こんにちは! こんな父親になりたいと思うネイネイ(@NEYNEYx2)です。
今回は、2018年本屋大賞ノミネート作でもある、伊坂幸太郎さんの殺し屋シリーズ3作目でもある『AX アックス』を読みましたので、あらすじや感想・レビューをご紹介します。
外では最強の殺し屋。 いっぽう家庭内では妻の機嫌をうかがう夫。そんな男がみせる家族愛に、あなたも心を揺さぶられてみてはいかがでしょうか。
『AX』伊坂幸太郎【あらすじ/感想】
あらすじ
超一流の殺し屋である「兜」だが、家では妻に頭が上がらない。こんな危うい仕事をしていることは、もちろん家族には内緒だ。克巳が生まれた頃から、この仕事を辞めたいと兜は考えていたが、容易ではなかった。
引退に必要な金を稼ぐため、仕事を仕方なく続けていたある日、標的を早々に始末した兜であったが、意外な人物から襲撃を受ける…。5篇からなる連作短編集。
おすすめポイント
父親である兜は、名の知れた殺し屋である。 そのことは家族は知らない。 そんな兜が恐れ、つねに顔色をうかがってしまう人物、それが妻なのだ。
日常の中での妻や息子とのやり取りに笑顔にさせられ、ときに感心させられる。 父親としての家族への思いに、大粒の涙がこぼれ落ちてしまう。
蟷螂の斧(とうろうのおの)
兜が息子の克巳に「蟷螂の斧」ってわかるかと訊ねる場面がある。(蟷螂とはカマキリのこと)
「カマキリのことだ。カマキリが手の斧を振り上げている姿を思い浮かべてみろ。勇ましいけれど、しょせんはカマキリだ」
(P17より)
ことわざの意味としては、自分の力量もかえりみずに、強い者に立ち向かうことのたとえです。
殺し屋という職業を生業にして生きてきた兜は、形勢が不利な状況でも挑み、前に進むしかないという強いメッセージがこの言葉からうかがえる。
フェアであること
兜が息子への教えに「フェアであること」という言葉があります。
正しいことをやれ、であるとか、努力を怠るな、であるとか、失敗を恐れるな、であるとか、そういった立派なことを要求する気にはなれない。 唯一、兜が伝えられるのは、「できるだけフェアでいろ」という、そのことだけだった。誰かを非難する時にも、誰かを擁護する時にも、フェアでありたい、と思いなさい、と。
(P39より)
誰しも子供のときに、名前や外見でバカにする悪口をいわれたり、いったりした経験はあると思うが、そういった「努力で変えられないことは攻撃するな」というではないか。
兜の子供のころからの経験がそのような教えになっているようで感慨深い。 この教えは見習いたいものである。
労っておけば問題ない
相手を労うことは重要だと、常日頃から兜は考えている。
何が大変なのかは関係がない。 世の中の人間はどのような者も大変なのだから、どのような状況であろうともそれを労っておけば問題がない。 兜はそのことを、妻との生活から学んだ。 一緒に暮らし始め、とりわけ克巳が生まれて以降、妻が抱える苛立ちや不満の大半は、「自分の大変さをあなたは正しく理解していない」ということに還元できる。と兜は分析していた。
(P143より)
仕事から帰ってきてたとえ疲れきっていたとしても、奥さんの話をないがしろにしてはいけない。 何故なら大変なのは、みな同じなのだから。
ついつい「俺はこんなに頑張ってるのに」っと自分中心になりがちですよね。 相手を思いやる心がなくなったときに夫婦の危険が訪れるのかもしれませんね。
やれるだけのことはやりなさい
兜の妻が昔からよくいっている台詞にこのようなものがあります。
おふくろがよく言うじゃないか。『やれるだけのことはやりなさい、それで駄目ならしょうがないんだから』って
(P150より)
できるかぎりのことをして、うまくいかないのなら仕方がないと。 逆にいえば、「自分の力をすべて出し尽くさなければ悔いが残る」とも聞こえる。
人は欲に流され楽な方へ行きがちです。 そんなときに、この言葉を思い浮かべて戒めたなら良い結果がついてきそうですね。
感想・レビュー
小さい頃から孤独だった男が手にしたかけがいのない家族。 その温かさに触れ、必死に守りぬこうとする姿に胸が熱くなる。
生き延びるために人を殺めて続け、感情を失くしたままの日々。 そこから得た希望の光が妻であり、息子のようである。
失った大切なものを人生をかけて取り戻そうとする行動に心を揺り動かされる。
まとめ
陰ながらそっと見守ってくれている父親のあたたかさを感じれる物語。
兜のおかしくも優しい父親の勇姿を目の当たりにしてはどうでしょうか。
それでは、まったです。 (‘◇’)ゞ
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