまう物語。
3位『ユリゴコロ』沼田まほかる
あらすじ
亮介は、実家の押入れから「ユリゴコロ」と書かれた4冊のノート見つけた。そこには、殺人に魅了された人間の告白が生々しく記されていた。
創作とは思えぬノートの内容に、亮介の心は揺り動かされノートの真相に迫っていくのだが…。
おすすめポイント
ふとしたことから手にしたノートに惹きつけられていく青年。彼と同じように読者も物語に引き込まれていく。ノートには、抑えることのできない殺意だけでなく、もう一つの感情である愛についても綴られているところが、この物語の見どころでもある。
ノートに綴られた罪の告白を前にして、心をゾワつかせる感覚に浸ることのできる作品。
4位『名もなき毒』宮部みゆき
あらすじ
今多コンツェルン広報室で働くアルバイトの原田いずみは、仕事のできないトラブルメーカーであった。そんな彼女を解雇したのだが、そのことを根に持ち会社に牙を剥いてきた。彼女との連絡窓口となり対処にあたる杉村三郎は、経歴詐称の裏付けをはじめていく。一方で、ちまたでは連続毒殺事件が騒がれていたのだが…。
おすすめポイント
平穏な日常に潜んでいる悪意。人は誰しもが心に毒をたずさえており、それが表にでることで事件へと繋がる。そんな世に蔓延している毒を恐ろしく感じるが、同時にどう向き合っていくのかを考えさせられもする。現代社会のありふれた日常のなかに隠された「毒」を、強いメッセージ性をもち心に刻み込まれる物語。
5位『暗黒女子』秋吉理香子
あらすじ
聖母女子高等学院で、もっとも人気がありカリスマ性を合わせもつ女生徒である白石いつみが、校舎の屋上から落下して亡くなった。1週間後に集められたのは、彼女を殺したと噂されている文学サークルの少女たちだ。
朗読会のなかで、一人ずつ彼女の死について発表していくことに。だが、彼女たちの証言は、事件を思いがけない方向へと…。
おすすめポイント
人気者であった女子の死から、彼女の死にまつわる朗読会での矛盾する証言。誰もが疑わしく思えてくる展開に、謎は深まるばかり。少しずつ見えてくる彼女たちの素顔にゾクッとさせられる。
お嬢様学校におけるヒリつく交友関係や心の機微に吸い寄せられて、目が離せなくなっていく物語。
【ホラー系ミステリー】おすすめ小説
ホラー系ミステリー小説のおすすめ
1位『首無の如き祟るもの』三津田信三
あらすじ
奥多摩にある媛首村。そこは、かつて首を斬られて亡くなった女の怨霊である淡首様の伝承が残る地でもある。そんな村の秘守家には、13歳になると「十三夜参り」という儀式があった。
その儀式のさなか惨劇ははじまり、さらには10年後にも悲劇がおきていき…。
おすすめポイント
媛首村でおきた2つの未解決事件。巧妙に練りあげられた構成、密室の謎にトリックや叙述にと、仕掛けがふんだんにあり、読者はそれに振り回されながらも存分に楽しめる。また、怪異なその雰囲気もまた本作を盛り上げている。
怪異とミステリーの融合された世界観を堪能しながらも、謎解きを存分に味わうことのできる「刀城言耶」シリーズ第3作目の傑作。
2位『Another』綾辻行人
あらすじ
1998年の春。夜見山北中学校に転校してきた榊原恒一は、3年3組のなにかに怯えているような暗いクラスの雰囲気に違和感を覚えた。左目に眼帯をしている不思議な少女であるミサキ・メイに惹かれていく。しかし、他のクラスメイトは彼女を認識していないようだった。
そんなある日、ある生徒の凄惨な死がおきた。3年3組で一体なにがおきているのか…。
おすすめポイント
なにかがおかしい3年3組。重苦しい空気がただようなか榊原恒一は、少しずつ募っていく違和感に苛まれていく。ついには、理不尽な不幸がおきはじめ、謎が深まるとともに恐怖が襲ってくる。
不思議でいて、おどろおどろしい雰囲気に魅了され、謎の真相を夢中で追いかけてしまう物語。
3位『予言の島』澤村伊智
あらすじ
瀬戸内海にある孤島の霧久井島は、かつて人気を博した霊能者の宇津木幽子が「20年後に霧久井島で一夜のうちに6人が死ぬ」という最後の予言を遺した場所である。
天宮淳は幼なじみの2人とともに旅行へと島をおとずれた。だが、リフレッシュするはずの旅行は徐々に不穏な雰囲気がただようことに。そして、3人のなかの1人に悲劇が…。
おすすめポイント
有名な霊能者が残した不吉な予言を確かめるべく、島に向かった天宮淳たち。そこで目にする、奇妙な風習、島に伝わる怨霊にどこか不穏な空気がただよいながらも、その土俗的な雰囲気に引き込まれていく。
