こんにちは! 誠実度をみやぶれる方法を手に入れたネイネイ(@NEYNEYx2)です。
今回は、猫弁シリーズがテレビドラマ化もされている、大山淳子さんの『赤い靴』を読みましたので、あらすじや感想・レビューをご紹介します。
凄惨な事件にまきこまれてしまった少女の心情、犯人の動機それらをあなたは、はたして読み解けますか?
『赤い靴』大山淳子【あらすじ&概要】
あらすじ
七歳の誕生日の夜、葵は母親を目の前で惨殺された。誰が何のために母を殺したのか—。
奇跡的に生き延びた葵がたどり着いたのは、超然とした佇まいの老人と犬が支配する人跡未踏の山中だった。
隔絶された世界で成長した葵は、ある出来事の後、復讐の念を魂に刻んで下山する。
「死ぬってどういうことだとあなたは思う?」生と死の狭間で交錯する欲望。
葵が最後に見たのは、希望か絶望か—。
驚愕のラストまで一気読み必至の傑作長編!!(「BOOKデータベース」より)
おすすめポイント
本書の中でも紹介されているが、フランス文学者デュマの「モンテ・クリスト伯」に話の構図が近しいものがある。(日本では「巌窟王」として親しまれている)
登場人物も多めで、それぞれの視点で過去が描かれ、その中で人の欲、策略に飲み込まれるさま、価値観の違い、そんな登場人物の想いがこの物語を形成しています。
希望
葵は7歳の誕生日に凄惨な事件に遭遇して、心も体もボロボロ。そんな絶望状態で芽生えたのが「復讐」という名の希望。
復讐する行為が容認されることはないけれど、希望をみいだした人間は強いと教えられる。真の意味での希望は、人を生き生きとさせ、輝かせることができると。
信頼できる人
本書の中でも印象深いセリフに下記があります。
「死ぬってどういうことだとあなたは思う?」
(P361より)
はたして、あなたならどうこの質問に答えますか?
質問の意図は、その答えによってその人が信頼に値する人物なのかを見極めようとするものです。
世の中には、怪しい人、いかがわしい人、胡散臭い人、逆にそれらと真逆の人、それらを見極める一つの判断にするのもイイかもしれませんね。
幸せとは
葵もそうですが、彼女に関わった人々もそれぞれに「幸せのかたち」を模索しているようにも思えます。
どん底から這い上がろうとする者。自ら考え、自ら進む道を選ぼうとする者。仮説をたて、それを実行することに生きがいを得る者。
幸せの答えは、一つではなく無数にあり、選ぶことができる。それに気づいて選択するかで、幸せの中身が変化すると感じる。
感想・レビュー
この物語では、事件の全容や犯人は語られるのが、すべてを語ってくれるかというとそうではない。犯人の心理、被害者の心情といった部分は抜け落ちています。
事件の肝心なところは結局のところはわからない。誰がどういう思惑で誰をどういうふうに動かしたかという核心部分はしつこいようだが、推測の域を出ない。
(P394より)
この部分が本書の面白いところであり、その説明がない部分を読者が推測し想像することで、補うことがこの本の特徴です。
なので、読み終えた後にそれらの足りない箇所を自分なりの考察で、考えるのが好きな人にとっては、この本はとても楽しい作品。逆にそれらの作業を苦手、嫌いな人には向いていないともいえます。
(学生時代の国語の授業が脳裏に浮かび上がったのは、自分だけでしょうか……。)
まとめ
登場人物のその後の人生を思い浮かべ、妄想にふけるのも面白そうですね。
動機の解明があなたに託させた、そんな物語をあじわってみてはどうでしょうか。
それでは、まったです。 (‘◇’)ゞ
『赤い靴』のPV
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