こんにちは! 余韻にひたりたい気分のネイネイ(@NEYNEYx2)です。
今回は、米澤穂信(@honobu_yonezawa)さんの『Iの悲劇』を読みましたので、あらすじや感想・レビューをご紹介します。
田舎暮らしの理想と現実を体験できるミステリーを味わってみてはいかがでしょうか。
こんな人におすすめ
- 田舎暮らしを考えている人
- 人が死なないミステリーを読みたい人
- ビターテイストのミステリーを堪能したい人
『Iの悲劇』米澤穂信【あらすじ&概要】
あらすじ
無人となった南はかま市の簑石に、新しい定住者を募る「Iターン支援推進プロジェクト」を推進することになった。実施にあたり「甦り課」の万願寺邦和、観山遊香、西野秀嗣の三人が奔走する。
変わり者の移住者たちの要望や不満を解決しようとしていく中で、次々に「謎」のできごとが起きていく。夢を見て田舎の集落にたどりついた者に待ち受ける現実。
すべての謎を解き明かした先にまっているものとは…。
おすすめポイント
過疎化していく地方都市の理想と現実が交錯する中、あちらこちらでくすぶる火種を消すべく「甦り課」が奮闘する。
ちょっぴり苦味のあるミステリーを堪能できる連作短編集。
主要な登場人物
- 万願寺邦和・・・出世欲は強いが、仕事には忠実。Iターン支援推進プロジェクトを成功させ、願わくは出世コースにのりたいと考えている。
- 観山遊香・・・学生気分が抜けない新人。だが、なぜか人の懐に入り込むのはうまい。
- 西野秀嗣・・・仕事へのやる気は感じられず、いつも定時退社。実は切れ者という噂も…。
Iターン支援推進プロジェクト
6年前に無人となった村。そんな南はかま市の簑石に人を呼び定住をうながそうと、市長の肝いりで「Iターン支援推進プロジェクト」が発足された。空き家と土地を補助金を利用することで、格安で借りれるというものである。
空き家問題は、地方のみならず都市部でも増え続けているのが現状で、ニュースで取り上げられることもしばしば。こうした空き家を有効活用する施策は増えてくるようになるのだようか、と考えを巡らせてしまう。
騒音トラブル
Iターン支援推進プロジェクトには思いのほか多くの募集が集まり、先行して二世帯が移住することとなる。引っ越しして10日目にして早くもトラブルが発生したのだ。自宅の庭で焚き火をして、大音量で音楽を聴いているので、その騒音に悩まされている、というものだった。
近隣トラブルで一番問題になるのが騒音トラブルではないでしょうか。たかが騒音と思うかもしれませんが、不快な音を毎日聴いているとストレスにより体調を崩したり、不眠症といった症状になってしまいます。
そのようになる前に「甦り課」に助けを求めるのは正しい選択なのでは、と思うのですが、それだけではなく伏線が用意してあるあたりは読みごたえがある。
序章「Iの悲劇」と最終章「Iの喜劇」
序章の「Iの悲劇」と最終章の「Iの喜劇」が対比として描かれているが、これが本作の一番の見せ所ではないだろうか。
なにをもって悲劇とするか、どうしたら喜劇に変わるのか、それらは誰の視点で語られるかによっても違ってくるのかもしれないと感じさせられる。
また、物事において、幸せな者と不幸な者の線引きは、なにで決まるのかということを問われていてるようでもある。
感想・レビュー
小さな地方都市が抱えているであろう問題に、そこに住んでいる住人の考えと、市民の暮らしを支えている行政の考えの対比がおかしくもある。
出世欲が高いだけの存在かと思われていた万願寺邦和だが、移住者たちの要望に応えようと姿には好感が持てるが、市職員の抱える悩みには、行政の仕事の重みを感じさせる。
連作短編集なので、一つ一つの物語をサクッと読み進められる。一方で、最後に待ち受けている衝撃には、深い余韻を残していくとともに、自分ならどのような答えをだしただろうかと、考えてしまう。
まとめ
理想の生活を追い求めてたどりついたはずの田舎暮らしと、その現実を問う物語。
限界集落の実情を疑似体験してみてはどうでしょうか。
それでは、まったです。 (‘◇’)ゞ
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