こんにちは! 穏やかな優しいさに、愛おしさがこみあげてくるネイネイ(@NEYNEYx2)です。
今回は、小川糸さんの『ライオンのおやつ』を読みましたので、あらすじや感想・レビューをご紹介します。
日々の生活に疲れ、体も心も弱っていると感じているなら、本作を手にとってみてはいかがでしょうか。
こんな人におすすめ
- 人生の最後に恐れを抱いている人
- 日々の生活のありがたみが実感できていない人
- 生きることの大切さを伝えてくれる本を探している人
『ライオンのおやつ』小川糸【あらすじ&概要】
あらすじ
33歳という若さながら海野雫は癌に蝕まれ医師から余命を告げられる。残りの日々を瀬戸内の島にある「ライオンの家」というホスピスで過ごすことを決めた。そこで毎週日曜日におこなわれる、入居者が思い出のおやつをリクエストできる「おやつの時間」が存在していた。
島での穏やかな日々のなかで、人生の醍醐味を心ゆくまで味わっていくこととなる…。
おすすめポイント
残り少ない人生を、暖かな場所で毎日海を眺めながら過ごしたいと、辿り着いた瀬戸内の島のホスピス。自分に残された時間と向き合いながら、最後の迎え方を模索していく。
主要な登場人物
- 海野雫・・・本作の主人公。33歳ながら余命宣告を受けて、瀬戸内にあるホスピスで穏やかな日々を過ごすことを望み島にやってきた。
- マドンナ・・・ライオンの家のスタッフ。なにかに動じることがまったくなさそうな人。常に抑揚がなく、表情も変わらない。
- 狩野姉妹・・・ライオンの家の食事担当。ご飯の主導権を握っているのが姉のシマ。おやつの主導権を握っているのが妹の舞。
- 六花・・・ライオンの家にいる犬で、よく雫の部屋にお邪魔になっている。
- 田陽地・・・島の畑で葡萄を育て、ワインを作っている。
おやつの間
ライオンの家では、毎週日曜日の午後3時に「おやつの間」にてお茶会が開かれる。そこでは、入所者のゲストから、もう一度食べたい思い出のおやつのリクエストを募っている。お茶会では、抽選で選ばれた一人のリクエストを忠実に再現して、思い出のおやつを振舞っている。
おやつを食べる前にリクエストした者の思い出が語られるのであるが、それはあたかもその者の人生を反映しているものになっている。たかがおやつと思うかもしれないが、死期が間近にせまった者が口にしたいと願うものは、その想いや重みがまったく違ってくる。今までの歩みを懐かしむように、また、自身の生きた証しのようなものが、そこに集約しているようにも感じてしまう。
痛みの種類
ライオンの家でゲストをもてなすマドンナいわく、痛みの種類は二つあるという。
ひとつは、体の痛み。もうひとつは、心の痛み。
(P106より)
その二つを取り除かなければ幸せな最後は訪れないのだという。ライオンの家でおこなう「ホスピス」では、体と心の両方の痛みを和らげてくれるケアをおこなっている。
死というものが間近に迫ってきたときに、少しでも長く生きようとするのか、それとも、病気による痛みや不安をできる限り少なくし生活の質を向上させ残りの人生を謳歌するのかは、体が元気に動くうちに自身で考え選択しておく必要があるようにも感じられた。
なんでもない日常
体が元気なときには気にも留めなかった日常生活も、病気になってはじめてそのありがたみに気づくことはある。1日3食の食事、電車に揺られながら読む本、週末におとずれる趣味の時間、それな、なんでもない日常を過ごせているのも、健康で生きていてこそなのだと。
気にも留めずに生活しているとあっという間に時間は過ぎ去っていくが、人生における時間はけして無限ではない。終わりは必ず誰のもとにもやってくる。だからこそ、今日という1日をどう過ごしていくのかが大切なのではないかと、著者に問われているようでもある。
感想・レビュー
誰にでも必ず訪れる死ということをテーマに、最期のときを迎える悲しみや死への恐怖のみを表現するのではなく、「おやつ」を用いて、自分の歩んできた道を振り返り、感謝するとともに最後のひとかけらまで人生を味わい尽くす姿は、死という未知のものに対峙する指針のようなものを感じさせる。
生きていれば、憤ることも、不安になることも、なぜ自分だけこんな目に、と思うことはある。そんなときに本作を手にとれば、ふさいでいた心がスッと軽くなり、自身の人生を見つめ直し、笑顔で前を向いて進んでいける気分にさせてくれるのではないでしょうか。
まとめ
生きるということ、死ぬということ、そして命の尊さを気づかせてくれる物語。
毎日をただなんとなく過ごしているなら、この本で人生の醍醐味を感じてみてはどうでしょうか。
それでは、まったです。 (‘◇’)ゞ
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