孤島で巻き起こるできごとに緊迫感を覚えながら、その真相にしてやられる作品。
4位『火のないところに煙は』芦沢央
あらすじ
「神楽坂を舞台に怪談を書きませんか」。そんな依頼に作家である「私」は、8年前の凄惨な体験を思い出す。
結婚を考えていた恋人の男性とともに、当たると評判の「神楽坂の母」という占い師をたずねた角田尚子。だが、結婚は不幸になると告げられ、ふたりの関係はギクシャクしていき、ある悲劇が。ある日、仕事でたずさわった交通広告のポスターに奇妙なシミが見つかり…。(「染み」)
おすすめポイント
フィクションをドキュメンタリーのように描かれた本作。あたかも実話かな、と思わせるようなリアルな話に恐怖を覚えつつも、読み進めた先におとずれる仕掛けに背筋が凍りつく。
リアリティのある一つ一つの話に慄きながら、じわじわ迫りくる恐怖にゾッとさせられる。
5位『少女たちは夜歩く』宇佐美まこと
あらすじ
杏子は、高校への進学とともに母親と訣別し、新たな生活をスタートさせた。大学生の恋人もできたのだが、偶然であった中学校の教師に惹かれていき破滅の道に…。(「宵闇・毘沙門坂」)絵画修復士である環は、ある絵の修復を依頼された。よく絵を観察すると、女性の描かれた下に別の絵が隠されていて…。(「猫を抱く女」)
ゆるやかに絡み合う悲劇の終着点はどこに向かうのか…。
おすすめポイント
中心に城山が鎮座する街でおこる不穏なできごとの数々。ゆるく繋がりのある物語に少しずつ読み手さえも、暗い森の奥へと吸い寄せられていく錯覚すら感じさせられる。
ほのかにただようダークな世界観に魅せられて、さまよいながら著者の罠にハマってしまう物語。
【ファンタジー系ミステリー】おすすめ小説
ファンタジー系ミステリー小説のおすすめ
1位『かがみの孤城』辻村深月
あらすじ
安西こころは中学に入学してすぐに、あることが原因で学校へいけなくなった。居場所がなく家に閉じこもっていたある日、突如として部屋の鏡が光りだした。輝く鏡をくぐり抜けて導かれた先には、見たこともない城があった。そこには、こころと似た境遇の7人がいた。狼面をつけた少女の指令で、どんな願いも叶うという部屋の鍵を探すことになるのだが…。
おすすめポイント
城に集められた7人は、それぞれに悩みを抱えている。心の奥底に闇を抱えた彼らの心情や、もがきながらも前に進もうと立ちあがろうとするさまは、感情移入させられ胸が熱くなってくる。また、鍵を探すなかタイムリミットが迫まる状況で、忍び寄よってくる怪しげな気配には、おのずとハラハラドキドキ感が高まってていく。心に傷を抱えた者たちが、理不尽な現実を打ち砕こうと一歩を踏みだしていく。そんな姿に心を揺り動かせる物語。
2位『新世界より』貴志祐介
あらすじ
1000年後の日本。人類は「呪力」と呼ばれる能力を身に宿していた。自然に囲まれた豊かな集落「神栖66町」では、のどかな生活を人びとは送っていた。だがそれは、偽りの平和であった。
12歳の少女である渡辺早季は、同級生たちと出かけた先で図書館の端末機械「ミノシロモドキ」に出会う。そして、先史文明が崩壊した真実を知ってしまう…。
おすすめポイント
「呪力」という念動力をもちいて暮らしている未来。管理のとれた平和そのものの世界。だが、その裏に見え隠れする不穏な影。この社会での大いなる秘密を知ってしまった、少年少女たちの決断に目が離せなくなっていく。
独特でいて壮大な世界観に圧倒されながら、先の展開にハラハラドキドキが止まらなくなる作品。
3位『オーデュボンの祈り』伊坂幸太郎
あらすじ
ひょんなことから辿り着いた見知らぬ土地。そこは外部と交わりのない奇妙な孤島だった。人の言葉を喋るカカシ、島民から殺人を認められた男、嘘しかいわない元画家など変わり者ばかり。伊藤の島での数日間の奇妙な生活が幕をあける…。
おすすめポイント
島での生活は、現実世界とどこか違う。あたかもファンタジーの世界に迷い込んだような感覚に陥る。次から次へと発生するできごとに謎は深まるばかりだが、バラバラに散らばっていたピースが一つに合わさったときには、爽快さと清々しい気持ちにさせられる。
4位『折れた竜骨』米澤穂信
あらすじ
