こんにちは! 冒険に夢中なネイネイ(@NEYNEYx2)です。
今回は、伊坂幸太郎さんの『クジラアタマの王様』を読みましたので、あらすじや感想・レビューをご紹介します。
昼は普通の会社員、夜になればロールプレイングゲームの主人公。そんなエンタメ小説を堪能してみてはいかがでしょうか。
こんな人におすすめ
- エンターテインメント作品が好きな人
- 小説+挿絵(コミック風)の新しい試みに興味のある人
- ロールプレイングゲームが好きな人
『クジラアタマの王様』伊坂幸太郎【あらすじ&概要】
あらすじ
お菓子メーカーのお客様サポートに寄せられた一本の苦情の電話。対応が後手にまわり窮地に追い込まれていく会社員の岸。ある男との出会いで物語は、それまでとは違った方向に進んでいく。
クレーム対応、過熱する報道、ビラが無数に貼られた広場、巨大な獣、謎の鳥ハシビロコウ。岸は、度重なる危機にどう立ち向かっていくのか…。
おすすめポイント
小説の中にコミックパートが作品の一部として組み込まれる構造になっています。一箇所につき、2~4ページの挿絵が十一箇所に分けて展開されます。
小説を軸に、動きのあるアクションシーンを挿絵を入れることで、より臨場感が増していく試みがされており読者を物語に惹きつけます。
主要な登場人物
- 岸
お菓子メーカーに勤務。最近になって、古巣である宣伝広報局のお客様サポートに戻され、お客様の苦情対応にあたることに…。 - 小沢ヒジリ
今をときめくダンスグループの人気メンバーで、女子高生に大人気。童顔で細マッチョなうえに高学歴ときている。 - 池野内征爾
都議会議員。腰も低く真面目に見える一方で、各地に愛人がいるのだとか。
お客様サポート
お菓子メーカーのお客様サポートに、新商品のマシュマロにたいする苦情が寄せられていた。担当していた社員の手に負えず、岸がその代役を頼まれるのである…。お客様サポートで求められるのは、対応力もさることながら、やはり真摯な受け答えに尽きるのではないでしょうか。
以前、自分のパソコン用モニターを買ったときに、付属のケーブルで繋いないだのですが画面になにも表示されずに困りはて、お客様サポートに問い合わせたことがあります。対応したのはイントネーションから外国人とわかる方でしたが、こちらの意見を訊き、丁寧に心を込めてモニター側の設定を説明してくれたので、印象がとても良かったのを覚えています。
多少の言葉の聞き取りにくさがあっても、気持ちのこもった対応をしてもらえると、その製品に対する負の感情が消えるだけでなく、むしろ好感しかありません。態度の良し悪しで受ける印象がまるで違うのは、本書を読んでいても感じさせられます。
マスコミの過剰な報道
会社や有名人がおこした問題や不祥事で、記者会見がテレビのワイドショーなどで取り上げられることもしばしば目にします。正確な情報を伝えるために記者の方が当事者に質問することもありますが、その質問に悪意を感じることもしばしばあります。
本作の中にも、発言の揚げ足を取ったり、相手をヒートアップさせようとする言動などをして、テレビ映えする内容を意図的に作り出しているのではないかとさえ思える場面が登場します。
そんな発言をしては相手の思うツボだとわかっていても、うまく制御できない。そんな感情のコントロールの難しさがうかがえます。
夢の中のできごと
本作の見どころの一つに「夢の中のできごと」があります。夢の中では、大きな広場があり、その中央にハシビロコウがたたずんでいるのだとか。そこであることが、毎度おこなわれているのだという。
第2章から最終章の4章にかけて徐々に夢の中のできごとが語られ、ぼんやりとしていたものがハッキリするにつれ、現実とリンクしたような展開が繰り広げられていきます。
現実と夢が入り乱れることで、リアルの中にファンタジー要素を融合した感覚を味わえます。
感想・レビュー
どこにでもいる会社員が、迫り来る危機に困惑しながらも、それに立ち向かう姿勢に心を突き動かされる。前半は、お菓子メーカー内の人間関係が描かれ、自己の出世のことしか考えていない上司vs苦労する部下という構図になっている。
この部分を読み進めただけだと、池井戸潤さんのような社会派エンタメ小説なのかな?と思っていたのですが、そこは伊坂作品、一味も二味も違っていました。
夢の中で繰り広げられるアクションシーンがあり、その部分が挿絵で表現されています。そうすることで、臨場感がダイレクトに伝わりやすくなり、読者の冒険心をくすぐり、まるで自身がゲームの中の主人公になったような高揚感がえられます。
情報が簡単に手に入る昨今。なにか事件や悪いできごとが起きれば、犯人探しや誹謗中傷の叩き合いに発展していく現代社会。それでも、周りの意見や雑念に流されるのではなく、自分に素直な気持ちで臆さず、怯まずに行動することが必要なのだと、トラブルを解決に導くヒントを教えられたように思えます。
まとめ
アクションシーンをコミック風の挿絵で表現した斬新なエンタメ小説
あなたも本書で、ロールプレイングゲームの主人公になった気分を味わってみてはどうでしょうか。
それでは、まったです。 (‘◇’)ゞ
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