こんにちは! 介護にたいする考えを改めさせられたネイネイ(@NEYNEYx2)です。
今回は、2013年の「暗黒女子」が話題となり映画化もされた、秋吉理香子(@rikakoppi)さんの『ガラスの殺意』を読みましたので、あらすじや感想・レビューをご紹介します。
30~50代のこれから介護と向き合うかもしれない世代に読んでもらいたい作品です。
『ガラスの殺意』秋吉理香子【あらすじ&概要】
あらすじ
20年前に起きた通り魔事件の犯人が刺殺された。
警察に「殺した」と通報したのは、その通り魔に愛する両親を殺された柏原麻由子。
だが、麻由子は当時現場から逃げる途中で交通事故に遭い、脳に障害を負っていた。
警察の調べに対し、麻由子による通り魔殺害の記憶は定かでない。はたして復讐は成し遂げられたのか—?(「BOOKデータベース」より)
おすすめポイント
脳に損傷があり記憶障害をわずらっている柏原麻由子と、母親がアルツハイマー型認知症の桐谷優香が刑事の仕事と介護の両立にもがき苦しんでいる。
2人の物語が交互に語れていき、記憶に障害がある2つの家族が対照的に描かれていて、感情移入がしやすくなっている。
高次脳機能障害
柏原麻由子が交通事故の影響により脳に損傷があり「高次脳機能障害」になっているのだとか。
この病気の説明を本書では、下記のようにしています。
脳の損傷が原因で言語や記憶などの機能に障害が起こることで、医学上は認知症も含まれます
(P40より)
麻由子の場合は、古いことはある程度覚えているが、新しいことはほとんど覚えられない。
この病のせいで、覚えておかなければならない重要なことが抜け落ちて、話の流れを大きく左右させ、面白くしている。
介護の認識不足
桐谷優香の兄が、優香にたいして介護と思うのではなく育児と考えたらという場面がある。
「で、気がついた。母さんも同じだって。だって、胃に優しい食事って離乳食みたいなもんだろ? オムツも赤ん坊には当たり前だし、トイレの失敗も仕方ない。風呂も絶対に介助が必要だし、何でも口に入れたり危ないことしたり、目が離せないのも同じ。だから母さんを育てている、という意識に切り替えるんだ。な?」
(P152~153より)
そう思っているのと、実際にやるのとでは勝手がちがう。介護する立場になってはじめて理解することがあると描かれている。
介護の難しさありますが、周りの人にその大変さを理解してもらえずに過ごすことの悲しさ、悔しさ、虚しさがひしひしと伝わってくる。
できることをやる
桐谷優香が同僚の野村淳二に説教する言葉に心が動かされます。
桐谷さんはね、できることだけを、できるときにやってあげるだけでいいんですよ。できないことをやらないのは、悪くないし間違ってもいない。自分を責めたり罪悪感に押しつぶされるのは、全く無意味だと思います
(P312より)
勉強、仕事、家庭の事情、できないことで悩むことが多い現代生活で、疲弊してしまうこともあるはずです。
努力しても報われないこともある。周りから非難されることもある。それでも、できることを精一杯やったならそれでいいじゃないっていうこの言葉に癒されるのは自分だけでしょうか……。
感想・レビュー
ミステリーとして読み進めるのと登場人物が少ないこともあり、犯人の特定は難しくないので物足りなさを感じるかもしれない。
ただし、「介護」をテーマにした作品としてとらえた場合、介護への周りの理解度の低さ、過酷さ、心の葛藤、それらを問いかけられ、介護への認識の甘さを痛感させられる。
自分自身がその状況になったらどう選択するか、その選択が正しいのかを考えさせられる。ラストの切ない展開には、思わず涙腺が緩んでしまいます。
まとめ
記憶障害の介護の難しさ、切なさが物語を面白しろさと深みをもたせる作品。
自身のおこないに自信がなく後悔ばかりの日々なら、この本でそれらを見つめ直してみてはどうでしょうか。
それでは、まったです。 (‘◇’)ゞ
コチラの記事もどうぞ
おすすめ記事
コメント