ロンドンを出港して、北海を3日ほど進んだあたりに浮かぶソロン諸島。その領主を父にもつアミーナは、あてのないの旅を続ける騎士ファルク・フィッツジョンと、その従士の少年ニコラに出会う。ファルクはアミーナの父に、すご腕の魔術使いである暗殺騎士から、命の危機にさらされていると告げ…。
おすすめポイント
中世のヨーロッパを舞台に、魔法と剣が入り乱れる世界。ある日、領主の娘であるアミーナが事件に巻き込まれ、その真相を追うことに。謎解きを堪能しつつも、剣と魔術の戦闘シーン、そして不死の者まで登場しての展開に、惹きつけられていく。
剣と魔法が存在するファンタジー要素と、ミステリーの融合した世界観に心踊らされる物語。
5位『ムゲンのi』知念実希人
あらすじ
28歳の女医である識名愛衣が勤務する病院で、4人の患者が謎の病気にかかった。ひたすら眠り続ける特発性嗜眠症候群、通称イレスという奇病。愛衣は患者を同時に3人もかかえ戸惑いを感じていたが、患者には共通して発症前に心に深い傷を負って、人生に絶望していたということに気づく。愛衣は受け継がれしユタの力で、目醒めない患者の夢の世界に入り込み、魂の救済を試みていく…。
おすすめポイント
心に深い傷を負い立ち上がれずにいる者たち。そんな、自身の殻に閉じこもり前に進めずにいるものの背中をそっと後押ししてくれる物語に、心がほんのりと温かくなってくる。夢幻の世界というミステリーとファンタジーが織り交ぜられた新感覚の体験を味わうことのできる作品。
【青春ミステリー】おすすめ小説
青春ミステリー小説のおすすめ
1位『氷菓』米澤穂信
あらすじ
省エネ男子である折木奉太郎は、なにごとにも積極的に関わらないことを信条にしている。神山高校に入学と同時に、姉の命令で廃部寸前の「古典部」に入部させられてしまう。そこで出会った好奇心の塊である千反田えるの一言で、彼女の祖父が関わったとされる33年前の事件の真実に迫っていくことに…。
おすすめポイント
省エネを信条とする折木奉太郎、お嬢様で天然の千反田える、彼らを筆頭に古典部の男女4人のキャラクターがとにかく個性的で、本作における最大の魅力になっている。
日常に隠された小さな謎を解きながら、高校生活の爽やかさと、ちょっぴりほろ苦さを堪能できる青春ミステリー。
2位『いなくなれ、群青』河野裕
あらすじ
ある日、目を覚ますと階段島という奇妙な場所にいた七草。この島にいる人びとは過去の記憶を持たず、誰もここに来た理由を知らない。特に気にすることなく、のどかな高校生活を過ごしていた七草だったが、どこまでも真っ直ぐな少女・真辺由宇と出会いすべての状況が一変していく。
島でおきる連続落書き事件、そこに秘められた謎。自分の存在に、彼女にたいして、彼は疑問を抱いていき、やがて真実が見えてきて…。
おすすめポイント
2年ぶりに再開した七草と真辺由宇、そこから止まっていた時間が動きはじめる。島に隠された秘密を追いながらも、思春期の揺れ動く心を描きだし、成長していく過程で自分自身が失ってきたものを問いかけてくる。
悲観的な主人公と、どこまでも純粋な少女が不思議な島で過ごす日々に、切なくもあるが爽やかさも感じられる作品。
3位『島はぼくらと』辻村深月
あらすじ
瀬戸内海の小さな島、冴島。高校3年生である朱里、衣花、源樹、新の4人は島の唯一の同級生である。フェリーで本土の高校に通っている彼らは、卒業と同時に島をでることになる。あるとき、4人は冴島に「幻の脚本」を探しているという謎の青年に出会った。淡い恋心に友情、それに送りだす大人たちの覚悟。旅立ちの日はそこまで迫っていた…。
おすすめポイント
人口3000ほどの離島。小さな島ならではの人とのつながり、温かさや切なさに魅せられていく。また、島から送りだす側である大人の想いには感慨深いものがある。4人だけの同級生である少年少女が、自分の将来を見据えて進んでいくさまは、爽やかでいて心地いい。
4位『その日、朱音は空を飛んだ』武田綾乃
あらすじ
高校の屋上から川崎朱音が飛び降りた。彼女の死は自殺とされたが、学校は彼女についての調査をはじめ、クラスメイトにアンケートが配られた。そこには、高校生たちの感情の渦が見え隠れしていた。
一方で、1つの動画の存在が浮上してきた。朱音が飛ぶ瞬間を撮影したものらしい。動画はまたたくまに拡散していくが、謎も多く残っていた。少女の死から見えてくる、生徒たちの本当の姿があきらかになって…。
おすすめポイント
