こんにちは! 人の悪意について考えさせられたネイネイ(@NEYNEYx2)です。
今回は、第7回ポプラ社小説新人賞で特別賞を受賞した、隙名こと(@sukinakoto2016)さんの『「私が笑ったら、死にますから」と、水品さんは言ったんだ。』を読みましたので、あらすじや感想・レビューをご紹介します。
便利なモノがあふれている現代社会において、使い方しだいで道具にも、凶器にもなることをこの本で再確認してみてはいかがでしょうか。
『「私が笑ったら、死にますから」と、水品さんは言ったんだ。』隙名こと【あらすじ&概要】
あらすじ
クラスでも目立たず友達のいない男子高校生・駒田に、となりの席のクールな美少女、水品さんが、ひそかに声をかけてきた。
「15分で1万円のバイトに興味はありませんか?」水品さんが決して笑わない理由と、怪しい仕事の真の目的は……?
傷ついた過去やトラウマを持つ二人が出会い、ある仕事を経て次第に立ち直っていく。
ミステリ-タッチの優しい青春ストーリー。第7回ポプラ社小説新人賞<特別賞>受賞作!(「BOOKデータベース」より)
おすすめポイント
日陰男子の駒田に、美少女の水品さんがもちかけた「15分で1万円のバイト」から怪しいイメージしか浮かばないが、イイ意味で期待を裏切ってくれる。
3話構成になっており、1話1話に謎があるので、それを予想しながら読み進め、笑いあり、気づきあり、ウルっとしたりと、楽しめる作品になっている。
ごまかせー
「……ご想像にお任せします」
(P33より)
水品さんが駒田にたいして、上記の言葉を何度もいうのが面倒になり、つい略してしまったのが「ごまかせー」です。
本作にはそんなユーモラスな表現が各所に散りばめられています。
それらに、ときにクスクス笑い。ときには、ほぉ~そうきたか。と驚かされたりします。
二次被害
テレビのニュースで「被災者いじめ」がながれている場面での一言にこんなのがあります。
「あのさ、そういう問題じゃなくてさ。……基本的に、人間の集団なんて、一定数のクズが紛れ込んでるんだよ。だから、こういうニュースが流れる」
(P226より)
震災や災害があったさいにおこるこれらの二次被害には、感慨深いものがあります。
影響があった地域とそうでない地域で大きな隔たりがあり、それにより心ない言動があびせられることになっている現状。
それらの問いかけがなされ、考えにふけってしまいます。
長い長いタイトル
本作品のタイトルは、「私が笑ったら、死にますから」と、水品さんは言ったんだ。っとメチャクチャ長い。
ここまで長いと、いろいろ弊害がでてきそうですよね。
- 覚えづらい。
- ネットで検索するときにググりづらい。
- 背表紙のタイトルが小さい文字になり読みにくく、本屋で探すのに苦労する。
それでも、このタイトルにしたのは読者に伝えたいことが、そこにあったからなのだと、真相を知ったときに気がつきます。
その強いメッセージが心に響いて、読後も心にとどまる要因になっている。
感想・レビュー
前半は、茶目っ気いっぱいでクスッと笑いながら読みすすめ、中盤から後半に向かうにつれて徐々に様相が変化していきます。
本作のテーマでもある「悪意」が段々と姿をあらわし、キバを向きはじめます。それに伴って、1話目より2話目、2話目より3話目とグイグイ物語に引き込まれます。
無意識におこなっていること、興味本位でやってしまったことが、人の心を深く傷つけていることに気づかされる作品でした。
まとめ
現代の世が抱える人の闇に気づかせてくれて、明日の自分がちょっぴり変化することのできる物語。
「人の振り見て我が振り直せ」ということわざがあるように、人の悪意を感じ取り、自分自身のおこないに反映させてみてはどうでしょうか。
それでは、まったです。 (‘◇’)ゞ
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