こんにちは! 選択の難しさを痛感したネイネイ(@NEYNEYx2)です。
今回は、2018年「崩れる脳を抱きしめて」が本屋大賞にノミネートした、知念実希人(@MIKITO_777)さんの『ひとつむぎの手』を読みましたので、あらすじや感想・レビューをご紹介します。
仕事を続けていると「何がしたかったんだっけ?」「何になりたかったんだっけ?」っと思うことがありますよね。 そんな仕事への疑問や悩みをもっているなら、この本を手に取ってみてはどうでしょうか。
『ひとつむぎの手』知念実希人【あらすじ&概要】
あらすじ
平良祐介は心臓外科の執刀医を志しながら、大学病院の過酷な勤務に耐えている。ある日、医局の最高権力者である赤石教授に、3人の研修医の指導を命じられる。
赤石教授曰く、彼らのうち2人以上を入局させたなら、念願の心臓外科医への道が開けるという、だが失敗すれば…。
さらには、赤石が論文データの捏造をしたと告発する怪文書が出回った。祐介は「犯人探し」を命じられるのだが…。
おすすめポイント
医者という仕事において、日々の業務で繰り返される「選択」をとおして医師として、人としての成長を描いた物語。
4話構成で物語は進んでいくのですが、各話ごとにポロポロ泣ける場面があり、1話1話、成長していく人びとを通じて訴えかけられるものがある。
オンレイパッチ法
赤石教授が得意とする手術法に「オンレイパッチ法」なるものがあります。
「普通のバイパス手術では、冠動脈とバイパス血管を『点』でつなぐ。それに対してオンレイパッチ法は通常より長く切り開いて、そこにパッチを当てるようにして『面』で縫合するんだ」
(P26より)
そうすることで、術後につないだ箇所が詰まることを防ぐのだとか。ただし、直径数ミリの血管を縫い合わせるだけでも困難なのに「面」でつなぐのは至難の業なのだそうです。
近年の技術の進歩により、カテーテル治療や手術支援ロボット(ダヴィンチ)を使用した治療など、様々な治療方法ができてくる中で「人の技術」でしかできないこともあるんだと考えさせられます。
権力争い
治療方針をめぐる科の対立、教授というポストを目指した戦い、が本作品には随所にみられます。
昨今の就職活動でみられる傾向として、安定している企業を求めて「大企業」に就職を考える人がいるのではないでしょうか。
確かに大企業なら倒産はしないかもしれません。 ただし、上昇志向の強い人による権力闘争、部門間での対立、地方への転勤など数々の悩みの種はあります。
そんなことを考えながら本書で描かれる、会社に長年勤めたさいにおきる悩ましい問題をみてみるのもいいですね。
医局のあり方
医局のあるべき姿に言及した部分があります。
人材派遣組織であることをやめ、あくまで教育機関であることを目指す。
(P139より)
本書で描かれているのは医局のあり方ですが、最近よく国会で議論させている内容に「働き方改革」があります。
長時間労働の縮小、子育てや介護と仕事の両立、非正規雇用の処遇などありますが、本作品を読むと真に重要なのは「働く人が何を求め、目指すのか」ということ強く感じます。
感想・レビュー
仕事を続けていれば誰しもが経験するであろう、会社からの理不尽な要求、後輩の育成、ライバルとの競争などの、仕事での苦悩・葛藤、仕事への焦り・苛立ちが描かれ、その多くに共感できる。
主人公の平良祐介の姿をとおして、仕事のあり方や取り組む姿勢を問われて、自分自身の今までのおこない、今後を考えさせられる作品になっている。
まとめ
医師の仕事をとおして、仕事における大切なモノに気づかさせてくれる物語。
仕事での目指すべき方向性がわからなくなっているのなら、この作品でそのヒントを探してみれはどうでしょうか。
それでは、まったです。 (‘◇’)ゞ
本作品にでていた諏訪野良太(すわのりょうた)が主人公のコチラの「『祈りのカルテ』知念実希人 / この医療ミステリーで涙活しては?」記事もよかったらどうぞ。
コチラの記事もどうぞ
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