各章ごとに、ひとりずつ視点を変えながらクラスメイトたちが語っていく。女子高生の表面上だけの関係、身勝手な振る舞い、人への依存にと、思春期のリアルが滲みでており、学校内での居場所を見つけることの難しさと大切さをしみじみと感じさせる。また、事件後におこなわれたアンケートが効果的に使用されている点も一つの見どころになっている。
ダークでいて後味がいいものではないが、10代への警鐘を鳴らしているともとれる構成に、心惹かれるものがある物語。
5位『早朝始発の殺風景』青崎有吾
あらすじ
早朝始発の列車でなぜか出会ってしまった高校生の男女ふたり。互いに疑問を抱きつつも、その目的を探ろうと会話をしていき…。(「早朝始発の殺風景」)高校の部活を引退した記念におとずれた幕張ソレイユランド。気になるあの子も一緒なのに、どういうわけか男2人で観覧車に乗ることに…。(「夢の国には観覧車がない」)
青春の気まずさが充満した密室で、ふとした会話を通して少しずつ互いの関係に変化があらわれて…。
おすすめポイント
ほんの狭い空間での短い時間を描きながら、さりげない会話から隠されている謎を紐解いていく。微妙な距離感で揺れ動いていく心情に、高校生の若々しさとほろ苦さを感じられ、爽やかな風が吹き抜けていく。
場面転換なしでリアルタイム進行していく日常の謎に、ワクワク感を募らせてしまう作品集。
【恋愛ミステリー】おすすめ小説
恋愛ミステリー小説のおすすめ
1位『イニシエーション・ラブ』乾くるみ
あらすじ
大学4年の鈴木は、乗り気ではなかったが友人に誘われた合コンに参加した。だが、そこで歯科衛生士のマユと出会い、ふたりはやがて付き合うようになり、甘い学生生活をおくることに。
しかし、地元の静岡の会社に就職した鈴木だったが、すぐに東京勤務を命じられマユとは長距離恋愛になってしまう。次第にふたりの間にズレが生じていき…。
おすすめポイント
時代背景がうかがえ、懐かしみを覚える展開。大学生から社会人にかけての淡い恋愛模様と思わせる。しかし、張り巡らされた伏線に気づいたとき、頭のなかが真っ白におちいってしまう。
ありふれた男女の恋愛を描きながらも、その裏に用意された仕掛けにまんまと騙され、感嘆の声をもらす作品。
2位『ずっとあなたが好きでした』歌野晶午
あらすじ
スーパーでアルバイトするために年齢をいつわる中学生の大和。バイト先の高校生の三千穂といい感じなのだが、正社員の宗像がふたりの間を邪魔して…。(「ずっとあなたが好きでした」)脱サラして会社を立ち上げるも倒産し、妻も去っていった五十嵐。富士の樹海で集団自殺をとげようと、ネットで知り合った者たちで出かける。しかし、その中のひとりの女性に恋をして…。(「黄泉路より」)
恋にまつわる13の作品集に酔いしれているとサプライズが待ち受けることに。
おすすめポイント
恋をめぐる物語と見せかけて、そこは仕掛けもなく終わるはずもなく…。巧みな構成に踊らされながら読み進め、やがて訪れるサプライズにしてやられる。
恋心を綴っただけとあなどってはいけない、それはすべて著者の策略なのだから。
3位『崩れる脳を抱きしめて』知念実希人
あらすじ
研修医の碓氷は実習に訪れた病院で、脳腫瘍をわずらう女性ユカリと出会う。外の世界を恐れているユカリと、過去に苛まれる碓氷。心に傷をもったふたりは徐々に心を通わせていく。実習を終えた碓氷のもとに、ユカリの死の知らせが届くのだが…。
おすすめポイント
恋愛要素のみならず、碓氷の過去への苦悩、ミステリーありと、さまざまな要素が散りばめられて、読者を飽きさせることなく、次の展開に期待がどんどん膨らんでいく。心に傷を持ちながらも、それに向き合っていく2人の心情には感情があふれでてしまう。
4位『パラレルワールド・ラブストーリー』東野圭吾
あらすじ
敦賀崇史は、親友の恋人がかつて一目惚れをした女性であったことに驚き、嫉妬に苛まれる。ところが、ある朝、目を覚ますと親友の彼女が、なぜか自分の恋人として隣にいた。混乱する崇史は、本当の現実を取り戻すため、記憶と真実を巡ることに…。
おすすめポイント
交差する2つの世界に翻弄されながら、恋と友情に苦悩する想いに切なさもある。二転三転するストーリーに混乱しながらも、真実と恋の行方に目が離せなくなる、一味違うラブストーリー。
5位『Nのために』湊かなえ
あらすじ
