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『逆ソクラテス』伊坂幸太郎【あらすじ/感想】先入観をひっくり返せ

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こんにちは! 子ども時代にこの作品に出会いたかったネイネイ(@NEYNEYx2)です。

今回は、伊坂幸太郎さんの『逆ソクラテス』を読みましたので、あらすじや感想・レビューをご紹介します。

伊坂流の授業を生徒になった気分で受けることのできる、そんなこの作品をあなたも味わってみたはいかがでしょうか。

 

こんな人におすすめ

  • 主人公が子どもの物語に興味がある人
  • メッセージ性の強く、読者に訴えかけてくる作品が好きな人
  • 長編よりも短編集が好みの人

 

目次(タップできます)

『逆ソクラテス』伊坂幸太郎【あらすじ&概要】

あらすじ

敵は、先入観。

小学校を舞台に、不公正、偏見、いじめといった難問に子どもたちが立ち向かっていく。正解のわからない問題に、どう向き合えばいいのかをストレートに訴えかけてくる。

「逆ソクラテス」「スロウではない」「非オプティマス」「アンスポーツマンライク」「逆ワシントン」の5つからなる短編集。

おすすめポイント

全5編すべての主人公が「小学生」という、著者初の試みの短編集。先入観というテーマをもとに、小学校で巻き起こるできごとの数々に「どうすれば正解なのか」と模索していく。

主人公が小学生ということで、どの世代の人が読んでも感情移入できる話がかならず存在しており、自分の胸に手をあてて考えさせられる物語。

 

「逆ソクラテス」

「逆ソクラテス」の登場人物

  • 加賀かが・・・「逆ソクラテス」の主人公。学力も運動もそこそこ、目立つ存在でなければ、疎まれる存在でもない。
  • 安斎あんざい・・・クラスにやってきた転校生。頭はいいが、目立つわけではない。「僕はそうは思わない」といえる子ども。
  • 草壁くさかべ・・・「このいつはダメな子」と久留米先生に思われている。そのせいで、同級生にからかわれている。
  • 久留米くるめ・・・30代後半の担任教師。独特の威厳があり、自分が正しいと思っている。いろんなことを決めつけるところがある。

 

担任教師の久留米先生は、ものごとを決めつけ、周りにそれを押し付けようとしていると、安斎はいう。その典型が、草壁のことを「ダメな子」として決めつけ接していることだと。また、自分の判断は正しいとも思っている。間違っていないか、疑うこともしない。そんな先生の先入観をひっくり返そうと、安斎の作戦に加賀も協力していくのだが、結末は思いもよらぬ方向へ…。

学校にかぎらず、会社でも、一つの空間で共に生活をしていると、自分の意見や行動を実行できないことも多い。周りの顔色を伺い、調子をあわせることもあるでしょう。安斎のように「僕はそうは思わない」と自分の意見を口にしたり、実行に移すのは「勇気」がいる。その一歩は非常に重い。

ただ、その一歩を踏みださなけば、現状は変えられない。そこを乗り越えたものだけが新たな景色を見れるのだと感じさせてくれる。

ネイネイの驚き顔
ネイネイ
なんだか「あの仕草」は、真似したくなっちゃいますよね。

 

「スロウではない」

「スロウではない」の登場人物

  • つかさ・・・「スロウではない」の主人公。運動音痴で足が遅いのに、リレーの選手に選ばれてしまう。
  • 高城たかぎかれん・・・転入生の女の子。渋谷亜矢に転校してきた理由を咎められていた。
  • 渋谷しぶた亜矢にあや・・・女子のリーダー的存在。頭がよく運動もでき口が達者だが、他人に厳しい一面がある。
  • 磯憲いそけん・・・司の担任。時折いい言葉を伝えてくる。ただ、でたらめもいう。

 

運動会のリレー選手にくじ引きで選ばれてしまった運動音痴の司。司はBチームで、クラスでも足の遅い子が集まっていた。一方でAチームは足の速いメンバーで構成されており、その中の渋谷亜矢に、なにかと手厳しいことをいわれるのだが…。

学校でもそうだが、会社でも、閉ざされた空間に人が集まれば序列が生まれやすい。頭がいい、スポーツができる、それらの違いで優劣を築き、それが、やがて仲間はずれ、いじめといったものに繋がってしまう。

いじめや偏見を持ち差別をすることは悪い、と誰もが頭ではわかっている。しかし、それらはなくならない。大人でもそれらを適正に対処するのは難しい。この話ではそれらを、伊坂流の捻りのある展開でハッとさせるとともに、その大切なことを気づかさせてくれる。

ルーシー
ルーシー
磯憲の言葉の数々が、頭のなかで反芻してくるね。

 

「非オプティマス」

「非オプティマス」の登場人物

  • 将太しょうた・・・「非オプティマス」の主人公。どちらかといえば、教室では1人でいることが多い。ふとしたことから、福生と仲良くなる。
  • 保井やすい福生ふくお・・・都内から越してきた転校生。いつも安そうな服を着ているため「やすいふくお」とからかわれていた。
  • 騎士人ないと・・・わざと缶ペンケースを落とし授業を妨害している。授業参観日もなにやら画策しているらしい。
  • 久保くぼ・・・元気がまるでなく、頼りないを絵に描いたような新任の先生。

 

一見すると、やる気がなさそうな担任の久保先生。授業を妨害するようなできごとがあっても生徒を叱ることもなく、どこか子どもに無関心のようにみえる。そんな先生の姿をみて、保護者がきている授業参観で恥をかかせようと画策する者たちがいた…。

個人的には、この話が一番好きで、悪さをする子どもを止めるにはどう対処すべきか、というものなのだが、多くの大人は叱責する、それでもダメなら…。

勉強だけを教わるのが学校というところではない、ということを痛感させられ、自身の子ども時代と比べて感慨にふけってしまった。大人にもぜひ読んで考えていただきたい難問である。

モンブラン
モンブラン
こんな先生に出会えていたら、って思うのは俺だけかな。

 

感想・レビュー

メッセージ性の強いことがらが多いため、頭にストレートに入り込み、どうすれば正解なのかと問いかけられる。そのため、読者も主人公の立場になって、困難にどう向き合えばいいのかを自然と考えさせられる。

ことわざわざに「人の振り見て我が振り直せ」というのがあるが、この作品を読んで、自分の普段のおこないと比較して、直すべきところは悔い改めようと思わせてくれる。

ものごとを表面的なことだけで判断するのではなく、いろんな角度からものごとを捉え、イマジネーションを働かせて、抗えない高い壁に挑んでいく小さな子どもの後ろ姿には惹かれてしまう。また、読後には前に向かって突き進んでいく勇気をわけてもらえる作品。

ネイネイの笑顔
ネイネイ
最後の「あの人」のシーンは、おもわず胸に込み上げてくるものがありますね。

 

まとめ

逆境にもめげずに、抗うことの難しい現実に立ち向かっていく子どもたちの物語。

アンハッピーな展開を打開していく子どもに、あなたも勇気をもらってみてはどうでしょうか。

それでは、まったです。 (‘◇’)ゞ

『逆ソクラテス』のPV

 

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この記事を書いた人

30代の元開発エンジニア。本の書評多め(ミステリ、ファンタジー、気になった本を読む雑食系)。現在は、自由な働き方で生活していけるように、日々の『喜び・怒り・悲しみ・楽しみ』を書きつづっています。

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