セレブが住んでいる高層マンション「スカイローズガーデン」の一室で、野口貴弘と奈央子の夫妻が殺害された。現場に居合わせたのは、夫妻に招かれた杉下希美、フレンチレストランの出張サービスで訪れた成瀬慎司、貴弘の部下である安藤望、奈央子の依頼で訪れた西崎真人。彼らの証言により、それぞれが想いを寄せるNと事件の真相が明らかになっていく。すべては「N」のために…。
おすすめポイント
純粋な愛、歪んだ愛、そしてすれ違い。人を愛するとは何なのか、と思わずにはいられない。大切な人を想っての行動が、ほんの少しずれた歯車により、あるできごとに繋がっていく。証言に込められた4人の男女のそれぞれの想いに、切なさと純愛に酔いしれる物語。
【医療ミステリー】おすすめ小説
医療ミステリー小説のおすすめ
1位『チーム・バチスタの栄光』海堂尊
あらすじ
東城大学医学部付属病院では、「チーム・バチスタ」という心臓移植の代替手術であるバチスタ手術専門チームを作り、驚異の成功率をほこっていた。
しかし、そんなチームが立て続けに3例の術中死に見舞われていた。次の患者は、世間からも注目を集めるゲリラ兵の少年ということもあり、内部調査に乗り出した。不定愁訴外来の田口医師が調査を進めるさなか、厚生労働省の変人とされる白鳥圭輔があらわれて…。
おすすめポイント
大学病院内での人間模様、手術シーンでの緊迫感がリアルに伝わり読者を引き込んでいく。また、田口と白鳥の一見するとアンバランスな2人が作品にいい味を加えている。
ミステリーでありながら、医療現場の人間ドラマも存分に楽しむことのできる物語。
2位『無痛』久坂部羊
あらすじ
神戸市内の住宅地でおきた凄惨な一家四人殺害事件。現場には多くの遺留品が残されていたが、犯人を特定するには至らなかった。だが8ヶ月後、精神障害児童施設に収容されている14歳の少女が、自分が犯人だと告白するのだが…。
外見を見ただけでその人の症状がわかる医師の為頼英介。また彼は、犯罪を犯そうとする者にあらわれる兆候である「犯因症」を察知することができる。そんな彼が、犯人を追っていく。
おすすめポイント
外見だけで症状を見極めることができる医師、痛みをまったく感じない男にと、読者を惹きつける設定が随所に散りばめられ読み応えがある。また、心神喪失や心神耗弱のある者の犯罪、刑法39条をどのように考えるのかという難しいテーマを扱いながら、読者にその是非を問いかけてもいる。
現代の医療や刑法39条の矛盾点を浮き上がらせ、強いメッセージ性を投げかけられる物語。
3位『サイレント・ブレス』南杏子
あらすじ
大学病院から、最後を迎える患者のための訪問診療クリニックに左遷された37歳の水戸倫子。死を待つだけの患者との対峙に、この仕事への意義を見いだせずにいた。
しかし、さまざまな患者と接していくなかで、人生の最後のときを穏やかに過ごすことを手助けすることのできる、終末期医療の大切さに気づいていく…。
おすすめポイント
在宅で最後を迎える患者たちの家をおとずれ、診療をすることになった水戸倫子。患者と向き合うなかで、戸惑いを滲ませながらも患者にとって最善の選択とはなにか、を模索しながら成長していく倫子には感慨深いものがある。
最後のときをどのように過ごすのか、終末期医療のあり方を考えさせられる作品。
4位『仮面病棟』知念実希人
あらすじ
外科医の速水秀悟は、療養型である田所病院で当直バイトをしていた。そんななか、不気味なピエロの仮面をかぶった男が、病院へと駆け込んできた。そして、自らが脇腹を銃で撃った川崎愛美を治療するよう要求してくる。男はそのまま病院に籠城して、秀悟と愛美たちは人質として監禁を余儀なくされてしまう。なんとか脱出を試みるうちに、徐々に隠されていた病院の秘密が明かされていく…。
おすすめポイント
閉鎖された病院が舞台のクローズド・サークルもの。ピエロの不可解な行動、なにか隠している感じのある院長たち、疑心暗鬼のなかで進むさまに、ハラハラドキドキが止まらなくなっていく。それはまさにジェットスターに乗ったかのごとく。次から次へと謎が押し寄せる展開にスリルと緊張で、最後まで目が離すことができず一気読みさせられる作品。
5位『祈りのカルテ』知念実希人
あらすじ
研修医である諏訪野良太は、初期臨床研修を受けるなかで、内科、外科、小児科など、様々な科をまわって医師としての基礎力を身につけようと精進していた。さまざまな科で患者たちと接していくなかで、自分がどの科を専門にするのかを決めかねていた。
おすすめポイント
洞察力に優れ、患者に寄り添うことができる良太だが、それが故に不向きな科もある。読み進めるごとに彼の人柄に触れることになり、その魅力に引き込まれていく。ひとりの研修医が患者と触れ合うなかで、自身の方向性を見出そうとしながら人として成長していく姿に、心揺さぶられる作品。
【社会派ミステリー】おすすめ小説
社会派ミステリー小説のおすすめ
1位『罪の声』塩田武士
あらすじ
京都で紳士服のテーラーを営む曽根俊也は、ある日父の遺品のなかからカセットテープと黒革のノートを見つけた。ノートには大量の英字のほかに「ギンガ」と「萬堂」の文字が書かれていた。また、テープを再生すると、幼いころの自分の声が聞こえてきた。それは、31年前に日本を震撼させた脅迫事件に使われた男の声とまったく一緒であった…。
同じころ、大日新聞の記者である阿久津英士も、この未解決事件を追っていくことに。
おすすめポイント
グリコ森永事件をモチーフにした本作。大企業を標的にした誘拐に身代金要求、毒物混入をばらまく凶悪さに加えて、マスコミや警察を挑発して巻き込んだ劇場型犯罪。その未解決事件の真相に迫っていく新聞記者と脅迫テープの声の男。まったく立場の違うふたりが交錯し、事件の闇に挑んで苦しみ葛藤しながら、自分なりの答えを見いだしていく姿に心を揺さぶられる。
昭和最大の未解決事件に関わってしまった人びとの深淵に胸が締め付けられながらも、心に染みいる物語。
2位『64(ロクヨン)』横山秀夫
あらすじ
わずか7日間しかなかった昭和64年におこった少女誘拐殺人事件。未解決のまま時効が迫っていたある日、警察庁長官視察が決まった。
しかし、被害者遺族からは拒否され、当時捜査に加わっていた三上義信は違和感を覚える。やがて、見えてくる警察組織の闇に立ち向かっていくのだが…。
おすすめポイント
ロクヨンと呼ばれた未解決事件。警察組織のなかでの権力争いに苛まれながらも、仕事に真摯に向き合っていく主人公の三上義信。人びとの思いがぶつかり合い、駆け引きがおこなわれる臨場感がヒシヒシと感じられ、物語に引き込まれていく。
警察内部の確執やマスコミとの攻防にと人間模様を堪能しながらも、人としての生きざまに感嘆させられる作品。
3位『手紙』東野圭吾
あらすじ
武島剛志は弟を大学に入れるため、金欲しさに空き巣に入り殺人を犯してしまう。刑務所に入った剛志は、月に1度、弟の直貴のもとに、手紙を送る。人生のあらゆる場面で、「強盗殺人犯の弟」という足かせが付き纏っていく。それでも、理解を示してくれる女性と出会い家庭を持った直貴は、ある決意をするのであった…。
おすすめポイント
犯罪加害者の家族をテーマに、その過酷さと苦悩が痛いほど伝わってくる。罪というものの重みを深く考えさせられる。犯罪者の家族というレッテルを抱えながらも、必死に生きようとする姿に胸を締めつけられる作品。
4位『希望が死んだ夜に』天祢涼
あらすじ
同級生の春日井のぞみを殺害した容疑で、女子中学生である冬野ネガが逮捕された。彼女は、犯行を認めてはいるが、動機については一切語ろうとはしなかった。
ネガは、母親とふたりでギリギリの貧困生活を送っていた。一方で、のぞみはクラスの人気もあり優等生であった。刑事の真壁は、生活安全課の仲田とタッグを組んで捜査をはじめ、意外な真実が浮かび上がってくる…。
おすすめポイント
子どもの貧困という重いテーマが事件の背後にある本作。無知な周りの人たちの反応、ネグレイトや児童労働にと14歳の子どもには過酷すぎる環境と現実。子どもの貧困という闇の根深さが伝わるとともに、自分の物差しでしか物事を見れていないことに気づかされる。また、動機が不明でいて、最後までどうなるかわからないミステリー要素も、読者を惹きつけている。
どうすれば貧困の連鎖を断ち切れるのか、その情景を想像しながら答えを考えさせられ、心に響くものがある作品。
5位『スワン』呉勝浩
あらすじ
巨大ショッピングモールである、「湖名川シティガーデン・スワン」でおこった無差別銃撃事件。死者21名におよぶ悲劇の中で、犯人と接触しながら生き残った、女子高生の片岡いずみ。事件が終結して平穏がおとずれるかと思った矢先、同じく事件にあって生き残った、同級生の古舘小梢により告発文が週刊誌に暴露された。これにより、片岡いずみは被害者から一転して、非難の対象として吊し上げられてしまう。
そんなとき、彼女に一通の招待状が届く。集められたのは、テロ事件にあいながら、生き残った五人の関係者だった。目的は事件のさなか亡くなった吉村菊乃の死の真相を明らかにすることである。生き残った者が抱える秘密とは? そして事件のウラに隠された真実とは…。
おすすめポイント
理不尽な悲惨に苛まれて心に深い傷を負ってしまう片岡いずみ。苦しみに苛まれながらも、どうにか前に向かって進んでいこうとする姿は、読者に訴えかけるものがあるとともに、情報過多である現代社会が抱えている闇があるようにも思え、深く考えさせられるものがある。
無差別テロ事件という過酷な状況のなかで迫られる選択、そして悪のレッテルを貼られ、ひとり孤独な闘いに向かう主人公には、深く心に刺さるものがある物語。
【映像化ミステリー】おすすめ小説
映像化ミステリー小説のおすすめ
1位『容疑者Xの献身』東野圭吾
あらすじ
高校教師である石神は、天才数学者でありながら不遇な生活をおくっていた。娘の美里と2人で暮らす隣人の花岡靖子に秘かな想いを寄せていた。あるとき、前夫である富樫が居場所を特定して訪ねてくるのであった。金を無心し、暴力をふるう富樫に耐えかねて、靖子と美里は殺してしまう。2人の状況を察した石神は、救うために完全犯罪を企てる。しかし、石神と大学時代の親友でもある、天才物理学者の湯川学が、捜査に加わり真相に近づいていくのだが…。
おすすめポイント
天才vs天才の攻防に目が離せないだけでなく、湯浅の親友を思いやり苦悩する姿も見どころである。湯浅が天才と認めた男が企てた完全犯罪、そこに隠された切なくも驚くべき真実に、あふれでる感情を抑えきれない。
2位『ゴールデンスランバー』伊坂幸太郎
あらすじ
仙台でおこなわれていた金田首相の凱旋パレード中、突如爆発が起こり首相が死亡した。同時刻、元宅配業の青柳雅春は、旧友に「お前、オズワルドにされるぞ」と告げられ、今すぐ逃げろと促される。突如あらわれた警官は、ためらうことなく拳銃を発砲した。どうやら、首相暗殺犯の濡れ衣をきせられているようだ。巨大な陰謀からの孤独な逃走劇の幕があがる。
おすすめポイント
警察に追われ、マスコミの報道により一般市民の目も向けられ、逃げても追手がすぐそこに。そんな、スリリングな展開にドキドキとハラハラが止まらない。疾走感とともに、逃走を手助けする人びとの温かさに心地よい風が吹き抜けていく作品。
3位『火車』宮部みゆき
あらすじ
負傷のため休職していた刑事の本間俊介。ある日、彼のもとに失踪した婚約者の関根彰子を探してほしい、という依頼が舞い込んできた。どうやら彼女は、クレジットカードを作成するときの審査にて自己破産経験者であったことが判明していた。姿を消したのは、その翌日だったそうだ。自身の身分を偽って俊介は、調査を進めていくが、その先には自己破産者の壮絶な人生が姿をあらわすことに…。
おすすめポイント
30年近い前の小説ながら古さを感じさせない名作。失踪した女の足取りを追うなかで、浮かび上がる不幸の連鎖。ただ、幸せになりたいと願っただけなのに。必死に現状を変えようとする心情には、感慨深いものがある。現代社会の生活のなかに潜んでいる闇に、切なくも心に響くものがある作品。
4位『さよならドビュッシー』中山七里
あらすじ
ピアニスト志望である16歳の遙。ある日、祖父と従姉妹とともに火事に遭遇してしまう。ひとりだけ生き残ったが、全身大やけどを負ってしまう。
そんな状況においてもピアニストの夢に向かって、コンクール優勝を目指して厳しいレッスンに挑んでいく。だが、遙の周囲では不可解なできごとが相次いでおこり、やがては殺人事件までも…。
おすすめポイント
ピアニストを目指す16歳の少女に降りかかる試練。それでも音楽と向き合い成長していく姿と、その裏で見え隠れする不穏な空気に、知らず知らずのうちに引き込まれていく。
さまざまな逆境に立ち向かい、ひたむきに音楽に打ち込む少女に、心を奪われてしまう音楽ミステリー。
5位『ルパンの娘』横関大
あらすじ
代々泥棒を生業としてきた一家の娘である三雲華。そんな彼女が、恋人の桜庭和馬の家に挨拶におとずれた。そこで目にした家族写真には、全員が警察官の制服に身を包んでいる姿があった。和馬の家は、代々つづく警察一家であったのだ。
一方、荒川の河川敷で華の祖父の巌らしき男の焼死体が見つかり、華は独自に犯人を捜していくのだが…。
おすすめポイント
泥棒の娘と警察の長男との恋愛を描きつつも、殺人事件の謎に迫る。コメディ要素もありながら、軽快なテンポで進んでいくストーリーに胸を躍らせていく。
ユーモアあふれる面々に、駆け抜ける疾走感と爽快感を愉しめる、現代版ロミオとジュリエット。
【海外ミステリー】おすすめ小説
海外ミステリーのおすすめ
1位『カササギ殺人事件』アンソニー・ホロヴィッツ
あらすじ
1955年7月、片田舎にあるパイ屋敷の家政婦の葬儀が、しめやかにおこなわれていた。彼女は、鍵のかかった屋敷の階段から落ちて亡くなっているところを発見された。不慮の事故とされたが、村ではある噂が…。
この死をきっかけに、小さな村の人びとの心に少しずつ波紋が広がっていく。余命を宣告されている名探偵アティカス・ピュントの推理は…。
おすすめポイント
上巻では、ある女性編者が読むゲラ原稿である『カササギ殺人事件』が作中作として語られる。そして、重大な謎とともに下巻に移っていく。この練られた構成に魅せられながら、夢中で先へ先へと進みめば、驚きが待ち受ける。
巧みに仕掛けられた罠にハマりながらも、ミステリー愉しさを味わいつくせる、巨匠アガサ・クリスティへのオマージュ作品。
2位『そして誰もいなくなった』アガサ・クリスティー
あらすじ
孤島の兵隊島に招かれた、職業も年齢もことなる10人の男女。主催者の姿はなく、やがて童謡の歌詞になぞられて、1人また1人と殺されていく…。
島でいったい何がおきているのか。犯人はいったい誰なのか。ミステリー史上最も有名な名作。
おすすめポイント
孤島という逃げ場のない状況で、童謡に絡めての見立て殺人に、なにかが忍び寄ってくる緊迫感が伝わり、徐々に追い詰められていく人間模様に目が離せなくなっていく。
クローズド・サークルものの傑作でありながら、以後あまたの作品に影響を与えたミステリーの金字塔。
3位『シャーロック・ホームズの冒険』コナン・ドイル
あらすじ
19世紀のロンドン。誰よりも鋭敏であり幅広い知識をもち、犯罪者よりもあぶなく変装の名手。警察も舌を巻く捜査方法で、数々の難事件を解き明かし、王族からも絶大な信頼をえていた人物がいた。
彼の名は、シャーロック・ホームズ。そんな彼とコンビを組む、相棒のワトスン医師の活躍がつまった12の事件で描かれる傑作集。
おすすめポイント
ある事件の捜査を求められ、ホームズとワトスンが警察に協力することに。豊富な知識と、鋭い観察眼によって真相に迫っていく姿にワクワクさせられ、謎解きの愉しさを存分に味わうことができる。
変人のホームズが独特な捜査をしながら、トリックを解いていくさまに、ミステリーの醍醐味を堪能しつくせる物語。
4位『ボーン・コレクター』ジェフリー・ディーヴァー
あらすじ
空港からタクシーに乗ったはずの男女がいなくなった。やがて土砂に埋められた男が見つかり、突き出た指には女物の指輪がはめられていた。
NY市警は、元科学捜査官であるリンカーン・ライムに捜査の協力を求めるのだが、その彼は四肢麻痺で一歩もベッドから動けないでいた…。
おすすめポイント
寝たきりのライムと、彼の手足となって動く巡査アメリアのふたりが事件を追っていく。息もつかせぬ怒涛の展開にハラハラさせられ、先が気になり一気読みさせられる。
犯人との頭脳戦にスリリングな展開にと、ページをめくる手が止まらなくなる作品。
5位『その女アレックス』ピエール・ルメートル
あらすじ
「おまえが死ぬのを見たい」と男はいい、アレックスを監禁した。閉じ込められた檻で、みるみる衰弱していく彼女は、脱走を試みるのだが。
そして、徐々に明かされていく孤独な女アレックスの隠された秘密が…。
おすすめポイント
誘拐だけにとどまらずに、あまたの新事実にハラハラさせられ、読者を飽きさせず物語に引き込んでいく。また、章が進むにつれて、さまざまな顔を覗かせてくるアレックスも、魅力の一つになっている。
予想だにしない展開に、衝撃を受けながらもスリルを味わいながら、読後の余韻に浸れる「カミーユ警部シリーズ」の2作目。
ミステリー小説おすすめランキングまとめ
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この記事を通して、少しでもあなたの読書生活が有意義なものになったら幸いです。
それでは、まったです。 (‘◇’)ゞ
小説を読んでいる時間がない人はコレがおすすめ
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